残酷で異常な未解決「名古屋妊婦切り裂き殺人事件」の犯行内容から浮かび上がる奇妙な犯人像

 なお、犯人の行動が示すこうした不可解な特徴は、同じく未解決事件となっている2000年(平成12)年に起きた『世田谷一家殺害事件』の犯人像にも通じるもがあると、筆者は感じているが、無論、複数の人格など持っていなくとも、同じような事件を引き起こすケースが存在することを最後に付記したい。

 たとえば、2006年7月に発生した、ベトナム人女性の殺害事件で逮捕されたコンビニ店員・後藤明弘の場合は、殺害後、被害者宅内にあった果物ナイフで腹を切るなどして遺体を損壊し、挙げ句、携帯電話のカメラで遺体を撮影するという鬼畜の極みとしか言いようのない所業をしでかしているが、その動機については「殺害後に腹を切ってみようと思いついた」という、通常であれば考えにくい供述をしていたという。それはもともと後藤に死体愛好の気があったところに、非日常的な体験をしたことで沸き起こった衝動が、さらなる狂気を与えたともいえるが、そうした観点で言えば、この『名古屋妊婦切り裂き殺人事件』も、犯人には、Bさんの殺害ないし、物取りなどの別の目的がまずあり、それを達成するプロセスで偶発的に沸き起こった衝動に突き動かされる形で、猟奇的な行為が行われた可能性も、ひょっとしたらあるのかもしれない。

 既に時効を迎えて久しい事件ではあるものの、被害者とその遺族の無念を晴らす意味でも、何らかの形でこの事件の全貌が明らかにされる日が来ることを切に願うばかりだ。

事件の残虐性と異常性を改めて振り返る前編はコチラ!

文=野島居慎太郎

日本の凶悪事件に詳しいライター

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