一瞬にして住人全員が消えた中国の村の謎の真相とは!?ペットや家畜も消失、UFO目撃例も相次ぐ
中国の山村が一夜にしてもぬけの殻に? ソーシャルメディア上で話題となった怪現象の真相に迫る――。
■1000人が消えた村、ペットや家畜までも……
そこにいるべき人々が跡形もなく姿を消すという出来事が、2010年に海外のソーシャルメディアで注目を集めた。消え失せたのはおよそ1000人の村の住人たちであるという。
ソーシャルメディア上で散見される報告によれば、中国の内陸部、陝西省(せんせいしょう)の一角に位置する村が、出来事の舞台であった。広大な面積を誇る同省には、雄大な川渭水が流れ、秦嶺山脈がそびえ、黄土高原の北に砂漠が続き、古代の山水画を思わせる景観が広がっている。
そうした風土のなかで、問題の村を唯一際立たせていたのは、近くに建つロケットの発射基地であった。
1987年、村は一晩のうちにもぬけの殻になっていた。老若男女を問わず、そして町の家畜やペットの1頭さえも、めぼしい痕跡を残すことなく消え去ってしまったのだ。彼らが村から引っ越した兆候はなく、当日の食事が用意され、日用品が雑然と置かれていたという。
■UFOや軍が関与したとの声も
報告は次第に詳細さを増してくる。出来事の過日、現地ではUFOの目撃例が相次いでいたという。
ある時、村人たちは村の上空で回転する円形に整列した8個の光を見つけた。光は30分ほどすると、轟音を響かせながら紫色の閃光を発し、北へ向かって飛び去ったという。
また、村人が消滅した直後には、兵士が高速道路の交通規制を実施していたとの地元の声も聞かれた。人々が軍によってトラックに積み込まれ、連れ去られたという目撃証言もあがった。多数の軍用車両、戦車、さらにはミサイル発射器までもが集結しこの地を固めており、その光景を目の当たりにした人々は、口々に陰謀の存在をささやきあったそうだ。
■都市伝説の誕生
以上のように話は膨らみ続けるのだが、その内容を裏付ける証拠はない。この不穏な出来事を裏付けるソースが、どこを探しても見当たらないのだ。
一体なぜなのか? この当然の疑問については、中国政府が該当する記事を検閲によって掲載の数分後に削除しているため、との説明がなされる。
さりながら、それは都合のよい方便にすぎないだろう。村一つの住人が突如として消え去る事態に陥れば、例え強固な規制を敷く中国政府であっても具体的な情報を隠し通すことは困難だ。
すなわちこの物語は、ミステリアスな出来事が人から人へ伝わるうちに長い尾ひれがついた都市伝説である可能性が高い。全ては後世の創作であり、伝説が生まれてしまう過程については今も昔もさほど変わりがないようだ。
■伝説の影で~数字から“消えた”500人~
最後に、このたび紹介した失踪事件の源流をさぐってみよう。結論から述べれば、伝説の発端となった出来事は中国の国産ロケット、長征3号の打ち上げ事故に違いない。
1996年、衛星打ち上げを目的とした長征3号は発射直後より安定を失って墜落。運悪く落下地点に位置していた市街地には満載されていた推進剤が火の雨となって降り注ぎ、一夜にして廃墟となった。
村に近い発射基地の存在、また事件の後に軍が動員されたという内容に類似がみられる。違いは人々の行方であり、最大500人と推定される住人たちは、雲や霞のように消え去ることはなく、その場で命を落としている。
ところが、宇宙開発に携わる中国の国有企業・中国航天科技集団は2016年、これまでに伝わっている被害者数は根も葉もないデマであるとの声明を発表した。同企業によれば事故による死者はわずかに6人であり、負傷者も57人を数えるのみであるとのことだ。
数字の食い違いによって、その存在自体がないものとされた犠牲者たち――。見方を変えれば、こうした非情な手段に訴える中国政府の姿勢そのものが、都市伝説の発生を招き、信憑性を補強する遠因になっているのだろう。
参考:「Mysterious Universe」、ほか
※当記事は2019年の記事を再編集して掲載しています。
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2024.10.02 20:00心霊一瞬にして住人全員が消えた中国の村の謎の真相とは!?ペットや家畜も消失、UFO目撃例も相次ぐのページです。失踪、都市伝説、陰謀論、宇宙開発、蒸発、長征3号などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで