火星に“液体の水”が存在した証拠を発見! キュリオシティが古代の波紋を捉える
火星に“液体の水”が存在した証拠を発見! キュリオシティが古代の波紋を捉える
NASAの火星探査車キュリオシティが、古代の火星に液体の水が存在した証拠を発見した。37億年前の波紋の痕跡から、当時の火星は現在よりも温暖で、氷に覆われていない湖や池が存在していた可能性が示唆されている。
火星、生命存在の可能性
火星は太陽系第4惑星で、地球によく似た地形を持つことから、生命存在の可能性が長年議論されてきた。しかし、現在の火星は極寒で乾燥しており、大気も呼吸に適さない。両極には主に二酸化炭素の氷でできた極冠が存在する。
2011年にNASAによって打ち上げられたキュリオシティは、2012年8月に火星に到着して以来、ゲール・クレーター周辺を探査している。キュリオシティの主な任務は、火星の気候と地質を調査し、過去に原始的な生命が存在できたかどうかを評価することだ。ドリルによる土壌サンプル採取、カメラ撮影、大気分析など、様々な機器を搭載している。
古代の波紋と液体の水の存在
カリフォルニア工科大学のジョン・グロッチンガー氏、ハロルド・ブラウン地質学教授、マイケル・ラム地質学教授は、Science Advances誌に発表した論文で、火星の表面に古代の波紋の痕跡を発見したと報告した。
波紋は、地球の砂浜や湖底などで、風が水面に作用することで生じる小さな起伏だ。研究チームは、この発見が、かつて火星に氷に覆われていない液体の水が存在したことを示す強力な証拠だと考えている。ゲール・クレーターで見つかった波紋は、火星の地質史の中で液体の水が存在したことを示すこれまでで最も確かな証拠だ。岩石と波紋の分析から、これらは37億年前に形成されたと推定される。
当時の火星の気温と大気密度は現在よりもはるかに高く、液体の水を維持できるほどだったと考えられる。
波紋の分析と古代火星の環境
研究チームは、発見された波紋をもとにコンピューターモデルを作成し、湖の規模を推定した。波紋の高さや間隔は、水の量を推定する手がかりとなる。
波紋の高さ6mm、間隔4~5cmというデータから、湖は浅く、おそらく水深2メートル以下だったと推定される。
一つ目の波紋は、かつて風で形成された砂丘だった地域で発見された。二つ目は、硫酸塩を多く含む岩層「アマパリ・マーカーバンド」の近くで見つかった。
これらの波紋は、わずかに異なる時代に形成されたもので、火星が温暖で高密度の大気を持つ時期が複数回、あるいは長期間にわたって存在したことを示唆している。
この発見は、火星の環境変化を解明しようとする古気候研究に大きく貢献するだろう。NASAの探査車オポチュニティも、過去に火星で波紋を発見していたが、水域の性質は不明だった。
今回のキュリオシティの発見は、古代火星の環境に新たな光を当てた。液体の水が存在した火星は、どのような姿をしていたのだろうか。もしそこに生命が息づいていたとしたら…。そんな想像をかき立てられる、ロマンあふれる発見である。今後の調査に期待したい。
参考:ScienceAlert、ほか
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