イルミナティカードはガチで未来を予言しているのか?その正体とは…伝説の陰謀論カードゲームの謎に迫る!気になるカードも紹介

 先日、日本語版の発売が発表され、TOCANAでも予約受付中の「イルミナティ ニューワールドオーダー」通称イルミナティカード。未来を予言しているともいわれ、度々、都市伝説や陰謀論めいた話題に登場するイルミナティカードだが、本当に未来を予言しているのだろうか。それともただの偶然なのか…。いや、もしかするとこれは予言ではなく世界を裏で操る者たちの“予定”なのかもしれない。

 今回はこの謎多き「イルミナティカード」について掘り下げるべく、カードの翻訳を担当した宇佐和通氏に話を伺った。あわせて気になるカードについても紹介していきたい。

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宇佐和通氏(撮影:編集部)

イルミナティカードとは

——イルミナティカードについて、「9.11や新型コロナなど、未来を予言しているかのようなカードがある」「スティーブ・ジャクソン・ゲームズ(以下SJG)という会社が作った」くらいの情報しか知らない人が多いと思うのですが、このカードゲームの成り立ちについて教えてください。

宇佐和通氏(以下、宇佐):最初のイルミナティカードゲームは1982年にアメリカで発売されました。元は「イルミナトゥス!トリロジー」という小説にインスピレーションを受けてSJGが作ったもので、陰謀論や都市伝説、社会情勢などを皮肉めいてデザインしたものです。今回発売となる日本語版は1994年に発売されたトレーディングカード版「イルミナティ ニューワールドオーダー」を元にしています。この「イルミナティ ニューワールドオーダー」は1993年に発売されたトレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの人気を受けて開発されたという背景もあります。

——カードゲームということで私も説明書を読ませていただきましたが、正直なところ途中で挫けました。ルールを覚えるだけでもかなり大変ですよね。ただ陰謀論などを駆使して世界制覇を目指すという内容のゲームは他にないと思うので、ゲームとしても日本で盛り上がるような気がします。

宇佐:ルールブックはかなりのボリュームなのですが、それはゲームとしての面白さと奥深さの裏返しと思ってください。ハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、第一義はトレーディングカードゲームなので、まずはゲームとして楽しんでいただきたいと思います。都市伝説や陰謀論をはじめ、本当に多くの要素が盛り込まれているのです。

 過去に何度か話題になったトランプ大統領の出現、また、先日の暗殺未遂事件を予言したと言われる「Enough is Enough」というカードは今回の「イルミナティ ニューワールドオーダー」には含まれておらず、『ASSASSINS』という拡張版限定のカードです。なので、「自分はこのカード持ってるんだぜ」といったコレクション的な楽しみ方も主流です。

銃撃された右耳の部分に矢印のようなものがあることから先日の暗殺未遂事件を予言していたとも言われている 画像は「Amazonより

イルミナティカードは未来を予言しているのか

——ずばり、イルミナティカードは予言の書なのでしょうか?

宇佐:基本的には陰謀論をテーマにしたゲームではあるんですが、SJGに複数いるイラストレーターの中の何名かが予言めいたカードを作っているようです。“結果として予言めいたものになった”のかもしれませんが、中には“予知能力があるとしか思えない”内容のカードも存在します。例えば「バイカー軍団」というカードは数年前に話題になったQアノン・シャーマンの姿にそっくりですし、「フランス」というカードは、先日セリーヌ・ディオンが愛の讃歌を歌ったことで話題となったパリオリンピック開会式のフィナーレにそっくりです。

Qアノンを予言していたのか…? By Gage Skidmore from Surprise, AZ, United States of America – Jacob Chansley, CC BY-SA 2.0, Link
ライトが当たっているところとセリーヌ・ディオンが歌っている場所が一致している 画像は「YouTube」より

——テロリスト、ペンタゴンなどのカードは9.11同時多発テロを予言したと話題になりましたが、今後成就しそうな予言めいたカードなどもあるのでしょうか。

宇佐:もしかすると「トリノ聖骸布」のカードがそれにあたるかもしれません。トリノ聖骸布は長らく贋作だと言われていましたが、つい数週間前にやはり1世紀のものではないかという研究結果が出ています。また、通貨投機というカードもあるのですが、これも昨今の仮想通貨や株価の急落、給料を電子マネーで支払う流れなどを表しているのかもしれません。

何かと話題のテーマが描かれているカードが多い

——他にも探せば色々と実現しそうな内容が描かれているカードがありそうですね。

宇佐:カードも色々な見方ができるので、描かれた内容が何に結びつくのかを考えるのも楽しみ方のひとつですね。例えばマインド・コントロール・レーザーというカードがあるのですが、これは人間への脳インプラントを実施したイーロン・マスクのニューラリンクを意味しているのでは?という説があります。しかし、同じカードでも他のカードと組み合わせることでHAARPを意味しているという説もあったりと、複数の見方があります。

ハバナ・シンドロームという線もありそうな気がする

※関連記事:大使館職員らを苦しめた『ハバナ・シンドローム』はロシアの秘密部隊による「非致死的音響兵器」だったのか

 他にもサバイバリストというカードはアメリカの民兵組織ミリシアが今に核兵器を持つことを意味しているのではないかと言われていたり、改革派サタン教会というカードは今アメリカで割とポピュラーな悪魔信仰的トレンドを意味していると言われていたり、先の時代を予見しているカードはたくさんありますね。

