「時の止まった家」で暮らす引きこもり男を囲む、死んだ家族の霊たち! 霊能ライターが視た遺留品の闇

――巫女の家系に生まれた霊能ライター「田口ゆう」が暴露!


 筆者が雄太さん(現在67歳)に出会ったのは、今から3年前だった。彼の愛犬キッドが亡くなり、すっかり元気をなくし、ただでさえ引きこもりがちだった彼を心配した知人に紹介されたからだ。雄太さんは当時64歳で、品川区の大きな一軒家に一人暮らしをしていた。愛犬のみならず、4年前に兄、7年前に介護をしていた母を亡くし、御父上は25年前に亡くなったという。しかし、雄太さんはアパートを所有しており年金を工面すれば、とくに生活のために働く必要もない状況だった。だが、身内がひとり、また一人と亡くなっていくうちに、どんどん家に引きこもるようになっていったのだ。

画像は”pixabay”より


 彼を訪ねてみて「この家は時間が止まってしまっている」と感じた。彼の御両親、お兄様、愛犬が存命中の家具と荷物がそのまま置かれていて埃をかぶっていた。愛犬キッドは骨壺に入ったまま、納骨されることなく仏壇に飾られていた。最後に亡くなった家族であるキッドの骨は、どうしても手放せなかったという。

 まず仏壇に向かい、雄太さんの幼少期に亡くなった祖父母と御両親、お兄様、キッドの希望を聞いた。お祖父様からは「日本酒が飲みたい」、お祖母様は「○○屋(以前の家の近所で有名な干物屋)のアジの開きが食べたい」、お兄様からは「弟を見守ってほしい」という想いが伝わってきた。愛犬キッドの写真を見ると、柔らかい食感のドックフードと野球のボールの絵が頭に浮かんだ。キッドが生前好きだったのだろう。

 続けてお母様の希望は「あんぽ柿が食べたい。あなたは雄太のお嫁にきてくれませんか? 今のままでは雄太は引きこもったまま、誰とも交流しない。遺品も全て整理するように伝えてください」というものだった。「お嫁に来てくれないか」という希望は、仏壇の前で丁重にお断りし、ご本人にも伝えていない。その他の希望はすべて伝えた。

 雄太さんにご家族の遺志を伝えると、彼は太った体を揺らしながら「一人ぼっちになってしまいました。今後、何を楽しみに生きて行ったらいいんでしょう…」と力なくつぶやいた。思わず「まずは、皆さんが食べたがっているものをお供えしてあげましょうよ!」と提案した。

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