形成外科は顔をどこまで修復できるのか? 学術誌掲載「顔面再建手術」の驚異的事例5選

■事例4. 皮膚移植手術

 顔面の皮膚移植手術はしばしば失敗する。たとえば、毛髪の生えるべき箇所に皮弁(移植する皮膚)を移植すると、その部分に髪の毛が生えてこないことがある。一方、中型の欠損(最大5×6センチ)では、後耳介(耳の後ろ)の皮弁を移植すると、皮膚の色が良好となり、他の部分との色の一貫性を得ることができる。後耳介の皮弁の移植は、主に眼窩や頬領域の再建に適している。

形成外科は顔をどこまで修復できるのか? 学術誌掲載「顔面再建手術」の驚異的事例5選の画像8画像は、「Hindawi」より
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 患者の組織が著しく不足している場合、皮膚の色と質感が異なる皮弁を使用せざるを得ない。ほとんどは前腕や腹部、足背の皮弁を使用して再建することになる。子宮頸部などの皮弁は色や質感の面で優れているが、女性での使用に限定される。下顎領域の皮膚の欠損した男性患者には、頭皮を皮弁として利用するのがより良い選択と考えられる。

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■事例5. 肥大化した骨格や皮膚の切除手術

 肥大化した顔の骨格や皮膚を手術で切除しても、過剰な組織によって良好な結果が妨げられることがある。たとえば、顔面に発症した重篤な神経線維腫症では、外科的治療の効果は非常に制限される。眼窩および前頭蓋窩の腫瘍を切除する手術は最も困難で、ほとんどが失敗するため、正常な外観の再建を期待できない。顔面の外皮が中程度に肥大している患者では、過度に根治的な切除を行うと、顔面神経を損傷する可能性がある。

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 筆者は論文の結論で、顔面再建手術には大きな可能性があるとしつつも、外科医が非現実的な期待を掲げてマスメディアと競合してはならないと軽症を鳴らす。外科医は、歪んだ自己顕示欲や経済的利益に惑わされず、現実と誠実さを大切にすべきだという。

 顔面再建手術は、限定的な欠損を伴う障害や変形の修復でしか成功しない。特定の部位を代替組織で大規模に置き換える手術は失敗の可能性が高く、最善の努力を尽くしても、期待される結果はほとんど実現されない。

 顔面再建手術は決して万能ではない。手術の結果が期待を裏切ることもあるという事実を患者は直視するべきだろう。


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参考:「Hindawi」、ほか

文=標葉実則

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