トカナ > 日本 > 事件 > コロナ禍で判明「首都直下地震で日本人が暴挙に」 > 2ページ目

コロナ禍でわかった「首都直下地震で日本人がパニックのあまり超ヤバい暴挙に出る」可能性とは!?

2022.01.10 12:00 文＝百瀬直也

Xでポスト

コロナ禍でわかった「首都直下地震で日本人がパニックのあまり超ヤバい暴挙に出る」可能性とは!?の画像4 — イメージ画像：「Getty Images」

■首都直下地震が起きたら……!?

　今後、人々がパニック状態に陥りやすい大災害が都市部で起きるとすれば、新型コロナの想像を超えた感染爆発、そしてやはり首都直下地震が最大の不安要素となるだろう。前述のように、ネットの報道やSNSによって昔とは比べ物にならないくらい情報の伝達速度が速いため、これまで以上のパニックが発生してもおかしくない。

　東京都だけで1400万の人口を抱える首都圏では、我々の想像が及ばない出来事が多く待ち受けているかもしれない。筆者は東日本大震災が発生した日、墨田区両国にあった某携帯キャリア会社のビルでソフトウエア開発に従事していた。その日の夜は、作業が終わった後も電車が止まっていて帰宅できず、そのビルに泊まることになった。22時すぎに食糧を調達しようと近くのコンビニに寄ったところ、弁当・おにぎり・パン類はすべて売り切れで棚が空になっていた。

　直撃を免れた地震でもこの有様だったのだから、都心の建物が次々倒壊して多数の死者が出るなかで、物流など経済も想像を絶する大混乱となるだろう。電力・ガス・水道・電話・インターネットなどのライフラインが停止することも予測され、日々の食糧調達さえ困難になる。1人暮らしのお年寄りなどが親族との通信が途絶えたまま亡くなる事態も考えられる。このような災害発生時は、たとえ若者でも1人暮らしでは頼る人がいなく、様々な点で生活に困難を感じることだろう。

コロナ禍でわかった「首都直下地震で日本人がパニックのあまり超ヤバい暴挙に出る」可能性とは!?の画像5 — 画像は「Wikipedia」より引用

　さらに、首都直下地震のような大地震で被害者となった時、普通ならば根拠が薄い情報はスルーする人でも、不安の中で「もしかして……」と信じてしまうケースも多発するだろう。外国人など少数派への攻撃や、あるいは殺人のような凶悪事件も増えることが考えられる。

　前述の関谷氏は「首都直下地震でも確実に外国人に関するデマやうわさが拡散すると思います」（NHK『災害列島命を守る情報サイト』）と断言する。

　そのようなデマや不確かな情報に惑わされないようにするためには、周囲の人々の意見や行動に容易に同調せず、信頼に足る情報を参考にしたり、関連する話も調べるなど客観的に情報を収集して行動することが大切だろう。

　一般に日本人は同調意識が強い国民性といわれ、周囲と異なる言動を嫌う傾向がある。1980年11月に発生した栃木県・川治プリンスホテルの火災では、ある団体が火災報知器が鳴っても誤報だろうと避難せず、その後に多くが遺体となって発見された。過去の記事で紹介したような、「正常性バイアス」と呼ばれる「思い込み」の心理状態が働き、「自分は絶対に大丈夫」と根拠のない確信を抱いた結果だろう。また、「他の人たちも避難しないから」というような他者に追随する心理が働いたのならば、それは「多数派同調バイアス」と呼ばれる心理状態だったのだろう。このように、パニックとは逆に、行動すべき時に行動しないことで犠牲になる場合もある。

　これまで書いてきたようなパニックに陥らないようにするには、まず「デマ」に惑わされないために情報の取捨選択に細心の注意を払うこと。それによって自分がデマを流す側にもならずに済む。また、品不足の不安が招くパニックについては、日頃から非常時の備蓄を心がけておくことで不安要素は減る。そして、いつ起きてもおかしくないとされる首都直下地震などの大災害について、日頃からよく情報を収集しておき、実際に起きればどうなるかなど、自らシミュレーションを行なっておくことも大切だ。

参考：「買溜めパニックにおける消費者の意思決定モデル」、「東日本大震災時の買い溜めパニック・寄付・物資送付の関連要因に関する研究：インターネット調査結果から」、「東京新聞」、「Yahoo!ニュース」、「NHK」、「防災システム研究所」、ほか