放射線か奇病か? 突然人々が目覚めなくなる「眠り村」の謎=カザフスタン

 このカラチという村、実は旧ソ連時代のウラン鉱山に隣接している。今は廃山となり採掘場も閉鎖されているが、昔は厳しく立ち入りが制限される秘密の場所だった。当時の村は、採掘場で働く労働者たちで賑わってもいたという。そして現在、多くの村人は、このウラン鉱山跡こそが「眠り病」の元凶ではないかと考えており、有毒物質が風に乗って流れたり、地中を伝っているのではないかと恐れているようだ。

 実際、「ロシア・トゥデイ」の取材クルーがウラン鉱山跡で放射線量を測定してみたところ、基準の16倍という高い数値を示した。また地元の有志が調査した際、採掘場には絶えず不思議な“甘い匂い”が漂っていたと伝えられている。

 ところが、である。このウラン鉱山説が正しいかというと、決してそうも言い切れないのだ。まず、患者たちに現れる症状が放射線中毒によって引き起こされるものとは異なっている上、カラチ村の放射線レベルが自然状態と比較して特段高いわけでもない。さらに、過去鉱山で働いていた人々は、「眠り病」など発症していないというのだ。

■解消されない不安

 結局現在までのところ、医師も学者も村人も「眠り病」の原因を特定できず、患者たちには「原因不明の脳疾患」という診断が下るばかりのようだ。医師たちは、脳浮腫の状態が長引くと、子どもの発達に深刻な悪影響が及ぶのではないかと危惧しているが、原因が分からないことには対処のしようもなく、ただただ手をこまねいている。

「私たちは、今後何が待ち受けているのか心配しています」

 カラチの村民は、日々このように恐怖の中で生活することを余儀なくされている。今回の報道を受けて、英紙「The Daily Mail」のインタビューに応じたラフバラ大学睡眠研究センターのジム・ホーン教授は、

「これは睡眠に関する病気のようには思えません。むしろ比較的軽い脳炎の症状のように思えます」
「誰も発熱などを起こしていないようですから、やはり環境汚染によるものではないでしょうか」

と語っている。ちなみに、現地取材を行った「ロシア・トゥデイ」のクルーは、誰も「眠り病」の症状に襲われることはなかったとされる。一日も早く原因が特定され、カラチ村の住民が安心して暮らせるようになることを心から祈りたい。

参考:「RT」、「The Siberian Times」、「The Daily Mail

TOCANA編集部

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