聖ニコラウスの呪いで128日間“石化”した娘の謎!直立不動で注射針も折れ… ソ連が隠蔽した究極ミステリー

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 キリスト教を代表する聖人にしてサンタクロースのモデルでもある「聖ニコラウス」の呪いなのか――。パーティー当日に聖ニコラウスの聖像を手にした若い女性が“石化”し、4カ月間もの間、固まったままであったという驚くべき事件が冷戦時代のソ連で起きていた。

■聖像を持って“石化”した若い女性

 今でこそお祭り気分のクリスマスから年末年始にかけての期間だが、かつて一部の厳格なキリスト教徒の間では、この時期は断食や粗食に努めて悔い改める期間であったとされている。

 現在のロシアで6番目に大きい都市サマーラ、ソ連時代のクイビシェフ市の住民であったクラウディア・ボロンキナという女性も敬虔なクリスチャンで、毎年11月28日から1月6日までを粗食で過ごす断食期間としていた。

 しかし、彼女の唯一の家族である一人娘のゾーイは、信仰心に欠ける娘に育ってしまっていた。成人したばかりのゾーイは、1956年の大晦日の夜に婚約者と友人たちを家に招いてパーティーを行う計画を立て、手筈を整えたのである。

 当然、母クラウディアはパーティーに反対したのだが、娘に押し切られてしまう。そこでクラウディアは教会に行き、神が彼女らを許してくださるように祈ったのだった。

 しかしパーティー当日、家を訪れた友人たちは当惑する。部屋で立ち尽くしていたゾーイにまったく動く気配がないのだった。

 ゾーイの全身は文字通り固まっており、石像のようにピクリともしなかった。しかも、友人たちがどこかに寝かせようと彼女の身体を持ち上げようと試みるも、まるで床にボルトで固定されているかのようにまったく動かすことができなかったのだ。

 ゾーイの表情は凍りつき、まばたきをしない目は何にも焦点が合っておらず、皮膚は青白くて冷たく大理石のように硬く変化し、まさしく石像そのもの。それでもほんのわずかな鼓動だけは確認できたのだった。そしてゾーイの手には、普段は部屋の祭壇に安置してある「聖ニコラウス」の聖像が握られていた。

 友人たちは警察に連絡したが、警察官も“石化”した少女を1ミリも動かすことができず、続いてやって来た救急隊員たちも彼女を救急車に乗せることができなかった。

 医師は筋肉を弛緩させるための注射をゾーイに打とうとしたが、硬い皮膚に注射針がまったく刺さらず、しまいには針が折れてしまったのだ。

 キリスト教の言い伝えによれば、聖ニコラウスは数々の奇跡を起こした聖人である。その像をぞんざいに扱ったゾーイは呪いで石化したのだろうか。

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画像は「Wikimedia Commons」より

■石化が解けたゾーイは別人に

 母クラウディアも周囲の人々も、石化したゾーイにお手上げであった。

 やがて事態は人々の知るところとなり、石化した若い女性をひと目見ようとして家の周囲に人々が群がりはじめ、家の前には常に警察官が立っていなければならない状況となった。

 その後、何人もの司祭が家に招待され、ゾーイのために祈りを捧げたが、ゾーイの状態はまったく変わることはなかった。

 モスクワの医師や医学教授もやってきてゾーイを診たが、何らかの破傷風にかかっている可能性が疑われたのみで、実際には何もわからなかった。

 石化したゾーイはそれ以降、立ったまま飲まず食わずであったが心臓のわずかな鼓動は確認できて、医師たちはまた生きていることを確信した。

 ゾーイが石化してから128日が経った日、ついに転機が訪れた。

 家を訪れた地元の聖職者が祈りを捧げたところ、聖像を手放させることに成功したのだ。

 その後に石化が解けたゾーイは毎日のように泣きわめき、赦しを求めて叫んだという。最終的に精神病院に入院し、亡くなるまでの長い日々を激しい懺悔と祈りの中で過ごした。

 そして、この一件をソ連当局は隠蔽しようとしたといわれている。警察官や関係者に機密保持契約への署名を強要し、プロパガンダキャンペーンを実行し、ゾーイの一件をすべて「欺瞞と空虚な噂」と呼んで、フィクションや純粋な都市伝説のように見せかける工作を行ったのだ。

 しかしソ連崩壊後、この話はいくつかの新聞記事で紹介され、その後にはドキュメンタリー映画やテレビドラマの題材にもされている。だが、不幸なことにゾーイが石化した家は2014年に火事でその秘密と共に焼失してしまった。

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 この事件の真相は今もって謎であり、石化したゾーイが立ったまま飲まず食わずで4カ月もの間生きていたこともまったく説明できない。やはり聖ニコラウスの呪いだったのか。

 あるいは母と娘による“芝居”であったのか。しかし、その芝居の目的もわからなければ、石化が解けたゾーイが別人のようになって懺悔に身を捧げる一生を送ったことも説明は難しい。

 さらにソ連政府が事件の隠蔽を図った理由は何だったのか。過去にこの話題を取り上げた「Mysterious Universe」のでは、当時の証人や目撃者がほとんどいなくなってしまった今、我々がその真相を知ることはないと結んでいる。

 冷戦下のクイビシェフは機械工業や化学工業などが盛んで、宇宙船「ソユーズ」や人工衛星を造る航空宇宙産業の中心でもあったため、閉鎖都市にされていたといわれている。こうした背景がゾーイの石化に何か関係しているのだろうか。万が一にも新たな真実が浮上するようなことがあればお伝えしたい。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

 

※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。

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