凶悪犯罪者を死刑の代わりに昏睡状態に…!? 哲学者が提唱する「昏睡刑」の意外なメリット
次に、ベルショウ氏は死刑の代替案を考え、犯罪者を不可逆的な昏睡状態にするという刑の可能性を論じる。不可逆的な昏睡刑では、犯罪者の意識は完全に失われるが、それ以外の生命機能は病気や老衰で死ぬまで維持される。しかし、この代替案は死刑が有する問題点を克服できないだけでなく、死刑よりも費用がかかるので現実的ではないという。
そしてもう一つの代替案が、犯罪者を可逆的な昏睡状態にするという刑である。この刑では、犯罪者はいつでも意識を取り戻して人生を再開できる。冤罪が判明した場合、昏睡状態で失われた時間の補償を受けられる。また、95歳で死刑になるよりも25歳で死刑になる方が失われる時間が長いというように、死刑には年齢による不公平感があるのに対して、可逆的な昏睡刑は昏睡期間を細かく制御できるため、どのような犯罪にも適用できる可能性を秘めており、平等に時間を奪うという点で公平だという。懲役刑でしばしば起こる虐待を回避できるなどのメリットもある。
ベルショウ氏が提案する昏睡刑に生理的嫌悪感を抱く者も少なくないだろう。しかし、科学技術や価値観の変動が激しい現代において、「死刑に代わる刑罰は懲役刑しかない」という固定観念を見直すきっかけとして、昏睡刑について議論してみる価値があるのかもしれない。
参考:「Punishment and the Body」「Big Think」「Death Penalty Information Center」ほか
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2024.10.02 20:00心霊凶悪犯罪者を死刑の代わりに昏睡状態に…!? 哲学者が提唱する「昏睡刑」の意外なメリットのページです。死刑、刑務所、昏睡、懲役刑などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで