狂言誘拐がヤバすぎる…「結婚が不安」「単位が取れない」「ギャンブルの資金に」ほとんどがお粗末すぎる事件15選

2024.05.28 12:00

Xでポスト

　意外に思えるかもしれないが、自身の誘拐を偽装した人は驚くほど多い。重度の鬱病を患う医師から、単位が取れないことを親に打ち明けられずにいた大学生まで、その理由はさまざまだ。これらの事例は多くがニュースの一面を飾り、2016年に自身の誘拐を偽装したシェリ・パピニや、「逃げた花嫁」と呼ばれたジェニファー・ウィルバンクスなどが話題となった。中には正当な精神的要因が関係する例もあるが、「一体何を考えていたのか」と首をかしげざるを得ない奇妙で陰湿な事例も存在する。

シェリ・パピニ

誘拐：2016年11月2日、34歳で2人の子を持つ主婦、シェリ・パピニがカリフォルニア州レディングの自宅近くでジョギング中に行方不明となった。すぐに捜索が開始され、5万ドルの報奨金も設けられた。約3週間後のサンクスギビング・デーに、パピニが家から約240キロ離れた路上に姿を現した。パピニは2人のヒスパニック系女性に拉致され、殴打や火あぶりの傷を負わされたと主張した。

真相：当初、警察には手がかりがほとんどなかったが、やがてパピニの服につけられたDNAをたどり、彼女の元交際相手のジェームズ・レイエスの物と分かった。レイエスはパピニが行方不明中、自宅に滞在していたと認め、パピニの傷の多くは自傷行為だったと供述した。ただし、パピニ自身もレイエスの協力を求めていたという。

結末：シェリ・パピニは起訴され、有罪判決を受けた。偽証と郵便詐欺の罪に問われ、連邦刑務所に18カ月服役するよう言い渡され、30万9000ドルの支払いを命じられた。

ジェニファー・ウィルバンクス

誘拐：2005年4月、ジェニファー・ウィルバンクスが婚約者のジョン・メイスンとの結婚直前に行方不明となった。ジョージア州で600人の参加者を予定していた披露宴の3日前のことだった。彼女はその後ニューメキシコ州アルバカーキで見つかり、ヒスパニック系男性と白人女性に拉致され性的暴行を受けたと警察に話した。

真相：ウィルバンクスはすぐに嘘をついたと自白した。結婚に強い不安を抱いていただけで、実際はジョージア州からバスに乗り、アルバカーキで降りて誘拐ごっこを演じただけだった。

結末：メイスンが結婚を破棄したのち、ウィルバンクスは偽証の罪で有罪を認め、2年の保護観察と120時間の社会奉仕、カウンセリングを命じられた。さらにデューリス市に1万3250ドル、警察に2550ドルの捜索費用を支払うこととなった。

カーリー・ラッセル

誘拐：2023年7月13日、アラバマ州フーバーでカーリー・ラッセルが高速道路脇に子供がいると通報した。しかし警察が到着した時には子供はおらず、ラッセルの姿も見当たらなかった。現場には彼女の車のみが残されていた。

2日後、ラッセルは自宅に戻り、男女2人組に拉致され、着衣を剥がされて写真撮影を強要されたと主張した。

真相：警察はラッセルの供述の多くを裏付けられなかった。彼女のインターネット検索履歴にも、アンバーアラート（誘拐事件が発生した際に発令される緊急警報のシステム）費用の有無、遠方への片道切符、映画「奪還」に関するものが見られた。結局、ラッセルは7月24日、通報した子供を含め、すべてを作り話だったと認めた。

結末：ラッセルは偽計通報の罪で12カ月の保護観察と100時間の社会奉仕を言い渡され、フーバー市に1万8000ドルの捜索費用を払うよう命じられた。当初は12カ月の実刑が予想されていたが、判事が執行猶予を言い渡した。

パウロ・ロジェリオ・レイス・シルヴァ(通称ソマリア)

誘拐：2011年1月7日の朝、サッカー選手のパウロ・ロジェリオ・レイス・シルヴァ(ソマリアの愛称で知られる)は、練習に向かう途中で銃を突きつけられ誘拐されたと主張した。リオデジャネイロのボタフォゴでミッドフィルダーを務めるソマリアは、午前7時に練習に向かう途中、強盗に車を奪われ、2時間にわたり市内を連れ回されたという。金品を奪われた後、降ろされたと供述した。

真相：警察はソマリアの供述の多くを裏付けられず、アパートの防犯カメラの映像を確認した。映像から、ソマリアが自身の主張とは2時間のずれで午前9時にアパートを出たことが分かった。ソマリアはすぐに嘘をついたと自白した。練習に遅れ、給与の40%カットを受ける恐れがあったためだという。

結末：ソマリアは偽計通報の罪で最長6カ月の懲役刑を受ける可能性があり、ボタフォゴからも制裁処分を受けた。

ジョアンナ・グレンサイド

誘拐：1992年12月、25歳のジョアンナ・グレンサイドが英国ハーペンデンの自身が講師を務めるフィットネスクラブ前で誘拐されたと報告された。グレンサイドによると、2人の男に目隠しをされ、36時間拘束された末に性的暴行を受け解放されたという。

グレンサイドが夜のエアロビクスクラスに現れず、車が駐車場に残されたまま防犯アラームが地面に落ちているのが見つかったため、警察は捜索を開始した。

真相：グレンサイドは拒食症を患っていたことを認め、食べ物や酒が出る予定のクリスマスパーティーを避けるため、誘拐を偽装したと打ち明けた。

結末：グレンサイドの捜索で約2万ポンドを費やしたが、判事は彼女に100ポンドの支払いと12カ月の保護観察を言い渡した。判事はグレンサイドの拒食症と、それが引き起こした精神的苦痛を考慮した判断だったという。

カロル・サンチェス

誘拐：2019年12月16日夜、16歳のカロル・サンチェスがブロンクスの自宅外で4人組に誘拐された。母親と一緒に徒歩で外出中の23時20分頃、乗用車が止まり、男2人が飛び出してサンチェスを車に引っ張り込んだ。アンバーアラートが出され、地域住民が捜索に加わった。

真相：サンチェスは家族がホンジュラスに転居する可能性があると母親から話されたことに腹を立てていた。23歳の交際相手男性とその仲間の計4人と共謀し、自身の誘拐を演じたのだった。

結末：誘拐された翌日の午後2時30分頃、サンチェスは誘拐現場近くに現れ、警察に事実を打ち明けた。一人の証人は「サンチェスはひどく動転していた。かがんで膝を抱え、警察と話していた」と証言している。

ジョナサン・マイケル・デイヴィス

誘拐：2018年3月1日、34歳のジョナサン・マイケル・デイヴィスの家族が911に通報し、デイヴィスが2月27日から行方不明になっていると伝えた。家族によると、デイヴィスの携帯電話から身代金375ドルを要求するメッセージが届いていたという。後に、指を折られた写真も送られてきた。

真相：デイヴィスが行方不明と通報された同日、警察は彼の携帯電話の位置情報からタルサ(オクラホマ州)のリバースピリットカジノにいることが分かった。デイヴィスは携帯を所持したままカジノで賭けていた。デイヴィスは身代金をむしり取るため、自身の誘拐を偽装したらしく、折られた指の写真もグーグル検索で見つけた画像だった。

結末：ジョナサン・マイケル・デイヴィスは偽装された誘拐の罪で逮捕されたが、起訴されることはなかった。