地球を滅亡させる小惑星が発見されたら世界に何が起こるのか
世界を滅ぼす可能性のある小惑星が10年後に地球へ衝突するかもしれない――。これはあくまで仮説の話だが、もしもこんな恐ろしい警告が発せられたとしたら、世界はどうなるのだろうか?
恐らく、すぐさま各国政府へ壊滅的な災害の可能性が伝えられ、一般市民への通知や対応策が協議されることになるだろう。そして1年後、世界中の期待を背負って、各国の宇宙機関が巨大な小惑星を軌道から外すために核ミサイルを発射するも、ミッションは失敗に終わる。刻一刻と衝突の時が迫る中、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)は、数か月前から影響が予想される地域での大規模な避難命令を発令。最後の数時間、全世界の人々は最悪の事態に備えることになるのだ。
NASAはこのようなシナリオがすぐに現実になる可能性は低いと述べているが、今週、直径わずか3フィート(約1メートル)の小さな隕石が地球に接近し、フィリピン上空を通過した。発見されたのは、衝突のわずか8時間前のことだった。このように、警報を発するには至らなかったものの、アメリカ政府が2021年に発表した報告書では、165フィート(約50メートル)以上の小惑星が50年以内に地球に衝突する可能性がある場合には、調査ミッションが必要であると指摘されている。
Here’s how Asteroid RW1 looks like from Gonzaga, Cagayan, Philippines. Best shot so far!! ? pic.twitter.com/eYgQsHqxFP
— Raymon Dullana (@raymongdullana) September 4, 2024
では、仮に地球滅亡レベルの小惑星が発見された場合、そこから衝突までの間に、具体的にどのようなことが起こりうるのだろうか。国際社会や人々は、どのように対応していくことになるのだろうか。
10年前「小惑星の発見」
NASAの地上望遠鏡が巨大な小惑星を発見、他の天体との比較を行い、新たに発見されたものであることを確認する。NASAはカタリナ・スカイサーベイなど複数の早期警戒システムを運用しており、NEOWISE(近地球天体広域赤外線サーベイ探査機)なども活躍している。
発見された小惑星については、天文学者がその明るさや動きを解析し、過去に知られていた天体ではないことを確認する。報告は小惑星、彗星、準惑星のデータを一元管理するマイナー・プラネット・センター/小惑星センター(MPC)に送られる。そしてMPCとNASAが連携し、小惑星の軌道を計算し、地球への衝突リスクを予測する。小惑星が地球に500万マイル以内に接近する可能性があると判断された場合、各国の宇宙機関に警報が送られる。
2〜5年前「軌道修正ミッション」
NASAは2022年に、ダブル・アステロイド・リダイレクション・テスト(DART)という実験を実施した。これは、毎時14,000マイル(約22,500キロメートル)の速度で小惑星に宇宙機を衝突させ、その軌道を変更するというものだ。このミッションは成功したが、この小惑星は地球への脅威ではなかった。
しかし、NASAの惑星防衛部門の責任者は、今年2月にDARTのようなミッションを5年未満で実施することは困難だと警告している。NASAと国際パートナーは、宇宙船や核兵器を使った様々なオプションを検討しており、発見から約5年後には核兵器による攻撃を決断し、そのためのテストが始まる。
最終的には、衝突の2年前に爆薬を搭載した装置を小惑星に向けて発射し、その一部を破壊するか、軌道を大きく変える計画が立てられる。この計画には、広島型の原爆1,000万個分のエネルギーが必要とされている。
衝突直前「避難計画」
衝突まで数か月となると、各国の防衛機関が、衝突地点の予測や被害の範囲、地球規模の影響について詳細なシナリオを作成することになる。小惑星が地球のどこに衝突するのか、正確な地点がレーダーで確認できるようになるのは、衝突のわずか数週間前である。
そのデータはFEMAや他の緊急対策機関に送られ、影響範囲内の住民へ避難命令が出される。また、救助計画が策定され、衝突後にできるだけ多くの命を救うための準備が進められる。NASAの報告によれば、衝突地点から300マイル以内の人々、約1億5,000万人が避難または適切なシェルターに入る必要があるという。
最後の数時間、避難が完了した地域では、住民に避難命令が出され、衝突に備えるための指示が継続的に発信される。
衝突後の世界
小惑星の衝突は広範囲に甚大な被害をもたらし、沿岸地域を襲う津波や、大規模な衝撃波、地震を引き起こす。世界中の電気系統や通信システムがほぼ瞬時に機能停止する。
衝突で巻き上げられた大量の粉塵が太陽光を遮り、気温が大幅に低下し、数十年続く「核の冬」が始まる。地球は暗闇に包まれ、大規模な火災が発生して酸素レベルが低下する。
数十億人が命を落とし、生き残った人々も飢餓や凍える寒さ、文明のインフラ崩壊に苦しむことになるだろう。
このような破滅的なシナリオは、人類の存続にとって重大な脅威となる。しかし、科学技術の進歩と国際協力により、この脅威に立ち向かう準備も着々と進んでいる。宇宙防衛は、人類の未来を守るための最重要課題なのかもしれない。
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
地球を滅亡させる小惑星が発見されたら世界に何が起こるのかのページです。地球滅亡、小惑星、小惑星衝突などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで