がん治療に「大麻」は効くのか? 1万件以上の論文をAI分析、驚きの結果…

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 大麻はがん治療に有効なのか――。最新の研究で大麻はがんの症状を抑えるだけでなく、がんそのものの治療に有効であることが報告されている。

■大麻はがん治療に有効とAIが判定

 米コロラド州にある「ホールヘルス腫瘍学研究所」の研究チームが今年4月に「Frontiers in Oncology」で発表した研究では、大麻ががん治療に有効であることが示されている。

 研究チームは大麻とがんに関する1万件以上の研究論文をAIに読み込ませ、がんとの関連で大麻が肯定的であるか、否定的であるか、あるいは曖昧に捉えられているかを検出した。

 分析では研究論文を健康指標(炎症など)、がん治療(化学療法など)、がんのダイナミクス(腫瘍の増殖や寛解など)という3つの大まかなカテゴリーに分類して分析したところ、いずれのカテゴリーでも大麻への支持が懐疑論を大幅に上回った。

 がん治療で最もよく見られる副作用である痛みと吐き気を調べた研究からは、大麻は否定的または曖昧な感情と関連付けられる可能性よりも、肯定的な感情と関連付けられる可能性が2倍以上高かった。また化学療法に関しては、大麻を支持する研究が反対する研究よりも134%も高かった。

 さらに大麻の「抗がん」作用に対する支持が懐疑論を大幅に上回っていることが示された。そして4つの研究のうち3つが緩和補助剤として、また抗がん剤としての可能性の両方で大麻を肯定的に支持した。

「私たちは、ほんの一握りの研究だけでなく、ほぼすべての主要な医療大麻の研究を分析して、科学的な合意点を実際に見つけたかったのです」と論文主筆のライアン・キャッスル氏は英紙「The Guardian」に語っている。

イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 世界中で医療用大麻を合法化する法域が増えるにつれ、医師や規制当局はエビデンスに基づいた判断を求められている。最近までそのエビデンスは不完全で断片的、あるいは矛盾に満ちていた。

 しかしこの新たな研究は、機械学習を用いることで、本来は一貫性のない文献群の意味を明らかにしようと試み、膨大なデータ空間における科学的コンセンサスを定量化する手段を提供するものである。

 今回に研究結果は「公衆衛生研究において、これは驚くべきコンセンサスであり、医療大麻のような物議を醸すテーマとしては、私たちが予想していた以上のものでした」と研究チームは説明する。

 大麻ががん治療に有効であるとすれば、医療での大麻の活用がますます進むことになるのだろう。今後の研究のさらなる進展を見守りたい。

参考:「ZME Science」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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