【3.11から9年】なぜ日本人は「自分だけは死なない」と思ってしまうのか!? アナタの命を奪う「認知バイアス」の恐怖を解説

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 巨大地震と津波で2万2千人の死者・行方不明者が出た東日本大震災から今年で9年経つ。あの時の津波では、走れば逃げきれた可能性があるのに、それをせずに亡くなってしまった人々もいたが、そこには「認知バイアス」という正常な判断を妨げてしまう人間の心理状態があった。では、その認知バイアスを抑制すれば、災害で亡くなるリスクを減らせるのではないか。そのような観点で、地震・津波からの減災を考えてみたい。

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画像は「Getty Images」より引用

■バイアスとは

 まず「バイアス」とは、心理学的には「偏見」「先入観」「思い込み」などと定義され、記憶や思考などの認知が一定方向にゆがんでしまう心理状態だ。認知心理学や社会心理学では、「認知バイアス」という定義があり、人間が無意識に誤った判断をする原因にもなる。

 この認知バイアスの一つである「正常性バイアス」については、4年前の記事で紹介したが、災害発生時などに「自分は絶対に大丈夫」と根拠のない確信を抱き、避難行動を取らない人々が多い。

 前述の4年前の記事では、津波から逃げようとしない人々の心理状態として、「正常性バイアス」のほか、「愛他行動」と「同調バイアス」を紹介した。「愛他行動」とは、自分の命を差し置いても他者を助けようとする利他的な心理のことをいう。3.11で津波が間近に迫ってきて避難する人々を撮影したYouTube動画を見ると、何度も後ろを振り返りながら走る人々が見られるが、津波が押し寄せる状況を確認することに加えて、家族や知り合いの無事を確かめたいという心理もあったとすれば、ここにも愛他行動が見られるといえるだろう。

 一方、「同調バイアス」(集団同調性バイアス)は、災害発生時などに、周囲を見回して人々の行動に同調し、「他の人たちが避難しないから大丈夫だろう」というような“思い込み”のことだ。

 実際のところ、災害発生時には他にも様々な種類のバイアスが見られる。まず、「楽観バイアス」は、正常性バイアスに似ているが、目前に迫った災害が大した被害をもたらすことがないと捉えて、異常事態を過小評価する傾向のこと。かつて筆者が会社勤めをしていた頃、仕事中に非常警報が鳴ったことがあったが、「また火災訓練かな」と思って、避難しようという気持ちにはならなかった。これなども、「正常性バイアス」あるいは「楽観バイアス」によるものかもしれない。

「現状維持バイアス」は、自分が未知・未体験のものを受け入れず、現状を維持して変更を避けようとする心理状態のこと。

「確証バイアス」は、個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合の良い情報だけを集めて先入観を補強するという傾向だ。いったんある決断を行うと、その後に得られた情報を、決断した内容に有利に解釈するようになる。

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