2023年、注目の次期宇宙ミッション5選! 宇宙旅行、木星の水、スーパーヘビー・ロケット

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画像は「Getty Images」より

 2022年は、アメリカ航空宇宙局(NASA)のアルテミス1ミッションの完了やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の稼働開始、中国の天宮宇宙ステーションの完成など、宇宙開発分野にとって様々な出来事のあった1年だった。近年技術の進歩が目覚ましい宇宙開発分野だが、2023年もまた忙しい1年になりそうだ。今回は2023年に予定されているエキサイティングな5つのミッションを紹介しよう。

1. 木星アイシー・ムーン・エクスプローラー(Jupiter Icy Moons Explorer)

 4月、欧州宇宙機関(ESA)は、ヨーロッパ初の木星専用ロボットミッションとなる木星氷衛星探査機(Juice、ジュース)を打ち上げる予定だという。ジュースは2031年7月に木星に到達し、木星の軌道からエウロパ、ガニメデ、カリストなどの木星の主要な衛星へ何度もフライバイする予定。そして4年間の探査の後、ジュースは太陽系最大の月であるガニメデの軌道に入り、他の惑星の衛星を周回する史上初の探査機となる。木星の衛星は凍った表面の下に液体の水の海を湛えていると考えられており、特にエウロパは太陽系内で地球外生命体が存在する可能性が最も高い衛星のひとつと考えられている。ジュースには氷を透過するレーダーなど10種類の科学機器が搭載されており、氷の内側の海を調べることも可能。打ち上げ期間は、4月5日から25日までを予定している。

2. SpaceX社製スターシップ

 本稿執筆時点で航空宇宙企業SpaceX社から日付は発表されていないが、超重量級宇宙船Starshipの最初の軌道試験飛行が2023年初頭に行われることが計画されている。スターシップは、乗組員と貨物を運ぶ宇宙船「スターシップ」とスーパーヘビー・ロケットからなる2つのコンポーネントのシステムの総称でであり、地球から宇宙の目的地まで人間を運ぶことができる最大の宇宙船。また、地球低軌道まで100トンの貨物を持ち上げることができる、これまでに打ち上げられたロケットの中で最も強力なロケットとなる。スターシップは過去に何度か短期間の試験飛行が行われ、さまざまな成功を収めている。しかし、システム全体が一体となって宇宙へ到達するのは、今度の飛行が初めて。当初は2022年9月に打ち上げられ、最初の軌道飛行を行う予定だったが、何度か延期されている。果たして今度は成功するのだろうか、気になるところだ。

3.dearMoonプロジェクト

 一般市民を乗せて6日間かけて月面を往復する、待望の宇宙旅行こと「dearMoonプロジェクト」も2023年に行われる予定だ。このプロジェクトは実業家でありZOZOの社長である前澤友作氏が資金を提供し、前澤氏と一緒に旅に出る8人の一般人(および乗組員)を選ぶコンペが設定され、すべて完全な費用負担で行われることになっている。なお、受賞者や選考基準は明らかにされていない。

 これまで宇宙へ行けるのは非常に厳しい基準で選ばれた宇宙飛行士に限られていたため、今回のミッションは宇宙に対する考え方に大きな変化をもたらすことになると考えられている。しかしたった数日間であっても、宇宙旅行は人の健康面や技術面に非常に大きなリスクを伴うものであることは間違いない。「dearMoonプロジェクト」の正否は今後の宇宙開発や宇宙旅行の将来に対する試金石と言えるだろう。

4. 小惑星探査機オサイリス・レックス、地球に帰還

 NASAの小惑星探査機オサイリス・レックス(OSIRIS-REx,Origin Spectral Interpretation Resource Identification Security – Regolith Explorer)の小惑星ベンヌからのサンプルリターンは2023年中に予定されている。順調にいけば、オサイリス・レックスのカプセルはパラシュートで9月24日にユタ州の砂漠に軟着陸する予定。小惑星のサンプルリターンは、2020年に日本の宇宙機構が実施した「はやぶさ2」ミッション以来2回目。

 小惑星ベンヌは大きさがわずか0.5キロしかないほぼ菱形の天体だが、興味深い特徴を多く持っている。ベンヌは太陽系誕生から1000万年の間に、もっと大きな小惑星から分離したと考えられており、その中に検出された鉱物の一部が水によって変化していた事が判明している。そのためベンヌの古代の母天体には液体の水があったことが示唆されており、惑星や太陽系ができるまでの仕組みを知ることができるのではないかとみられているのだ。オサイリス・レックスは今も最大1キログラムの貴重なサンプルを搭載した状態で、地球に高速で帰還している最中だ。

5. インドを初めとする民間宇宙開発の活発化

 民間宇宙ロケット会社といえばSpaceX社が有名だが、世界では他にも多くの企業が独自のシリーズを開発している。2022年11月にVikram-Sロケットの打ち上げに成功したインドのSkyroot Aerospace社もその一つ。2023年にはインドの民間企業として初の衛星打ち上げを行う予定だ。Skyroot社はロケットを3Dプリントを用いて数日で製造することで、民間宇宙打ち上げのライバル企業のコストを下回ることを目標としている。これが成功すれば、科学ミッションをよりロケットが安価に打ち上げられるようになり、研究のスピードアップも期待できるという。

 他にも2023年には多くの大胆な技術開発や打ち上げが予定されているという。宇宙開発は今や、1960年代や70年代に各国が競って打ち上げを行った「黄金時代」と同じように新しい局面を迎えようとしているのだ。

参考:「Unexplained Mysteries」ほか

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

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文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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