にやにやしながらメスの尿を口に含み… キリンの奇妙な性生活を観察する研究者の思い「皆に知ってもらいたい」
スッと伸びた長い首、長いまつ毛で憂いのある目つきが美しい、その性生活は私たちが想像するよりもずっと奇妙だったようだ。
この度、米カリフォルニア大学デービス校の獣医学研究者リネット・ハートとベンジャミン・ハートらによる新たな観察研究の結果が学術誌「Animals」に掲載された。
それによると、オスのキリンはメスのキリンの尿を分析して、相手が子作りに前向きかどうかを判断する必要があるという。これはヤギやカモシカなど多くの偶蹄類と同様の行動だという。
しかし、体長が数メートルもあるキリンにとって、地面まで顔を近づけて尿の匂いを嗅ぐことは容易なことではない。そこで、オスがメスを説得して先に排尿させ、途中で排泄物を受け止めなければならない。
その様子を観察するため、ハート夫妻はナミビアのエトーシャ国立公園にあるナムトーニの水飲み場に集まるキリンを観察した、
「彼らは、メスに『今すぐ排尿してください』と効果的に促す必要があります。メスの協力を得られなければオスはそのメスとの間に未来がないことを知ることになります」(ハート氏)
そのため、オスは自分より少し小柄なメスの尻をなでたり、たたいたりするという。場合によっては、近くでじっと待っていることもあるそうだ。一方、発情期のメスはオスが来るまで排尿を我慢することもあるとか。
さきほど、「途中で排泄物を受け止める」と言ったが、より直接的に言うと、オスは自らの口でメスの尿をダイレクトキャッチするということだ。口に尿を含みながら頭を上げて、時にはワインを飲み干すように、鋤鼻器(じょびき)というフェロモンを受容する感覚器官へ尿を通過させる。その時の様子は傍目には“にやにやしながら”行っているように見えるという。
こうしてオスはメスの尿に含まれるフェロモンによって、そのメスが自分の誘いに応じてくれるかどうかを判断する。
そこまでして見事交尾に成功しても、草食動物であるキリンのそれは一瞬で終わってしまう。しかも、メスと交尾できればまだ良い方で、9割のオスのキリンは同性と交尾してしまうというのだ。なんでも、恋敵を巡って争っているうちに性的興奮と喧嘩の興奮の区別がなくなり、事に至ってしまうとか。
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さて、ハート夫妻は、キリンたちを観察している間に、彼らの警告のうなり声も聞いた。かつてキリンは無口だと思われていたが、最近では咳をしたり、口笛を吹いたり、うなり声を上げたり、さらには夜中に不気味に鼻歌を歌ったりすることがわかったという。
さらに、キリンの群れが仲間の死体を調べに、まるで喪に服しているような様子で通り過ぎる様子も観察したそうだ。とはいえ、ハーツさんの推測によると、キリンたちは噛むための骨を探していた可能性があるとのこと。
理由は明らかではないが、キリンは骨をかじっていることが多いことに夫妻は気づいたという。この不気味な行動は、骨噛みと呼ばれ、以前にも見られたが、まれなことだと考えられていた。なぜキリンに見られるのかは不明だが、他の草食動物ではカルシウムの摂取量を増やすために行われている。
しかし、この習慣は彼らにとって危険な行為のようで、何頭かのキリンは骨が口の中に詰まって取れなくなったそうだ。
まだまだわれわれの知らないことの多いキリンだが、ハート夫妻がキリンの観察を続けるのは、「キリンのことをもっと知ってもらえば、保護に関心をもってもらえる」という思いからだそうだ。キリンの生息数は30年間で40%も減少したといわれ、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種リストでは絶滅が危惧される「危急種(Vulnerable species)」に指定されている。今後、キリンの奇妙な性生活も含め、彼らに関心を持つ人が増えてくれることを祈りたい。
参考:「Science Alert」「Animals」「IUCN」ほか
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