ハトと15年の熱愛を経て、頭にドリルで穴を開けた女「テレパシーの存在を確信」

 現在79歳の熱心な薬物政策改革者の人生を大きく変えたのは、鳩との熱愛関係だった――。15年におよぶ鳩との熱烈なラブ・アフェアによって、彼女はテレパシーの存在を確信しその後、頭蓋骨に穴を開ける決断をするに至ったのだった。

■15年間に及んだバーディーとの熱愛関係

 有名なサイケデリックス研究者で「ベックリー財団」の創設者であるアマンダ・フィールディングが若かりし頃にドラッグを用いた“意識の変容”に興味を持った経緯を語っている。そこには鳩との熱烈な恋愛関係があったというのだ。

 1970年代前後のドラッグカルチャーの牽引者の1人であり、来年80歳を迎えるアマンダが「VICE TV」のインタビューで彼女の奇妙な鳩との熱愛関係について明かした。この体験が彼女の人生を変え、頭蓋骨に穴を開ける決断に導いたというのである。

ハトと15年の熱愛を経て、頭にドリルで穴を開けた女「テレパシーの存在を確信」の画像1
「Daily Star」の記事より

 彼女自身がバーディー(Birdie)と名づけた鳩との熱愛関係は実に15年間にも及び、人生で最も意味のある関係の1つであったと述懐する。

「雛の頃から自分で育てた鳩と情熱的な関係を持っていたので、その頃からテレパシーが存在することを知っていました。彼は私と一緒にいることに固執し、私と彼は狂ったように恋に落ちました。そしてそれは、私の人生において最も意味のある関係の始まりでした」(アマンダ)

 1日に何度も部屋の窓にバーディーがやってくる度、彼女たちは情熱的な抱擁を交わしていたという。バーディーの身体に頬を寄せると、彼はアマンダの瞳にやさしくキスをしたという。抱擁は時には30分続くこともあった。

「彼には情熱的な愛と、憎しみに満ちた嫉妬という2つの主な感情がありました。彼はいつもどこからか急降下してきて、どうして私が彼といつも一緒じゃないのかと非難しました。彼にとって私は空を飛べない哀れで不自由な存在でした」(アマンダ)

 バーディーが亡くなるまで15年間続いたという“熱愛”によって、アマンダはテレパシーを理解し、精神世界への強い興味関心を抱くことになったのである。つまり、今日の彼女を形作っているのはバーディーとの熱愛体験だったのだ。

 彼女のオックスフォードシャーの自宅の部屋には、窓の桟に立つバーディーの絵がに誇らしげに飾られている。そしてバーディーとの熱愛の期間中にアマンダは自らの肉体を使ったLSD実験に乗り出したのだった。

■27歳の時にトレパネーション手術を受ける

 16歳で学校に行くのをやめたアマンダは、その頃から大麻を使うようになり、22歳でLSDをはじめ“サイケデリックスの旅”に出たのだった。

 そして「穿頭術」を提唱する元科学者のヒューゴ・バート・ホッジスの影響を受け、頭蓋骨に穴を開けて人間の能力を高める「トレパネーション(trepanation)」に興味を持ったアマンダは、27歳だった1970年に医師の協力を仰いで歯科用ドリルで額に穴を開ける手術を受けた。その時の一連の模様を撮影したドキュメンタリー映画『Heartbeat in the Brain』が1970年にニューヨークで上映されている。しかし、この彼女の行動は医療専門家らによって非難され、一部からは悪評を浴びせられるようになったという。

ハトと15年の熱愛を経て、頭にドリルで穴を開けた女「テレパシーの存在を確信」の画像2
「Daily Star」の記事より

 しかしそれでもアマンダのLSD研究は着実に進められ、LSDの持つ「変革力と治療力」をテーマにして、LSDが人間の思考・感情・知覚を向上させ、またアルコール依存症とうつ病の治療にも応用できることを主張するに至り、決して少なくない支持を集めることになる。

 そしてアマンダは世界的な薬物政策の改革を目指し、向精神薬の科学的研究に取り組む団体である「ベックリー財団」を1998年に創設した。

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