“黒い油まみれの男”が女性の寝室で… アジア最先端の極上恐怖「シンガポール怪談」

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イメージ画像:「Getty Images」

P氏  まず弊社ですと「倉庫のおじさん」が有名です。倉庫の端になぜか一人おじさんがずっと立っているんだそうです。何も言わず、何をするわけでもなく。出入りの業者や従業員の誰もが目撃するものですから、少し騒ぎになりまして。結局「スーパーバイザーの一人だから無視して作業するように」という上司から苦し紛れの通達がありまして、無理やり解決となりました。

 私自身の体験ですと、同じフロアで働く同僚に声をかけたら、別の誰かが返事をしてきたことがあります。パーテーションで区切られているんですが、残業している中、同僚も仕事中だと思ったので「帰りに何か食べようね」と声をかけると「うーん」と返事があった。再び話かけても同じように返事があったんです。「じゃ、帰ろうか」と立ち上がってパーテーションの向こうを覗くと、誰もいないんです。ずっと前からフロアで残業しているのは私一人だったんですよ。え……と思って。こんな感じなので弊社では夜7時以降は、もう残業せずに皆帰ってしまうんです。

 あとは、かなり古い型のカラーコピー機がありまして。これも私がひとり残業していたときですが、このカラーコピー機が突然動き出して、印刷された紙が出てきました。そこには「help」って書いてあるんですよ。でも、当時の私は仕事に忙殺されており、幽霊よりも納期に遅れてクライアントに怒鳴られる方が怖いので「いや、助けてほしいのはこっちじゃ!」とその紙は丸めて捨ててしまいました。会社員ナメんな、と。

――宗教・民族が違っても同じ怪異を目撃しますか?

P氏  興味深いことに同じ現象に遭遇するんです。シンガポールでは山に立ち入る際、ムスリムなのに山の神に祈る人もいます。珍しいのかもしれませんが。理由を聞くと、「そうしないと足が逆向きの人が現れて怖いから」と。私からすれば、それの何が怖いの? と思うんですが。ただ確かなことは、怪奇現象に遭遇するのに民族・宗教・言語は関係ないようです。

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文=神ノ國ヲ

学術論文からオカルト記事まで。
京都大学の博士課程に所属中。
Twitter:@kmnknw

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