梅毒で死亡した500年前の女性の顔を復元… 顔がただれ、頭蓋骨に穴
日本で梅毒患者が増加しているというニュースが話題になっているが、この度、アイスランドで発見された500年前の女性の頭蓋骨から、この女性も梅毒に苦しみ、そして死に至ったことが判明した。研究者らは、頭蓋骨から女性の顔を復元、その恐ろしい病状が明らかになった。
この女性の身元についてはあまり知られていないが、彼女は25歳から30歳まで生きていたと考えられている。10年ほど前にアイスランドの修道院の墓地から遺骨が発見された。骨格から梅毒のほか、変形性関節症や幼少期の栄養失調による歯のエナメル質低形成症があることが、歴史的骨格のオンラインアーカイブ「Northern Heritage Network」が提供した頭蓋骨の3Dモデルの分析で明らかになっている。
この研究の著者の一人であるブラジルのグラフィック専門家、シセロ・モラエスは、彼女の頭蓋骨に印された病変に衝撃を受けたという。
「三次梅毒は非常にインパクトのある方法で近似値に変換されました。損傷は骨に到達するほど深刻でした」(モラエス)
梅毒は一次梅毒、二次梅毒、三次梅毒と症状が悪化していき、三次梅毒においては全身に肉芽腫が出来る。
モラエスは、データベースに登録されているこの女性と同年代に死亡したヨーロッパ系の女性の頭蓋骨や、仮想ドナーの輪郭を調べて、最終的な顔の輪郭を作成した。
ペニシリンのような抗生物質ですぐに病気をなくすことができる今日とは異なり、16世紀には、ヨーロッパ系の人々は症状を緩和するために、薬草や水銀を含む軟膏に頼るしかなかった。また、「Journal of Military and Veterans’ Health」の2021年の記事によると、汗を流す風呂も人気があり、「梅毒を除去するのに役立つ」と誤って考えられていたという。
研究者らはこの復元画像を「個人における病気の発症の一例であり、梅毒が適切に治療されないと非常に深刻なものになることを示す」ことができるようにしたという。
梅毒の恐ろしさは多く語られているが、末期状態ともなれば病変が頭蓋骨まで達することを示すこの復元画像は性感染症防止に一層大きな役割を果たすかもしれない。
参考:「Live Science」ほか
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