女は男の陰茎骨から生まれた? 陰茎に棘の生えた人がいる? 人類進化の珍説を天才・亜留間次郎が解説
【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】
創世記とアダムの陰茎骨
人間が進化の過程で失ってしまったパーツの一つが「陰茎骨(バキュラム)です。多くの哺乳類にあるにもかかわらず、霊長類の中では人間だけなくなってしまいました。
どうして人間から陰茎骨がなくなったのか、科学と神学が融合した珍説があるので紹介したいと思います。
聖書に出てくるアダムとイブの物語ではイブはアダムの肋骨から神が作ったとされ、創世記第2章の21から23にはこのように書かれています。
そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。
主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。
そのとき、人は言った。「これこそ、ついにわたしの骨の骨、わたしの肉の肉。男から取ったものだから、これを女と名づけよう」。出典:日本聖書協会1955年創世記(口語訳)
肋骨はヘブライ語の「צלע(ツェラ)」の翻訳なのですが、肋骨ではなくバキュラムを意味する隠語だと主張する珍説です。
人間の股間には会陰縫線と呼ばれる傷跡みたいにも見える謎の痕跡があります、俗には「蟻の門渡り」なんて呼ばれている部分です。
陰茎に骨があることは多くの動物の狩猟と解体で古代から知られていたと思われます。どうして人間には陰茎に骨がないのか、その回答として考え出されたのが、会陰縫線は神がイブを作るためにアダムから骨を抜き取った傷痕であり、イブはアダムの陰茎骨から作られたとする説です。
なんだか全力で怒られそうな珍説ですが、理屈は通っている気がします。
陰茎骨
人間からなくなってしまった陰茎骨ですが、動物に存在するメリットは海綿体に血液を送り込んで勃起させなくてもメスに挿入できるので、挿入してから勃起させれば交尾できることがあげられます。
つまり、骨が陰茎を支えて勃起力を増強させているわけです。なぜ人間からなくなったのか謎ですが、陰茎骨のデメリットが関係しているかもしれません。
動物の体位のパターンが少ないのは骨があるせいで陰茎を自由に振り回せないからです。
陰茎骨は他の骨と靱帯で繋がっていないため関節がなく可動域の自由度は高いですが、勃起時は常にお腹に向かって反り返っている為に身体に対して垂直や後ろに向けることができません。
動物はバックから交尾する場合でもメスの上に乗るように、人間でいえば前かがみになっていますが、これは四足歩行だからではなく、陰茎骨によってお腹の方に反っているために前かがみにならないとできないからです。
人類は四十八手もの体位を編み出していますが、半分以上は陰茎骨があったらできません。
人間では一般的な騎乗位は骨がある陰茎を身体に対して垂直にすると負荷がかかるため無理にやれば骨折します。
普通のバックからでも体を前かがみにしないと陰茎骨が折れます。
もしも人間に陰茎骨があったらバイアグラみたいな勃起薬が不要になる代わりに四十八手は生まれなかったことでしょう。
もしかしたら、人間は二足歩行を始めたせいで、陰茎の可動範囲を増やす必要性に迫られたから骨をなくしたのかもしれません。そして、文明の進歩とともにさまざまな体位の開発につながり現代に至ったのです。
極めて珍しいですが、極まれに陰茎骨を持つ人間が発見されています。
ペロニー病と呼ばれるやわらかい組織が硬くなる陰茎硬化症とは明確に異なる、病理組織学的に骨であると確認された症例は今のところ世界で34例見つかっています。
ただし、奇跡的な確立で陰茎骨が出来ても正常には機能しません。
不完全な骨の破片のようなものが陰茎の中に出来るだけでメリットは一切なく、不便しかないため手術して骨を取り除くことになります。
完全な陰茎骨と呼べるものは一例しか発見されていませんが、この人は重度の性分化疾患で性器が正常に形成されなかった奇形により陰茎骨が出来る遺伝子が発現してしまったみたいです。
人間にも陰茎骨を作る遺伝子はジャンク遺伝子として残っていて、遺伝的な異常から極まれに骨が出来る人がいないわけでもなさそうです。
陰茎骨は完全に失われてしまい、戻ることはなさそうですが、勃起力と体位のトレードオフでなくなったと考えると今の人類に陰茎骨は不要ではないでしょうか?
