“呪いを解く”ために妊婦を襲撃したオカルト結社! 返り討ちに遭って発覚した戦慄の真実

「呪いを解くために妊婦を襲撃したオカルト結社! 返り討ちに遭って発覚した戦慄の真実の画像1画像は、「100.9 The Eagle」より

 2005年8月23日早朝、イリノイ州リッチランド郡クレアモントにある住宅で、妊娠中の女性が襲撃される事件が起こった。

 911通報を受けて現場に駆け付けたリッチランド郡保安官代理のロバート・ブライス氏は、米テレビチャンネル「Oxygen」の犯罪ドキュメンタリー番組「Snapped」で、「私がそこに着くと、妊娠中の女性がいて、誰かが撃たれ、誰かが刺され、彼らは今も家の中にいると私に向かって叫びました」と説明した。

 凄惨な事件の背後には魔術に対する信仰があった。

現場に駆け付けた保安官代理が見た惨状

 事件で刺殺されたジョシュア・ベネットさんは1985年に誕生した。少年時代に両親が離婚したため、イリノイ州マトゥーンで父親に育てられた。

 高校在学中のジョシュアさんはJROTC(予備役将校訓練課程)に参加し、卒業後は米軍に入隊した。イラク戦争の最盛期に陸軍へ配属され、2005年夏に基礎訓練を終えた。しかし、イラクへ派遣される直前に父親が亡くななったため、ジョシュアさんは休暇を取ってマトゥーンに戻った。さらに、母親のジャクリーン・ベネットさんと再会するため、同年8月22日にクレアモントへ出かけた。ジャクリーンさんはボーイフレンドのリー・ジャクソンさん、リーさんの息子のジャッキー・ジャクソンさん(当時23歳)、彼のガールフレンドで妊娠中のリンジー・カシンガーさん(当時17歳)と暮らしていた。

 22日の夜、ジョシュアさんはジャクリーンさんらと夕食を楽しみ、ガールフレンドのジェイム・ホッパー・タルバートさんと電話で話した。ジェイムさんはSnappedで「夕食の準備をしているとき、ジョシュと電話で話しました。私は明日も彼と話をするだろうという印象を受けました。彼と話すのがこれが最後になるとは思いもしませんでした」と当時を振り返った。

 23日早朝、通報を受けた保安官代理のロバート氏は住宅に入って、大量に出血して床を這い回る男性の姿を発見した。この男性はリーさんの息子、ジャッキーさんだった。ジャッキーさんはロバート氏に「ロビー、私は彼(侵入者の一人)を撃った」と言った。

 キッチンの床に倒れていたのは、複数の刺し傷から出血しているジョシュアさんだった。足元にはナイフが落ちていた。現場に駆け付けた救急隊員はジョシュアさんを救えなかった。彼の母親のジャクリーンさんは別の部屋に座っていて、首の刺し傷から出血が見られた。

 午前3時頃、地下室で寝ていたジャッキーさんは、家の中が騒がしいことに気づき、ライフルを持って2階に駆け上がったという。そして、黒い服とスキー用マスクを着用した2人の男がジョシュアさんの胸と腹を刺しているのを見た。ジャッキーさんは侵入者の一人の顔をライフルの尻で殴り、格闘しながらもう一人を撃った。このときにライフルを落としたが、ナイフで侵入者の一人の右足を刺した。

 刺された侵入者が逃走した後、リンジーさんは近所の住宅に逃げ込んで911通報をした。

呪いを解くために妊婦を殺害しようとした「結社」

 ライフルで撃たれた侵入者の一人は病院へ搬送された。彼は昏睡状態に陥る前に、自分がデビッド・リンドナーで、共犯者の名前は「リッキー」だと言った。彼を尋問した元イリノイ州警察巡査部長のケリー・ヘンビー氏はSnappedで次のように述べた。

「私は彼に、なぜこうなったのか、何が起こっているのかと尋ねました。そして、彼は『その女は私たちに呪いをかけたので、私たちは彼女を殺さなければならなかった』言いました」

 同じ病院で治療を受けていたジャクリーンさんは、夜中に目が覚めた彼女は2人の侵入者に攻撃され、痛みのあまり叫び声を上げたところ、ジョシュアさんが目覚めて彼女を守ろうとしたと説明した。また、デビッド・リンドナーに会ったことはないし、彼に呪いをかけたという彼の主張も理解できないと刑事らに話した。

 同日午前8時頃、近隣の病院から当局に連絡が入った。足に刺し傷を負った男性、オスカー・エック(当時38)が病院を訪れたという。オスカーは周囲の人々から「リッキー」と呼ばれていた。

 イリノイ州警察巡査部長のジョン・ワグル氏は病院を訪れ、オスカーに怪我について尋問した。その間に、エックの友人である2人の女性、イレニア・コトナー(当時34)とジェニー・ウルフ(当時20)が現れた。ジョン氏によると、イレニアはとても緊張して、目に見えて震えていたという。2人の女性は事件について否定して身柄拘束を免れた。

 捜査官は、オスカーのルームメイトであるミスティ・ガングロフ(当時22)にも聞き込みを行った。彼女も事件について何も知らないと主張した。しかし、捜査官は彼らの家で魔術に関する本を見つけた。ジョン氏は、事件が魔術に関連している可能性があると考えた。

 尋問のために連行されたミスティは、彼女とオスカーはスーパーでイレニアとジェニーと一緒に働いていたと述べた。彼らは友人関係にあり、魔術とオカルトに魅了された仲間だった。最年長のイレニアは、彼らの「結社」のリーダーだった。弁護士のデビッド・ウィリアムズ氏は「彼らはろうそくの明かりをともした儀式を行い、呪いを解くことについて話し会いました」とSnappedで語った。

 ミスティによると、2005年春、イレニアはリンジーさんが自分に呪いをかけたと言ったという。地元メディアは、呪いを解く唯一の方法はリンジーさんと彼女のお腹の中にいる胎児を殺害することだとイレニアが主張したと報じた。

 ジャッキーさんは、リンジーさんと付き合う前、イレニアと4年間付き合っていた。

「呪いを解くために妊婦を襲撃したオカルト結社! 返り討ちに遭って発覚した戦慄の真実の画像2画像は、「Oxygen」より

儀式で妊婦の殺害を決意したオカルト仲間たち

 捜査官はオスカーに尋問した。オスカーは、イレニアがリンジーさんの呪いについて自分を説得したこと、自分はリンジーさん殺害計画に関与してデビッドを巻き込んだことを自白した。

 8月22日夜、イレニアは交霊会のためにオスカー、デビッド、ジェニーを集めた。彼女は、儀式用のろうそくの明かりがちらついたことから、リンジーさん殺害の時期が訪れたことを示していて、ろうそくが燃え尽きる前にリンジーさんの殺害を終わらせなければならないと言ったとされる。

 ジェニーは第一級殺人・住居侵入・殺人共謀、ミスティは殺人共謀、オスカーは第一級殺人、イレニアは第一級殺人・殺人共謀・住居侵入でそれぞれ有罪判決を受けた。

 魔術を利用して自らの恋敵を殺害しようとしたイレニアは2063年まで仮釈放の資格を得られない。もし仮釈放が認められたとしても、彼女は93歳になっている。オカルトをもてあそんだ者の末路である。

参考:「Oxygen」、「100.9 The Eagle」、ほか

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文=標葉実則

タヒねばいいのに → しねはみのり → 標葉実則。エログロオカルトを得意とするライター。世界中の猟奇事件、奇病、フェチ、カルト宗教、オカルト、都市伝説、陰謀論などのアングラ情報を蒐集して文章化します。
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