「黒い教皇」の予言とは?ローマ教皇フランシスコ死去で囁かれる“ノストラダムスが告げた終末”

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 先日帰天したホルヘ・マリオ・ベルゴリオ、すなわちローマ教皇フランシスコ。彼の死を受け、多くのメディアで再びある予言が囁かれている。「黒い教皇が選ばれた時、世界の終わりが訪れる」というものだ。この噂はしばしば、全体像や解釈の背景が語られることなく、センセーショナルに取り上げられ、時には人種差別的なニュアンスさえ帯びてしまう。しかし、この「黒い教皇」に関する予言の背後には、一体何があるのだろうか?

予言の源泉:ノストラダムスとその「予言集」

 この予言の出所として常に名前が挙がるのが、予言でおなじみ、ミシェル・ド・ノートルダム、通称ノストラダムスだ。16世紀、激動のヨーロッパを生きたフランスの医師・占星術師である彼は、未来を予見する能力を持つと主張し、『予言集(Les propheties)』を著した。

 異端審問を恐れて控えめに発表されたこの書物は、やがてフランス王アンリ2世の妃カトリーヌ・ド・メディシスの手に渡る。占星術師としての名声から、ノストラダムスは1556年に宮廷に招かれ、王の子どもたちの未来を占うことになる。こうして彼は顧問兼侍医となったが、その栄華は長くは続かなかった。高齢に加え、痛風と関節炎に苦しんでいた彼は、1566年にこの世を去る。

『予言集』は、世界の未来を告げる四行詩(カトラン)の形で書かれており、複数回に分けて出版された。100の詩で一つの「百詩篇」を構成し、全10巻(10の百詩篇)から成るとされる。しかし、古代のデルポイの神託以来の伝統として、運命からのメッセージは常に暗号化され、複雑な言葉で語られるものと信じられてきた。そのため、『予言集』も隠喩、暗示、二重の意味、そして解釈者に委ねられるある種の密閉性に満ちている。

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画像は「Wikipedia」より

解釈の難解さ:翻訳と編集による混乱

 この難解さが問題をさらに複雑にする。わずかな翻訳ミスでさえ、意味合いを大きく変えてしまう可能性があるのだ。ノストラダムスの死後、1568年に『予言集』の第三部が死後出版されて以降、版を重ねるごとに内容が絶えず変化してきた。例えば、アメリカ議会図書館が所蔵する1866年版(インターネットで閲覧可能)には、12の百詩篇が含まれている例もある。

 しかし、専門家によれば、公式なのは最初の10の百詩篇のみだという。「予言集のすべての詩が成就した時、世界の終わりが訪れる(なぜなら、それ以上詩がないから…)」とまことしやかに語る者もいる。

「黒い教皇」に関する詩とその多様な解釈

 そして、これが例の「黒い教皇」の予言へと繋がる。問題の記述は、第10巻の91番目の詩にあるとされる。

“Clergé Romain l’an mil fix cens & neuf,
Au chef de l’an feras election:
D’un gris &noir de la Compagne iffu,
Qui onc ne fut fi maling.”

 大意としては、以下のようになるだろう。

「ローマの聖職者よ、1609年に、
年の初めに汝らは選出するだろう、
灰色と黒色の、かの修道会より出でし者を、
彼ほど悪しき者(狡猾な者)はかつていなかった」

 ここで問題となるのが「noir(黒)」の解釈だ。「obscuro(暗い、浅黒い)」と訳すべきだという意見もある。また、最後の行は「彼ほど抜け目のない者はいなかった」あるいは「これほど邪悪な者はかつていなかった」と訳されることもある。

 最も単純な解釈は、これが「肌の黒い教皇」を指している、というものだ。これは、特に1960年代の英語圏のカトリック教徒の間で広まった懸念だった。当時、カトリック教会を近代化させた第2バチカン公会議や、アメリカでの人種隔離政策の禁止、ヨーロッパの外国人排斥、南アフリカのアパルトヘイトといった社会情勢の中で、終末への不安と結びつけて解釈されたのだ。

 しかし、それ以前の解釈では、「黒」という言葉は、イエズス会(1540年認可)の修道士がよく着用していた修道服の色を指すと考えられていた。この解釈に基づけば、初のイエズス会出身の教皇であったフランシスコこそが「黒い教皇」だったということになる。事実、彼のリベラルな思想から、2013年3月のコンクラーベで彼が教皇に選出された際、多くの保守的なカトリック教徒は恐怖をもってその報を受け止めた。

予言の矛盾点と「魔法」

 では、詩にある「年の初め」とは何を意味するのか? フランシスコが選出されたのは3月だ。ベネディクト16世は2005年4月18日、ヨハネ・パウロ2世は1978年10月14日、そしてパウルス5世は1605年5月8日に選出されている。コペルニクスやガリレオを弾圧したことで有名なパウルス5世は、1605年から1621年まで教皇を務めた。もし予言の最も明確な部分に従うならば、1609年には実際には教皇選挙は行われていないのである。

 果たして「黒い教皇」の選出は近づいているのだろうか? あまりにも暗号化され、曖昧であるため、解釈次第でいかなる時代や状況にも容易に当てはめることができてしまう。予言の真偽はともかく、教皇フランシスコの死をきっかけに、ノストラダムスの言葉は再び人々の関心を集め、カトリック教会の未来、そして世界の行く末について、様々な憶測を呼んでいる。

参考:Espacio Misterio、ほか

TOCANA編集部

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