航空宇宙自衛隊の誕生で日本の属国化が決定か… 米宇宙軍は「宇宙人との同盟」も視野=ジェームズ斉藤

【連載:某国諜報機関関係者で一切の情報が国家機密扱いのジェームズ斉藤(@JamesSaito33)が斬る! 国際ニュース裏情報】

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画像は「Getty Images」より

ジェームズ斉藤(以下、ジェームズ):政府が航空自衛隊の名称を「航空宇宙自衛隊」に改称しましたが、ここには大きな問題が一つあります。

──どんな問題ですか? 〇〇新聞では「隊員から戸惑いの声も」という記事が出てましたが。

ジェームズ:いえ、その記事で隊員が戸惑っているのは隊の名前が長いからってだけのことです(苦笑)。〇〇新聞がいつものようにやっている左翼的なミスリードにしか過ぎません。問題点を指摘するのであれば、そんな重箱の隅をつつくようなことではなく、もっと将来的な視点をもった上でやってほしいと思いますね。

 はっきり言って空自が宇宙まで管轄することはすでに2020年から決まっていました。その年に航空自衛隊の中に宇宙作戦隊というものができていましたし、今年になってからは宇宙作戦隊を統合して宇宙作戦群もできていましたので、航空自衛隊が航空宇宙自衛隊になることはほぼ決まっていたのです。ですから戸惑うなんてことがあるわけがありません。〇〇新聞らしい自衛隊に対する嫌がらせの記事ですね。

──〇〇新聞のやりそうなことだったんですね(苦笑)。

ジェームズ:それに問題を指摘するのであれば、空軍だけでなく陸軍や海軍から司令官を出向させる官僚らしい高等人事のほうでしょう。これをすることによって、宇宙は航空自衛隊の利権になります。

──利権はできるんでしょうね。でも、ジェームズさんが指摘したい問題点はそこじゃないんですよね?

ジェームズ:実は、奇しくも〇〇新聞が指摘した名称に関する問題です。ただし、「長い」という子供じみたものではありません。「航空宇宙自衛隊」という名前そのものに大きな問題が含まれています。

──名前そのものがダメなんですか?

ジェームズ:はっきり言ってこの名称はよくありません。なぜ、良くないのか、その理由を話すにはアメリカの宇宙軍と比較することで見えてきます。

 アメリカはいま陸海空軍、海兵隊にプラスして宇宙軍という独立した組織を作りました。宇宙軍独自の司令官もいますし、宇宙軍独自の制服もあります。なぜ新しく宇宙軍を作ったのかと言えば、アメリカは宇宙を新たなフロンティアとして見ているということです。そのためには宇宙に司令部を作ることも考えています。

──空自を宇宙と兼務にした航空宇宙自衛隊とは大違いだということですね。

ジェームズ:そうです。もっとも日本が独立した宇宙軍を作らない理由はわかるんですよ。もしも、宇宙軍を作るなんて言ったら極左の連中が大騒ぎするでしょう。大きな予算も新たに必要になってきますから、空自を航空宇宙自衛隊に改称して空と宇宙の兼務をさせたのです。

 そんな苦肉の策をしてまでなぜ宇宙軍が必要なのかというとハイパーソニックミサイル(超音速ミサイル)などが出てきたためです。これらのミサイルは地表からの迎撃で落とすのはもう難しいんですよ。これまでのように北朝鮮からの弾道ミサイルであれば日本海にいるイージス艦から迎撃できたんですが、ハイパーソニックミサイルにこれは使えません。弾道ミサイル防衛(BMD)といういままでのミサイル防衛のやり方は古くなったということです。ハイパーソニックミサイルは、弾道ミサイルのように宇宙を通過せず、音速以上で高度100km以下の大気圏を突っ走り、しかも航路を変えながら攻撃してくるので、非常に厄介です。対策としては人工衛星から監視及び追跡をする必要があります。滑空段階迎撃(GPI)という、ハイパーソニックミサイルが発射され、大気圏を滑空する段階で海軍のイージス艦からの迎撃ミサイルで仕留めるという構想で、これには宇宙でのインテリジェンス力が必要不可欠になります。また将来的に、衛星から迎撃ミサイルを発射して宇宙から仕留めるというやり方も研究されています。

──それで宇宙まで管轄する航空宇宙自衛隊なんですね。でも、この名称の何が問題なのですか?

ジェームズ:ここで重要なのは2020年に作られた宇宙作戦隊のレベルであれば昔の米空軍のような機能を模倣しただけでよかったんです。なぜならアメリカ空軍も宇宙作戦隊の役割を持っていたからです。しかし、アメリカはいま宇宙軍というものを別組織として作りました。将来的には宇宙ステーションを作ってそこに宇宙軍の司令部を置く予定です。

──いまある宇宙ステーションとは別に軍事用にってことですか?

ジェームズ:そうです。いまの国際宇宙ステーションはシビリアンの施設で軍のものではありません。そうではなく、軍事版宇宙ステーションを米軍は作ろうとしています。そこに司令部の機能を置き、宇宙に司令部が常にある状態を作ろうとしています。そうすることによって地球全体が一目瞭然で見渡せながら作戦の指揮ができます。実は地球を宇宙から360度見渡すことができる国というのは長らくアメリカとロシアしかありませんでした。アメリカはGPSによって地球全体を一目瞭然に見渡すことができます。一方ロシアはロシア版GPSであるGLPNASS(グロナス)というものを持っています。これが最先端のインテリジェンスで、このことによって宇宙はアメリカとロシアが圧倒的なアドバンテージを誇っていました。

 ところが、ここにEUと中国が割って入ってきたのです。2010年代に本格始動したEUのガリレオ、そして2020年6月に中国の北斗衛星導航系統が全世界をカバーできるようになり、宇宙競争が激化したのです。すでに宇宙では熾烈なインテリジェンス戦争が行われ、これに勝つには敵国の衛星を落とす能力が必要になります。米空軍が開発中の対衛星迎撃システムASATなどにその能力はありますが、米軍が考えているのは宇宙でのインテリジェンス戦争に勝つだけでなく、宇宙から作戦指揮をすることも視野に入れています。つまり、すでに米国内にある宇宙コマンド(Space Command)ではなく、本物の宇宙にコマンド(司令塔)を作るというのが最先端の米軍の構想です。

──つまり、航空宇宙自衛隊を作るということは、その能力を得なければダメなんじゃないか、ということなんですか?

ジェームズ:いえ、航空宇宙自衛隊がその機能を持つ予定はありません。

──あっ、そうなんですか(苦笑)。

ジェームズ:はい。あくまで米軍に依存して、日本がやらなければならないところだけをやりましょうというものです。あくまで米軍ありきの話であり、米軍の外部委託という枠組みでしかありません。アウトソーシングです。日本の領土を守るための専守防衛ドクトリンから1ミリも逸脱せずクソ真面目に遵守しています。アメリカの宇宙軍のような壮大なスケールの展望は持っていません。

──相変わらずアメリカの属国という感じですね。

ジェームズ:現状では仕方ないことでしょう。しかし、いつまでそれを続けるつもりですか? と私は感じています。さきほども言ったように宇宙は人類最後のフロンティアです。アメリカもロシアもEUも中国も虎視眈々と狙っています。GDP世界3位の日本がなぜそれを狙わないんですか? はっきり言えば、宇宙こそ利権の宝庫ですよ。日本の政治家や官僚が最も好きなものが宇宙にあるのになぜ狙わないんですか?

──たぶん、アメリカのおこぼれに預かることで満足しているんでしょうね。

ジェームズ:ですから、性根が腐っているんでしょうね、彼らは。そして、それが「航空宇宙自衛隊」という名称にも表れていると私は言っているのです。どういうことかというと、航空宇宙自衛隊のマインドセットはどこまでいっても空軍だということです。もとが空軍なのですから当たり前の話ですが、マインドセットのレベルで空軍ということは空軍の考え方を宇宙に持ち込んでしまうということです。しかし、それではアメリカや中国、ロシア、EUには勝てません。後手後手になってしまうのです。

 ではなぜ後手後手になるのかというのをお話ししましょう。まず、アメリカの宇宙軍のマインドセットはどういうものかというと、一つには宇宙から自国を守るというものがあります。この部分では日本の航空宇宙自衛隊も同じです。しかし、もうひとつアメリカの宇宙軍には重要な役割として宇宙を開拓するというものがあるのです。要は月や火星を植民地にしようというものです。植民地にしてそこに人間を送り込んでそこを人の住むところにして自分たちの領土にしようとしているということです。イメージしやすく言うと大航海時代のスペインやポルトガルのように宇宙に帝国を作ろうとしているのです。一方、航空宇宙自衛隊は日本を宇宙から守るだけですね。

 なぜそんなマインドセットになってしまうかというと空軍のままだからです。空軍というのは制空権を確保するための軍で土地をぶんどる感覚はありません。自軍や同盟軍が自由に空の作戦を遂行できるよう、敵に自由を与えないことがすべてです。たとえば、空から敵の航空機やドローンを排除することです。

 しかし、宇宙軍には土地をぶんどる感覚、大航海時代の欧米植民地主義的なマインドセットがないとダメなのです。つまり、空の感覚ではなく、海の感覚です。宇宙は空ではなく、海なのです。海戦における制海権とは、究極的には海をコントロールし、陸に影響を及ぼすことです。この発想があると月と火星を植民地にしようという考えも自然に出てきます。実際、アメリカは火星や月をどう見ているかというとフィリピンやハワイのように見ているんです。昔、アメリカは海に出ていってフィリピンやハワイを取ってますよね? それとまったく同じ発想です。これは中国もそうで戦略支援部隊という軍が陸海空から独立して宇宙を管轄しています。彼らはいま月に基地を作ろうとしています。

──中国まで……。

ジェームズ:ただし、中国は月面基地から地球を監視するのが目的ですから、アメリカよりはスケールが小さいです。対して、アメリカの場合は正真正銘の「宇宙レベル」の発想をしており、火星に人間を送り込んで新しい人種“火星人”を作ろうとしているほどです。私は、米軍の内部資料で「宇宙をフロンティアとみなし、惑星を植民地化し、地球からの移民を送り込み、新しい『宇宙人』を作り出す」という箇所を実際に読んでいます。さらに「エイリアンの勢力と同盟関係を結ぶ」という構想も目にしています。

──エイリアンと同盟!?

ジェームズ:そこまでアメリカは考えています。ところが、日本は空軍の感覚でその場、その場を制圧できれば十分だとしか考えていないのです。日本はこのちっぽけなマインドセット、アメリカ従属が当然といったマインドセットをいつまで続けるつもりですか? はっきり言って宇宙は資源の宝庫ですよ。フロンティアに乗り出していく、海の感覚で宇宙を見ないと、完全に宇宙の後進国になってしまいますよ。

──確かにいまの航空宇宙自衛隊はアメリカ軍のコバンザメにしかなっていませんね。

ジェームズ:それではのちのち禍根を残すことになるでしょう。今後数十年で宇宙を支配した国が地球を支配します。ですから日本の航空宇宙自衛隊も空のマインドセットを捨て、宇宙を海として見て、アメリカや中国に遅れを取らないようにしてほしいと私は切に願っています。

──おっしゃることはわかりますが、少し大げさじゃないですか? 

ジェームズ:いまは大げさに聞こえるかもしれません。しかし、中露が崩壊し、アメリカがまた日本を敵視する時代になったら話は変わってきますよ。実はそうなる可能性は決して低くなく、諜報機関関係者の間では、2040年代頃になると言われています。そうなった時に備えて、そろそろ日本人はマインドセットを変える必要があります。対米従属を当たり前に受け入れるマインドを一刻も早くやめなければいけません。

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ジェームズ斉藤(@JamesSaito33)
某シークレットセミナー教官。某国諜報機関関係者で、一切の情報が国家機密扱い。国際ニュース裏情報の専門家。ツイッターはこちら

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文=中村カタブツ君

元『紙のプロレス』編集者。現在は認知科学者である苫米地英人先生の出版関連業務に携わっている。
著書『極真外伝―極真空手もうひとつの闘い』(ぴいぷる社)
編集『苫米地博士の「知の教室」』(サイゾー)
編集・構成『日本人はもっと幸せになっていいはずだ』(サイゾー)

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