地球を蒸発させる「ガンマ線バースト」がヤバすぎる! 4億年前の大量絶滅の原因か

 宇宙空間に威風堂々と君臨する超巨大恒星がその生涯を終える時、凄まじい大爆発が起こり高エネルギーの放射線が周囲に勢いよく放出する。この放射線こそが「ガンマ線バースト」であり、その直撃を受けた惑星は一瞬のうちに消し飛んでしまうのだ――。

もしもガンマ線バーストに襲われたら?

 地球上でガンマ線の異常なスパイクが確認された場合、そのほとんどは核実験が行われたことを示している。1963年に核実験禁止条約が締結された後にアメリカが打ち上げた軍事衛星は地球上でガンマ線スパイクが発生していないか監視することを目的としていた。

 しかしその後になって科学者たちは、地球上ではなく宇宙からガンマ線バーストがやって来ることがあり得ることを発見して驚いたのだった。

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画像は「Wikipedia」より

 超大質量の恒星がその一生を終える時、ブラックホールに姿を変えるべく極超新星となって大爆発を起こす。この時に放出される恐るべき高エネルギーの放射線がガンマ線バーストだ。

 このガンマ線バーストは周囲の星々を道連れにせんとして襲いかかり、一帯を死屍累々の宇宙空間に変えてしまうのである。ガンマ線バーストの威力はきわめて強力で、200光年離れたところから放たれたガンマ線バーストは地球を一瞬にして蒸発させてしまうという。

 ガンマ線バーストをより深く理解するために、スイスのジュネーヴ郊外に拠点を置く世界最大規模の素粒子物理学の研究所「CERN」の研究者たちは強力な粒子加速器を使用してガンマ線バーストを実験室で再現し、研究を続けている。

 ガンマ線バーストは巨大な恒星が核燃料を使い果たし、その中心が崩壊してブラックホールを形成する際に発生すると考えられている。恒星が崩壊すると、非常に強い磁場が形成され、恒星の物質の一部がブラックホールに落ちるのを防ぐ。これらの磁場はこの物質の一部をほぼ光の速度で宇宙空間に発射するのだ。

 放出される物質の流れはジェットと呼ばれる高温プラズマで、電子と陽電子(電子に対する反物質)に加えてガンマ線も含まれている。

 これらのプラズマジェットは非常に明るく、なんと1秒以内に太陽が100億年かけて放出するエネルギーと同量の膨大なエネルギーを生成し、それゆえに数十億光年離れた場所からも簡単に検出できる。恐るべき破壊力で、約200光年以内で発生したガンマ線バーストのジェットが直接我々へ向けられた場合、地球は跡形もなく消滅してしまうとのことだ。

 天の川銀河内でより遠い距離であったとしても、ガンマ線バーストを浴びた側の地球上の半球に住むすべての生命を一掃するといわれている。さらに10億光年以上離れた場所からのガンマ線バーストであっても、地球上の無線通信に不具合が生じる可能性がある。

 幸いなことにこのようなバーストはかなり稀な現象であり、天文学者は地球の近くにあって近々にもバーストを発生させる可能性のある恒星はほぼないと見込んでいる。

 しかし一部の科学者は、ガンマ線バーストが約4億4千万年前のオルドビス紀末の大量絶滅の原因であり、当時の生物種の約85%が絶滅したと確信しているという。ガンマ線バーストは小惑星の衝突と同様の壊滅的な被害を実際に地球にもたらしていたというのである。

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ガンマ線バーストによる大量絶滅が起きていた!?

 2009年に発表された研究で、過去50億年間に生命に重大な被害を与えるほど地球に十分近いところで、少なくとも1回の致命的なガンマ線バーストが発生した可能性が非常に高いことが指摘されている。このような致命的なガンマ線バーストが過去5億年の間に地球から6500光年(2キロパーセク)以内で発生し、大規模な大量絶滅イベントを引き起こした可能性は50%あるということだ。

 とすれば4億5000万年前のオルドビス紀の末期からシルル紀の初期に起こった大規模な大量絶滅イベントは、ガンマ線バーストによって引き起こされた可能性がある。推定によると、オルドビス紀の海洋のほとんどが栄養が乏しく透明であったため、海洋の総植物プランクトン生物の約20~60%がガンマ線バーストで死滅したであろうことが示唆されている。

 興味深いことにこれは個体がより広範囲に分散している種のほうが通常は生存に有利であるというサバイバルのパターンとは対照的である。オルドビス紀後期において海底に生息していた二枚貝よりも、海底に穴を掘って地中に潜る二枚貝の種が絶滅する可能性が低かったという事実も、この仮説を裏付けている。

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 また古生代を代表する海生動物である三葉虫はカンブリア紀(約5億4200万年前~約4億8830万年前)から繁栄し、ペルム紀末(約2億9900万年前~約2億5100万年前)に絶滅したのだが、その呼び水となったのがこのガンマ線バーストによる大量絶滅であったことが一部から示唆されている。

 オルドビス紀末のガンマ線バーストによって、海水面近くで暮らしていた三葉虫が絶滅したのではないかということだ。このイベントで三葉虫は深海に生息する種だけが残り多様性が失われたことが後の絶滅に繋がったという仮説だ。

 少なくとも我々が生きている間はガンマ線バーストを恐れなくてもよいようだが、一度は地球上の生物を大量絶滅に追い込んだ可能性があるというのは不気味な話である。銀河を舞台にした文字通りの“スター”である大質量恒星は、その死に際してあたかも人身御供のように周囲の星々を道連れにしていることがわかり、この大宇宙の中で我々はあくまでもちっぽけな“脇役”にすぎないことをあたらめて思い知らされる話題だ。

参考:「Big Think」「Wikipedia」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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