『天空の城ラピュタ』の都市伝説「もう一つのエンディング」とは? ジブリマンデラ効果か!
1986年公開の宮崎駿監督の代表作の一つ「天空の城ラピュタ」が本日21時から日本テレビ系列で放送される。主人公の少年パズーがある日空から落ちてきた少女シータと出会い、幻の「ラピュタ」をめぐる激しい争いに巻き込まれるというボーイミーツガールな王道冒険活劇だ。敵となるムスカ大佐やドーラ率いる空中海賊といった個性豊かなキャラクターたちも活躍し、「バルス」などの名台詞満載の、今なお大人気の作品である。
さて、天空の城ラピュタには原作はなく、宮崎駿監督のオリジナル作品となっている。しかし、オリジナルとは言っても、その裏には影響を受けた物語や実在人物がもちろん存在する。今回はそのイマジネーションの元となった物語や都市伝説について、過去に「ハピズム」で掲載された記事を紹介する。これを読めば、同作をまた新しい視点から見ることができるかもしれない。
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宮崎駿監督の作品「天空の城ラピュタ」は、もちろん、宮崎駿監督のオリジナル作品であり、なおかつ、そのモデルとなるような人物は存在しない。しかし、そのイマジネーションのもととなる物語は存在する。今回はその内容を少々ひも解いてみよう。
■ラピュタを発見したのはガリバー
『ガリバー旅行記』という物語をご存じだろうか。そう、旅行していたらいつの間にか小人の国に行ってしまうあのガリバーである。ガリバー旅行記といえば、小人の国の物語が最も有名であるが、実はその後の話も存在する。小人の国の次は巨人の国、そして馬の国など、さまざまな場所に行くのである。
その、ガリバーの3回目の旅行にラピュタのヒントが隠されている。ガリバーは海賊に襲われ、またも船が難破して漂流してしまう。ガリバーという人はよほど旅行運のない人である。そして、その時に向かった国が天空の「島」ラピュタ(Laputa & Balnibarbi)なのだ。
さて、ガリバー旅行記の原作者であるジョナサン・スウィフトは、政治や社会風刺がうまい人だったようで、このラピュタは「科学」「教育」に偏重した社会を風刺した物語である。そのような目でこのラピュタを考えるとなかなか面白い。
ガリバー旅行記の中で、ラピュタ(飛ぶ島)は、数学と天文学と音楽を司る学者たちによる世界で、地上の島を支配している。この飛ぶ島ラピュタのインテリジェンスは、地上の島(バルニバーニ)に影響を与え、進歩の理念に基づいた現実の改革が求められ、現実を常に実験の場、過渡期と考える風潮が支配していた。なので、常に「現在」を「未来」の手段としてしか考えないため、荒廃しているのだ。
さらに、この知識人たちは、言葉を簡略化し名詞だけで会話するようになってくる。しかし、この言葉の単純化は、そのまま人間の行動の単純化を招くことになり、ガリバーが最後に訪れる「馬の国」における壮大な「全体主義社会主義」への批判とつながるのである。そして、結論として人間は自然に回帰し、地上に根を下ろし、そして人間らしい行動を行うことを最もよしとしているのである。
この結論、「天空の城ラピュタ」とも似ているのではないか。ラピュタが放置され、壮大な科学力のある国が打ち捨てられている。昔は「雷」で地上を支配していたのに、その手段を捨ててしまい、そして、農村で暮らしていたラピュタの王族は、このガリバーの一択に愚のアンチテーゼとして存在した姿であり、ムスカがその全体主義の方向に進むことを防いだということになるのである。
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