超集中状態「ゾーン」に入る方法とは? “2種類のゾーン”使い分けて能力覚醒か

 アスリートなどがよく口にする”ゾーン”とは、集中力が極限まで高まり、感覚が研ぎ澄まされたように感じる状態のこと。過集中状態とも呼ばれている。長らくこの状態は1種類しかないと考えられてきたが、最近の研究で”フロー状態”と”クラッチ状態”の2種類あることが明らかに。ゾーンに入るためのコツとその仕組みを解説していく。

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※ こちらの記事は2020年12月7日の記事を再掲しています。

 アスリートが最高のパフォーマンスを見せた時、後から当人は「あの時、ゾーンに入っていた」と口にするケースがある。長らくこの“ゾーン”は1種類しかないと考えられてきたのだが、興味深いことに最近の研究でゾーンには2種類あることが指摘されているのだ。

■2種類のゾーン、フロー状態とクラッチ状態

 集中力が極限までに研ぎ澄まされて、今すべきことに完全に没頭している状態であるゾーン(zone)は、アスリートだけでなく楽器演奏やビデオゲームのプレイ、筆記試験などでも起こるといわれている。

 これまで長らくこのゾーンの状態は1種類しかないと考えられてきたのだが、最近の研究でゾーンには2種類あることが報告されている。

 豪・サザンクロス大学の研究チームは多くのアスリートにインタビューを行い、ゾーン体験についての情報を収集した。アスリートが口にすることが多いゾーンだが、話を詳しく聞いてみると、直近に体験したゾーンには2種類あることが浮き彫りになったという。過去のゾーン体験は記憶がぼやけてしまうことが影響し、体験者自らがゾーンには1種類しかないと考えがちであることがわかってきたのだ。

 では、その“2つのゾーン”とはどんなものなのか。研究チームによると、1つは「フロー状態(flow state )」であり、もう1つは「クラッチ状態(clutch state)」だという。

超集中状態「ゾーン」に入る方法とは? 2種類のゾーン使い分けて能力覚醒かの画像1
画像は「Science Alert」より引用

 フロー状態のゾーンは、当事者は完全に今行っていることに没頭しており、身体がまるでオートパイロット状態であるかのように自動的に動き、意識的な努力をすることなく完全に調和した挙動を見せる状態である。

 一方、クラッチ状態のゾーンは当事者に目的が意識され、その目的を達成するために集中力を発揮して取り組んでいる状態である。ラストスパートをかけるランナーなどがこれにあたる。

■両方のゾーンが同じイベントで発生することも

 もっと頻繁にゾーンに入ることで、仕事を含めて各種のパフォーマンスが向上することは明らかだが、ではどのような状況でこの2つのゾーンに入るのか。最初のステップは、それぞれのゾーンを理解することである。

 クラッチ状態はパフォーマンスの結果の重要性が意識された時に、そのプレッシャーの下で発生する。締め切りに間に合わせる、最後のバスに乗るために走る、またはレース終盤に自分のベストを尽くして走り切ることなどだ。

 一方でフロー状態は目新しさ、探索、試行ができる状況で発生する。たとえば初めてゴルフコースをプレーすること、新しいルートを走ること、または空白のノートを広げてアイデアを書き連ねるブレインストーミングなどで起こる可能性がある。ここにはプレッシャーや期待は端からなく、自由な試みが可能だ。

 両方のゾーンが同じイベントで発生する可能性もある。 たとえば、マラソンランナーがレースの中盤までフロー状態にあり、途中で自己ベストを破るチャンスや勝つチャンスがあることに気づき、終盤でクラッチ状態に入って集中したパフォーマンスを発揮するケースなどだ。

超集中状態「ゾーン」に入る方法とは? 2種類のゾーン使い分けて能力覚醒かの画像2
画像は「The Conversation」より引用

■ゾーンへの入り方

 ではどうすればこれら2つのゾーンに入りやすくなるのか。

 クラッチ状態は、この先にある重要な結果に気づき、何が必要かを理解し、努力に集中したときに発生する。たいていの人は仕事やスポーツでこのクラッチ状態を味わったことがあるはずである。

 クラッチ状態に入るための鍵は、特定の目標を念頭に置き、課題に対処するために何をする必要があるかを明確に理解することだ(たとえば「この最後の1キロを5分以内に走れば自己ベストを破ることができる」など)。

 心の底から結果を求めているのであれば、ある意味で自然にクラッチ状態に入ることができる。

超集中状態「ゾーン」に入る方法とは? 2種類のゾーン使い分けて能力覚醒かの画像3
画像は「The Conversation」より引用

 一方でフロー状態に入るには、少し違った考え方をする必要がある。探求できる状況、つまり期待やプレッシャーから解放される状況を作り出し、自由に何でもトライできる時間に身を置くのである。

 フロー状態の重要な部分は、「私がどれだけうまくできるかを見る」、「私が得ることができるアンダーパーの数を見る」、または「次の5キロをどれだけ速く走れるかを見る」などの“枠”にとらわれないオープンなゴールを設定することだ。

 これらの制限のない、特定されていない目標は、プレッシャーと期待をなくし徐々に自信をつけていき、フロー状態に入る可能性を高めるのである。

 フロー状態に入るのはなかなか難しそうであるが、どちらのゾーンであれパフォーマンスの向上のために活用してみてもいいだろう。

参考:「Science Alert」、「The Conversation」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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