宗教的にはあまりにも受け入れにくい珍説なので、人間から陰茎骨がなくなったのは女を作るために神が抜き取ったのではなく、四十八手を編み出すためだったことにしておきましょう。
ちなみに、バキュラムは世界的にお守りとして価値があるみたいで、広く取り引きされています。
陰茎の棘
バキュラムと同様に人間から失われたけど多くの動物には存在している物に陰茎の棘があります。哺乳類の世界では棘がある方が多数派です。
ネコ科の陰茎には長さ約1mmの棘が120~150本ぐらい後向きに生えています。交尾の時に陰茎を引き抜くと棘がメスに強い性的刺激を与えて排卵を誘発させて受精するといわれています。
この棘は多くの哺乳類にありますが、バキュラムと同様にヒト属、チンパンジー属、ゴリラ属、オランウータン亜科を含めたヒト科の中ではホモサピエンスにだけにない特徴です。進化の過程でヒト属とチンパンジー属に枝分かれした時にヒト属からなくなったといわれています。
現代では確かめようがありませんが、遺伝子の系統樹から言えば、ネアンデルタール人みたいな原始人になった時点でなくなり、あるとすればチンパンジーと人に分化する類人猿の時代まで遡ることになります。
人間、ホモサピエンスは進化の過程で陰茎の棘をなくしてしまったのですが、けっこうな割合で先祖返りして、棘が生えてくる人がいます。
これを医学的には「真珠様陰茎小丘疹」と呼んでいます。
医学的には病気ではなく、放置しても何の問題もありませんが、見た目が悪いため性病と間違えられて女性に嫌われる致命的な問題が起こります。
現代日本では病気じゃないので保険診療の対象にはならないため、自由診療で高額を支払い、消してもらうしかない嫌な物です。
大昔から現代日本まで陰茎に真珠を埋め込む美容外科の手術があり「シリコンボール法」などと呼ばれ一個埋め込むのに税込3万3000円ぐらいが相場みたいです。
女性側からはあまり高評価を聞きませんが、やりたがる男が後を絶たないため美表外科の商品になっています。
昔は本当に真珠を埋め込んでいたそうですが、真珠は生体適合材料なので埋め込んでも炎症などの悪いことが起こりにくいためだったと思われます。
つまり、陰茎に真珠を埋め込む人たちは、人工的に「真珠様陰茎小丘疹」を作り出していることになります。
陰茎に棘が生えていると良いと思うのはネアンデルタール人よりもっと前の類人猿時代の痕跡ではないでしょうか?
また、人間の陰茎には棘よりももっと高頻度で、成人男性の70~80%に現れるフォアダイスと呼ばれる小さなブツブツがあります。
そんなに珍しいモノではないので誰でも探せば多少は見つかります。これも病気ではなく何の問題もありません。
真珠様陰茎小丘疹もフォアダイスも皮膚の脂を分泌する皮脂腺の一種なのですが、組織学的には異なる器官で真珠様陰茎小丘疹から出る油は違うと言われています。
獣医学の分野で、陰茎に棘がある動物には特殊な分泌液が出ていることが知られ、この体液が膣内に溜まると膣プラグ(vaginal plug)と呼ばれる物になり、次に交尾したオスの精液が子宮に入らないように蓋をすると言われています。
猫の棘はメスの中を刺激するだけではなく、特殊な体液を分泌して膣をふさいでしまう役目も持っています、自分の子孫を残すための繁殖戦略の一種です。
人間には膣プラグを作るような機能はないのですが、真珠様陰茎小丘疹から膣プラグを作る体液は分泌されているようです。まったく意味はないものの、陰茎に棘がある人は普通の人とはちょっと違う汁が出ているみたいです。
確率的には人類全体で数人しかいなそうですが、陰茎に骨があって勃起力がすごくて、何もしてないのに真珠が沢山ついていて変な汁に覆われている人がいたらすごい性豪かもしれません。
参考資料
Congenital human baculum deficiency: the generative bone of Genesis 2:21-23(先天性ヒトバキュラム欠損症: 生殖力のある骨、創世記第2章の21から23)
Penile ossification: A traumatic event or evolutionary throwback? Case report and review of the literature.(ペニスの骨化: 外傷的な出来事か、進化的な後退か?症例報告および文献のレビュー。)
Champion, RH; J Wegrzyn (1964). “Congenital os penis”. Journal of Urology.
陰茎棘(Wikipedia)
真珠様陰茎小丘疹(Wikipedia)
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