死後写真集&隠された母 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本
――【連載】驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する想像を超えたコレクションを徹底紹介!
「驚異の陳列室」を標榜し、写真集、画集や書籍をはじめ、5000点以上に及ぶ奇妙な骨董品を所蔵する大分県・別府の古書店「書肆ゲンシシャ」。
SNS投稿などでそのコレクションが話題となり、九州のみならず全国からサブカルキッズたちが訪れるようになった同店。今では少子高齢化にあえぐ地方都市とは思えぬほど多くの人が集まる、別府の新たな観光名所になっているという。
本連載では、そんな「書肆ゲンシシャ」店主の藤井慎二氏に、同店の所蔵する珍奇で奇妙な本の数々を紹介してもらう。
■まだまだあるぞ、「死後写真集」
――前回は死後写真集『Sleeping Beauty: Memorial Photography in America』を、ご紹介いただきました。これは医師でありながら、19世紀頃の医学に関する写真のコレクターでもあったスタンリー・バーンズ氏による写真集なんですね。
藤井慎二(以下、藤井) 彼が蒐集した写真を管理している「バーンズ・アーカイブ」の『A Morning’s Work : Medical Photographs from the Burns Archive & Collection, 1843-1939』も、同時期の医学写真を収録した写真集ですね。背骨の歪みを矯正する装置をつけられた患者や、無脳症の結合双生児の写真、あと、当時は解剖医が解剖した遺体と一緒に記念撮影する習慣があったようで、そういう写真が載っています……。バーンズ・アーカイブだけで、かなり語れるところではあります。
――医学の発展のためとはいえ、なんだか複雑な気持ちにさせられる写真ばかりですね。
藤井 医学写真以外にも、バーンズ・アーカイブは日本の芸者の写真集も出していますよ。
――どうして、その枠組みに芸者が……。ところで、前回紹介された『Sleeping Beauty』は、いくらくらいで購入できるのでしょうか?
藤井 シリーズ3冊とも現在品切れですが、『I』は5万円程度、『II』は3万円程度、2000年代の写真も収録されている『III』は1万円程度で買えます。
――写真集としては、一般的な値段ですね。
藤井 ほかにも、死後写真の写真集というのはまだまだあって、『Beyond the Dark Veil : Post Mortem & Mourning Photography from the Thanatos Archive』はまだ新品で入手でき、定価4000円ぐらいで買いやすいですよ。ほかにも、同じく新品で入手できる『post mortem』は2000〜3000円です。
――死後写真って、こんなにあるんですか……。
藤井 まあ、昔は立派な風習でしたしね。あと、うちにある死後写真に関する本だと、『Secure the Shadow: Death and Photography in America』という、アメリカの死後写真が収められた写真集がありますね。また、『The Photographic Experience 1839-1914: Images and Attitudes』には、心霊写真などと同列に、死後写真も載っていますね。日本語で読める本だと、「ヴァナキュラー写真」を研究している写真史家のジェフリー・バッチェンによる『時の宙づり-生・写真・死』がおすすめです。この本では亡くなった人の写真に献花されている追悼写真や日本の遺影が紹介されています。こうした写真は「ヴァナキュラー写真」といって、いわゆるアート写真ではない、無名の人々が撮影した写真として位置づけられています。
――心霊写真と死後写真を一緒くたにしてもいいんですかね?
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2024.10.02 20:00心霊死後写真集&隠された母 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本のページです。大分県、死後写真、書肆ゲンシシャ、バーンズ・アーカイブ、ヴァナキュラー写真、Hidden Mother、隠された母などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで