6歳で「家族を皆殺しにする」計画を立てた超サイコパス少女の現在とは? “実験的な治療法”を試され…!
1992年9月29日、米放送局CBSがドキュメンタリー『Child of Rage』を放映した。この番組はカナダ・バンクーバーで撮影され、子供の頃に性的虐待を受けたことで深刻な行動上の問題を抱えていた女児、ベス・トーマス(当時6歳)が出演した。
ドキュメンタリーには、無感情のベスが「真夜中に寝ている養父母と弟を殺したくなる」と精神科医に告げる光景が収められており、視聴者を戦慄させた。そして養父母のティムとジュリーは、「夜にベスを部屋に閉じ込めて、刺し殺されないようにしている」と明かした。さらにベスは、弟のジョナサンを性的に虐待し、飼い犬を拷問し、ひな鳥を殺したことも認めた。ジョナサンは、ベスによって繰り返し頭をコンクリートの床にぶつけられて病院に駆け込んだこともあったという。
ベスのサイコパス性と問題行動は、生後2年の間に深刻なトラウマを抱えたことによるものだった。1歳の時に実母が他界してから、弟とともに実父に育てられていたが、その父は子供たちに食べ物をろくに与えず、さらにベスを性的に虐待した。
そしてベスが2歳の時、姉弟は牧師夫妻に引き取られて養子となった。牧師夫婦は当初、ベスが実の父親から虐待されていたことを知らなかった。新しい両親のもとでの生活が始まったベスだが、やがて良心の欠如が疑われる行動を見せはじめ、実父が彼女にしたように、弟を性的に虐待するようになった。このことに悩んだ養父母は、最終的にベスを部屋に閉じ込めることを決めた。
やがてベスは子供の精神障害である「反応性愛着障害(RAD)」と診断された。素直に大人に甘えたり、頼ったりできないのが特徴で、患者によっては相手に対する強い警戒と攻撃性がみられる。虐待などの不適切な養育環境が原因で発症し、しばしば幼児が親や保護者と健全な関係を築けない状況に至る。
精神科医らはベスの良心を育もうとしたが、ことごとく失敗した。しかし、セラピストのコネル・ワトキンスによる「徹底的な行動修正療法」という実験的な治療法を試すと、彼女の行動に少しずつではあるが変化が生じるようになったという。そんなタイミングでドキュメンタリー番組は収録されたのだった。
そして1年後、ベスは再び家族と部屋を共有できるようになり、自傷行為をやめ、弟に対する虐待を心から反省した。このタイミングでベスは2番目の養父母であるトーマス夫妻の養子になった。新たな養母であるナンシー・トーマスは、ベスのように情緒不安定な子供たちを100人以上育ててきた実績がある。
ベスは公立学校に通えるようになり、やがて看護師となるために勉強に打ち込み、その夢を実現させた。現在、看護師として働く傍ら、資格を取得してセラピストとしても活躍している。また、ナンシーとともに『More Than A Thread of Hope』という書籍を共同執筆し、RADの子供を養育する家族を支援する会社「Families By Design」も米国に設立した。彼女は結婚してアリゾナ州に住んでいるが、私生活や子供の有無などについては公表されていない。
前述のドキュメンタリー番組において、コネルはベスの良心を育むのに成功した治療法の内容を解説している。具体的には、食事やトイレの使用も含むあらゆる行動を起こす前に、ベスはコネルに頼んで許可を得なければならなかった。制限下にあってコネルの許しを得るごとに自由にできることが増えていく――そんな過程によって、ベスは自分が愛され、信頼され、受け入れられていると感じ始めたというのだ。
このベスの治療は「成功」と見なされることが多い。しかしその一方、徹底的な行動修正療法には暗い側面があることも忘れてはならない。なんと2000年、コネルは子供を死に至らしめるほどの児童虐待で逮捕され、有罪判決を受けた。彼女は、10歳の子供を「再生」させるため、子宮にいる状態をシミュレートしようと試み、子供を窒息死させたのである。さらに、そもそもコネルがセラピストとしての免許を保有していなかったことも判明している。
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2024.10.02 20:00心霊6歳で「家族を皆殺しにする」計画を立てた超サイコパス少女の現在とは? “実験的な治療法”を試され…!のページです。セラピスト、サイコパス、児童虐待、性的虐待、反応性愛着障害などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで