日本中が騒然「リンゴ送れ、C」事件とは?地軸が傾き“地球滅亡?”UFO史最大の黒歴史

終末予言は人類史と共に

 今年こそ世界が滅びる――。近年、ノストラダムスやババ・ヴァンガ、宇宙人からのメッセージ、その他の原典を引用してこう訴える予言が毎年のように現れてくる。実は、この種の終末予言の歴史は長く、古くは紀元前にバビロンの神官にして占星術師でもあったベロッソスも、「すべての惑星が山羊座と蟹座に集まる時に世界が滅亡する」と予言していたようだ。しかし、毎年同じような滅亡予言が繰り返されるようになったのは、日本では2010年代に入ってからの現象と思われる。

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 とはいえ、ここ日本でも特定の年に世界が終わるという予言はいくつか記録されている。 鎌倉時代には、仏教に根ざす末法思想が広がり、日蓮も「外国の侵略で日本が滅ぶ」と予言したことがある。1910年には「ハレー彗星の接近で地球が滅ぶのではないか」と騒がれたし、新興宗教大本の一派は、「1921年に立て替え・立て直しが起こる」と主張した。1973年に五島勉の『ノストラダムスの大予言』がベストセラーになり、1999年に人類が滅びるという主張が広まると、多くの自称研究家や予言者が出現、我も我もと便乗予言を垂れ流した。

 

日本UFO史の“黒歴史”、「リンゴ送れ、C」事件とは!?

 さて、こうした日本の終末予言の歴史に名を残す大騒動をご存知だろうか? 「CBA事件」あるいは「リンゴ送れ、C事件」と呼ばれるものだ。これは、1960年あるいは1962年に地球の地軸が傾いて人類の大部分が死滅するという予言で、日本のUFO研究団体である宇宙友好協会(CBA)が広めた。他の幾多の終末予言と同様、予言の日時が遠く過ぎた今となっては、事件を記憶する者は少なくなり、当時のCBA関係者がこの事件に言及することもほとんどない。しかし、当時の日本UFO界が受けた衝撃は大きく、いわば、日本UFO界の“黒歴史”となっているのだ。

 事件の主体となったCBAは、1957年8月に設立された民間UFO研究団体で、設立者の中には宇宙人とのコンタクトを願う者が多かった。機関紙「空飛ぶ円盤ニュース」で、主に海外の事件を紹介する一方、アメリカのコンタクティーであるジョージ・アダムスキーや、ダニエル・フライなどの著作を次々に翻訳出版し、一般にも販売していた。CBA事件の発端は、こうした翻訳出版活動の一環として、CBA代表の松村雄亮がスタンフォード兄弟の著書『地軸は傾く』を翻訳出版したことだった。

 レイとレックスのスタンフォード兄弟は、1954年頃から友好的な宇宙人スペース・ブラザーズとテレパシーでの交信を始めたと主張するアメリカのコンタクティーで、『地軸は傾く』は1958年に出版された。原著には「1960年に地軸が傾く大変動が起きる」と記されていたのだが、さすがにCBAもこれをこのまま訳出するかどうか迷ったらしい。

 そこで、まずCBAが原著者にこの点を確認したところ、「私の会っている宇宙人はいまだかつて嘘を言ったことはありません」との返答を得た。それでも確信が持てなかったCBAは、直接宇宙人に確かめてみようということになり、1958年6月27日、筑波山上空に松村代表以下の幹部が何人か集まってUFOを呼び出したところ、それらしきものが飛んで来たという。しかし、肝心の何年なのかという点については、参加者のうち2名の者の頭に1962という数字が頭に浮かんだが、これも決定的ではないとされた。

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 しかし一方、この頃に代表の松村自身が宇宙人と直接コンタクトするようになった。CBAの中にあって松村は、それまで宇宙人とのコンタクト自体に懐疑的であった。その松村が、自らコンタクティーとなった経緯はそれ自体が非常に興味深いストーリーだが、とにかく松村は宇宙人の長老にこの大変動がいつ起こるか訪ねてみた。しかし、正確な期日は宇宙人にもわからないという返答だったという。しかもこの時、「慎重に事を運ぶように」と宇宙人から念を押されたため、日本語版では196X年とぼかして出版した。

 この頃のCBAの動きには、機関誌などで重大事態の発生を匂わせながら、会員にさえはっきりしたことを告げない等、方針が首尾一貫しない部分が見られる。もしかしたら、指導部内でも意思統一がなされていなかったのかもしれない。他方、大異変の到来が近いと信じて、密かに準備を進めようとした者たちがいたことも確かだ。

 

ブッ飛びまくった「トクナガ文書」

 それを端的に示すのが、通称「トクナガ文書」と呼ばれる資料だ。

 これは1959年末、CBA幹部の徳永光男が作成したとされる文書で、内容を要約すると、「1960年あるいは1962年に地軸が傾く大変動が起こり、海水が陸地に押し寄せ、全地球を覆う大洪水が発生する。しかしそのとき、宇宙の兄弟が円盤の大群に乗って我々を助けに来てくれる。円盤に乗る場所は日本では東日本と西日本の2カ所。この場所は『C(英語のcatastrophe=大災害の頭文字をとったもの)』の少し前に知らされる。Cの10日前に電報、その他の方法でCが起こることが知らされるから、連絡を受けたら会員とその家族は指定された場所に集まれ、というものだった。そして、届けられるという電文の内容こそ「リンゴ送れ、C」とされた。(※)

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 こうした動きは、すぐに他のUFO研究団体や研究家の知るところとなり、さらに産経新聞(1960年1月29日付)には、大異変の到来を予告するCBAの動きが報道された。これを産経新聞に漏らしたのは、CBA会員だった仏文学者の平野威馬雄と言われている。続いて同じ年の『週刊サンケイ』(4月11日号)や『日本』(5月号)になると、「遊ぶなら今のうちよ、と派手な乱交を繰り広げた京都の女子高生」とか、「食料を買い込んで逃げる準備を始めた一部のグループ」、さらには「試験を放棄して学校を休んだ広島県の高校生たちや、自分の家屋敷を売り払って、大変動の日を待った北海道の商人もいた」という真偽不明の内容まで加わっている。

 他のUFO研究団体としては「こんな非科学的なことを言われては、自分たちまで同じと見られ、ばかにされる」という思いだったろう。それまで松村は「日本空飛ぶ円盤研究会」の機関誌『宇宙機』にかなり内容のある記事を何度も執筆し、彼が1957年1月に撮影したUFO写真について「近代宇宙旅行協会」を主催する高梨純一も好意的に評価するなど、CBAと他の研究団体との関係はそれほど悪くなかったのだが、事件により一変した。

 もちろん、地軸が傾く大異変は今に至るまで発生せず、円盤の大群も現れてはいない。

※ 地球を救う使命を帯びて地球に転生してきた宇宙人(ワンダラー)をリンゴに例える考え方があり、これがCBAにも影響を与えていたと思われる。

 

しかしCBAは拡大、影響は現代のアニメにも

 この騒ぎの後、松村は一旦CBAの代表を退いたが1年足らずで返り咲き、その後CBAはむしろ勢力を拡大していくことになる。縄文時代の遮光器土偶が宇宙人を象ったものだとか、手をつないで輪になり「ベントラ、ベントラ」と唱えてUFOを呼び出す儀式など、今も残る数々のアイテムを広めたのも事件後のCBAである。

 スタンフォード兄弟のその後についても触れておく必要があるだろう。兄のレイ・スタンフォードはその後もUFOや精神世界の探求を続け、「人間理解のための協会」などの神秘主義的団体を主催した。弟のレックスはその後、テキサス大学オースティン校で超心理学の博士号を取得し、1973年には超心理学会の会長も務めた。2人とも、『地軸は傾く』については一切口をつぐんでいる。

 ちなみに、テレビアニメ「【懺・】さよなら絶望先生」の主題歌として大槻ケンジ氏が作詞した「リンゴもぎれビーム!」は、本来「リンゴ送れ、C」というタイトルだったが、このタイトルを見たCBAの残党たちが騒ぎ始めては大変だということでタイトルが変更されたという。

GILLE – 林檎もぎれビーム! feat. 鈴木このみ 動画は「YouTube」より


参考:『地軸は傾く』(宇宙友好協会)、『いつもUFOのことを考えていた』(文渓堂)、『空飛ぶ円盤ニュース別巻 CBAのあゆみ』、『宇宙語・宇宙人』(宇宙友好協会)、産経新聞(1960年1月29日付)、『週刊サンケイ』(1960年4月11日号)

 

※当記事は2018年の記事を再編集して掲載しています。

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文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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