哲学者アンリ・ベルクソンが「時間」という言葉を拒否した理由とは? 本来の「時間」の概念…
時間は空間ではないというベルクソンの主張はもっともなことであるが、科学者には評判が悪かった。物理学にも明るかったベルクソンはアインシュタインを尊敬しており、相対性理論は持続と矛盾しないと考えていたが、アインシュタインは持続という概念を好んでいなかったと言われている。特に数学者・論理学者・哲学者のバートランド・ラッセルは辛辣な批判者だった。
「ベルクソンの哲学は建設的な想像力を示しているが、私には完全に論拠を欠いたデタラメのように思われる」(ラッセル)
しかし、こうした批判をベルクソンに向けるのはかわいそうだ。ベルクソンの議論が明晰判明でないとしたら、それは時間を空間化せずに表現することの難しさに起因しているからである。ベルクソンは時間に正面から対峙し、そして敗れた。これはちょうど、ベルクソンの哲学に多大な影響を受けた日本の哲学者・西田幾多郎が、自らの哲学をいくら言葉を尽くしても語り切れなかったことを「刀折れ矢竭(つ)きて降を神秘の軍門に請ふたという譏(そしり)を免(まぬがれ)ないかも知れない」と読者に謝罪したことに重なる。
だが、持続を嫌ったアインシュタインでも、「生きられた経験」や「自分の状態の現実性」について語るとき、彼はベルクソンの主張に同意してしまっていたことは否定できないだろう。
参考:「Big Think」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊哲学者アンリ・ベルクソンが「時間」という言葉を拒否した理由とは? 本来の「時間」の概念…のページです。時間、アンリ・ベルクソン、持続などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで