強力なレーザーブラストで落雷を誘導することに成功! 強烈な光の爆発で雷を“釣り上げる”
史上初めて、レーザーを使って雷を安全なターゲットに向かわせることに成功したという。
スイスアルプスの北端にあるゼンティス山の頂上で行われたこの実験は、強烈な光の爆発を利用して嵐から雷を“釣り上げ”、安全な場所に誘導することができることを初めて現実に示した。
科学者たちはこれまでにも、研究室内でレーザーを使って電気の通り道を曲げていたが、屋外でそれを実現するのは難しかった。今回、パリ工科大学のAurélien Houard氏らはレーザーを標高2500mのゼンティス山頂まで運び、そこにある高さ124mの送電塔に固定、空に向けて照射した。そして、通過する嵐雲に向かって赤外線レーザーを毎秒約1000回で発射し、6時間の間に4回、塔に落雷する経路を確保したという。その研究成果は、1月16日付の学術誌「Nature」で発表された。
「この研究分野は20年以上前から非常に活発だったが、レーザーによって誘導される雷を実験的に実証した最初の研究成果だ」「この研究は、超短パルスレーザーの新しい大気中への応用への道を開くものであり、空港、発射台、または大規模なインフラストラクチャのためのレーザーベースの雷防護の開発における重要な前進を意味するものだ」と、同論文に記されている。
雷は、嵐雲中の氷塊や雨の摩擦によって発生する大気の静電気が、原子から電子を分離するときに発生する。負の電荷を帯びた電子は、雨雲の底に溜まり、地上から正の電荷を引き寄せる。電子は着実に蓄積され、その流れに対する空気の抵抗に打ち勝つようになり、複数の分岐した経路で地面に接近しながら、その下の大気をイオン化していく。そして、最初の経路が地面に接触すると、電子はその接触点から地上に飛び出し、下から上に向かって放電し、雲の上まで閃光を放つのである。
避雷針は、電子を地面に放出するための迅速かつ安全な経路を提供することで建物を保護するが、保護する領域は避雷針の高さによって制限される。この制限を回避するため、科学者たちは強力なレーザーを避雷針の近くの空気に照射し、空気分子から電子を引き離し、その分子を一掃して、近くの雷雲と避雷針の間に電子の痕跡を作り、それに沿って雷が移動するようにしたのだ。
実験では6時間に4回の誘導に成功したが、これは、年間約100回という避雷針への落雷頻度を上回る。さらに、この実験が成功したことを示す直接的な証拠として、ある落雷が、レーザーが通った道をジグザグに進む様子がスローモーションカメラに収められていることが挙げられる。
科学者たちは現在、大気条件、避雷針、レーザー、パルスの異なる他の場所でこの効果を再現し、この方法をより広く展開できるかどうか、また、雷が2度落ちる可能性があるかどうかを調査する予定とのことだ。
参考:「Nature」「Live Science」ほか
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2024.10.02 20:00心霊強力なレーザーブラストで落雷を誘導することに成功! 強烈な光の爆発で雷を“釣り上げる”のページです。レーザー、落雷、避雷針などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで