記憶違いはパラレルワールドの影響!?“マンデラ効果”が無視できない理由とは
記憶違いはパラレルワールドの影響!?超常現象研究家が主張する“マンデラ効果”が無視できない理由とは
それまで疑問の余地もないと思っていた記憶が、実はまったくの誤りであることが判明してショックを受けた経験はないだろうか。もしあるとすれば、それは別の世界を垣間見た時の記憶なのかもしれないと指摘しているのが超常現象研究家のフィオナ・ブルーム氏だ。英タブロイド紙「Express」が紹介している。
■ネルソン・マンデラにちなんだ「マンデラ効果」とは?
過去の記憶がいつの間にか事実と反するものになってしまっている現象を、ブルーム氏は「マンデラ効果」と名づけている。アパルトヘイト撤廃に尽力した世界的指導者であるネルソン・マンデラ氏であるが、3年前の2013年に氏の訃報のニュースが流れた時は、決して少なくない人が虚をつかれる感じを覚えたという。てっきりマンデラ氏は1980年代に獄中で亡くなっていたものと思い込んでいた人がけっこういたというのだ(実際は1999年に大統領を辞職して政界から引退)。
そしてブルーム氏は、マンデラ氏が80年代に亡くなっていたはずであるというこれらの人々の記憶は、間違いではない可能性があると主張している。いったいどういうことなのか。
「これは陰謀論ではありません。虚偽記憶(false memories)の話ではないのです。我々の多くはパラレルワールドの存在を想定しています。そして気づかないうちに、パラレルワールドは我々の世界に滑り込んできているのです」(フィオナ・ブルーム氏)
つまり、パラレルに存在する別の世界ではマンデラ氏は80年代に亡くなっており、それはそれで1つの事実であるという。そして一部の人々はその“事実”を実際に体験しているというのだ。
これまでにも、ヒュー・エヴェレットの多世界解釈(many-worlds interpretation)などによってパラレルワールドの存在は指摘されているが、あくまでもパラレルワールドはお互いに完全に絶縁状態にあると考えられてきた。つまりもしパラレルワールドが存在するにせよ、この現実とはまったく関係ないので考える意味がない=存在しないも同然ということだ。
ということはブルーム氏は、これまでの定説に反してパラレルワールド同士の相互干渉が起り得ると主張していることになる。パラレルワールドの“事実”が、時にはこの現実の世界に“滑り込んで”くることがあるというのだ。
■モハメド・アリは1990年代に亡くなっていた!?
ネルソン・マンデラ氏のケースだけではない。元WBA&WBC統一世界ヘビー級チャンピオンであるモハメド・アリ氏の昨年の訃報の時にも、一部の人々はひどく驚かされたという。もちろん熱心なファンにはショックだったが、そういう話とはまた別で、驚いた多くの人々にとってアリは1990年代からせいぜい数年前の間にすでに亡くなった人物であったというのだ。とすればこれもまた、別の平行世界でアリが90年代に亡くなった“事実”が、ある一群の人々の体験と記憶に滑り込んできたということなのだろうか。
またこの2人のケースほど人数は多くないものの、映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)で一躍有名になった俳優、パトリック・スウェイジの2009年の逝去が信じられない(もっと前に亡くなっていた)という人々がおり、さらに興味深いのは2005年にアメリカ南東部を襲ったハリケーン・カトリーナによる大災害が2005年の8月ではなく、不思議なことに同年4月だったと記憶している人が無視できない数、存在しているという。
こうして具体的に例を挙げられるとますます気になる“マンデラ効果”だが、精神科学の世界からはそれらの現象は誤情報効果(misinformation effect)に該当するのではないかという指摘もあるようだ。
誤情報効果というのは、いきなりもたらされた情報によって、当人の昔の記憶が変る可能性をはらむ現象で、たとえその情報がウソであっても過去の記憶の信頼性が揺らいでくるという心のメカニズムである。例えば昨年急にもたらされたモハメド・アリ逝去のニュースにショックを受けた人々の一部には、その訃報の影響で自身が持つアリに関する記憶があいまいになり「……? もうとっくの前に亡くなっていたのではないのか?」と過去の記憶がなんとなく改変されてしまったということになる。とすれば誤情報効果説でも説明は可能になるのかもしれない。
オックスフォード英語辞書は2016年の世界をあらわす言葉にポスト真実(post-truth)を挙げたが、そこへもしパラレルワールドの干渉も加わるとすれば何がこの世の真実であるのか、ますます混乱が増してくるのかもしれない。パラレルワールドの影響があるのならなおのこと、世の中の真実の動向をよく見定めて混迷の時代に備えたいものである。
参考:「Express」ほか
※当記事は2017年の記事を再編集して掲載しています。
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