30年前に作られたカードとは思えないほど先の時代を予見している

皮肉の効いたカード、都市伝説、陰謀論が多い

——今回は412種のカードが入っているということですが、予言めいたカード以外だと、他にはどのようなカードがあるのでしょうか。

宇佐:予言めいたカード以外だと、皮肉が効いているカードや、トレンドを読んでいるようなカードが多いですね。例えば、ダン・クエールというアメリカの政治家が描かれているカードでは、ポテトのスペルを書くことができないといったように、政治家を小馬鹿にしているようなものも多いです。

政治家を小馬鹿に…いや、はっきりと確実に馬鹿にしている

——なるほど、日本でいうところの麻生太郎を描いて「未曽有(みぞうゆう)」と言わせるみたいなことですね。

宇佐:まさにそんな感じですね。その時代のトレンドを皮肉めいて描いているものが多いです。他にはアメリカに古くから伝わる都市伝説、例えば下水道のワニに関連する「アルビノ・アリゲーター」というカードのように、THE都市伝説といったカードも多いです。最近でも信じている人が多い地球平面説のカードもあったりと、古くからある都市伝説、陰謀論はやはり多く描かれていますね。アメリカでは陰謀論が好きな人は結構多くて、その人達がクスッと笑えるようなものが多いかもしれません。

※関連記事:【都市伝説】下水道に生息する「ワニ」は本当なのか!?

——聞き慣れないフノードという言葉と少し不気味な絵が描かれている、他のカードとは明らかに雰囲気の違う不気味なカードがありますが、フノードとは何なのでしょうか。

宇佐:フノードとはこのカードゲームが作られるきっかけとなった小説「イルミナトゥス!トリロジー」に登場する言葉で、言葉の意味としては「訳のわからないものだけど、人々に大きな影響を与えるもの」といった内容で定義されています。カードにはプロビデンスの目のようなもの、そしてスマイルマークの口が描かれていて、かなり怪しい雰囲気のあるカードですね。

闇を感じるカードだ

——絵がクローズアップされることが多いですが文字の部分にも何か予言めいたキーワードありそうですよね。

宇佐:描かれている男が小泉進次郎に似ているとも言われる「懸念」というカードには、「組織のリーダーは、人生が退屈で無意味だと気づく」と意味深な言葉が書かれていたりします。そういった言葉から連想してカードの意味を考えるのも楽しいですが、やはり描かれている絵の中から小さなヒントを見つけ出すのが一番乙な楽しみ方かなと思います。

——カードを見ているだけで色々なことを連想して時間が経つのを忘れてしまいますね。あと気になっているのが、度々話題になる「もうおしまいだ」というカードは壊滅した横浜が描かれているのでしょうか?

宇佐:これがGOALカードというのがなんとも怖いのですが、確かに奥の三日月型の建物がインターコンチっぽく見えるので横浜にも見えますね。このカードや「複合災害」というカードは日本が舞台になっているとも言われています。「複合災害」は銀座和光の時計が描かれているとも言われていますし、オリンピックカラーの人たちが描かれているのも悩ましいところですね。ロンドンのビッグベンとも言われていますが、オリンピックが開催される都市をあえて何処とでも捉えられるように描かれているとしたら、それはそれですごいですよね。

左の男は小泉進次郎なのか・・・? 日本が舞台と思われるカードも何枚か存在する
銀座かロンドンか…恐ろしいテーマの割には描かれている人物が笑っているように見えるのが気になる

イルミナティカードはプロパガンダなのか…?

——仮にイルミナティカードの一部が予言だとして、これを最初に作った人たちは、それこそイルミナティのような陰から世界を支配している存在の一味だったり…と考えてしまいますね。

宇佐:それはアメリカでも全く同じことが言われています。陰謀論者たちはイルミナティカードを作ったのは、ニューワールドオーダー(新世界秩序)を実現しようとする組織の機関ではないかと考えているんです。こういったゲームやハリウッドの映画をプロパガンダとして使っているのではないかと考えている人は相当いるようですね。

——このゲームを作ったSJGは予言について何か触れたりしていないのでしょうか。

宇佐:たぶん特に言及していないと思います。なので、今SJG社長に日本人が抱くであろう疑問をぶつけているところです。このゲームと同時に発売となる本「イルミナティ ニューワールドオーダー 裏解説ブック」の巻頭で、SJG社長へのインタビュー、質問の回答を載せる予定なので、それを読んでから各カードの意味を考えたりすると、このカードゲームをより楽しんでいただけるかもしれませんね。

——発売が楽しみですね。多くの人が手にとって実際にカードを見ることで、今まで気が付かなかった意見がどんどん出てきそうな気がします。

宇佐:日本人ならではの視点もあると思うので、実際に手にとって見て「これはあのことを意味してるんじゃないか!?」みたいに気がついたことがあればどんどん教えてほしいですね。

——TOCANAでも募集してみたいと思います。本日はありがとうございました。

宇佐:ありがとうございました。



 実際にカード一枚一枚を手にとって目を通していくと、想像以上に意味深なカードが多い。ただ、宇佐氏も言っているように、中にはクスッと笑えるようなカードもあったりと、陰謀論だけに留まらない非常にバランスのとれたカードゲームだと感じた。30年以上も人々の関心を集め続けているのも頷ける。今回はごく一部のカードしか紹介できていないが、他にも予言としか思えないようなカードや、恐ろしいカードも多数存在するので、是非手にとって「イルミナティ ニューワールドオーダー」を楽しんでみてほしい。

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※おまけ 気になるカードをちょっと紹介

首輪で繋がれたビル・クリントン…皮肉が効いている
最近の話題っぽいがこれも30年前にデザインされたものだ
このあたりも昔からの陰謀論をうまく取り入れている
こういったカードはどうしても気になる。何かヒントは隠されているのだろうか。

 

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文=渡邊存瀰

4代目TOCANA編集長
X: @DailyTocana

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