粉砕された“人骨”入りの噂も… 人を1mgで殺す新ドラッグ「ニタゼン」入り“クッシュ”の恐怖

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 新たなドラッグが世界中で大量に供給されている――。2022年以降、フェンタニルの25倍の効力を持つ危険過ぎるドラッグが登場し、世界中で大量に出回っている実態が明らかになり専門が警鐘を鳴らす。

■世界中に蔓延しつつある新たな危険ドラッグ

 英ロンドン南部コールスドン出身のシャーロット・メイ・リー(21)は5月19日、バンコク発の旅客機でスリランカのコロンボ空港に到着後後、拘束された。情報筋によると当局はリーがスリランカ航空の旅客機でタイから到着した際に、46キロの「クッシュ」と呼ばれるドラッグを押収したという。

画像は「Daily Mail Online」より

 クッシュ(Kush)は非常に強力な大麻の品種で、2022年以降、ニタゼン(nitazenes)と呼ばれるフェンタニルの25倍の強さを持つ、さらに危険なクッシュが登場している。

 クッシュを吸引すると多幸感、混乱、眠気が生じ、使用者は転倒して地面に激しく頭を打ちつけたり、交通事故の犠牲になることが多々報告されている。

 クッシュは合成カンナビノイド、ホルムアルデヒド、フェンタニルを含む混合物をマシュマロウの葉に噴霧して作られる。このクッシュの原材料には粉砕された人間の骨が含まれているという恐ろしい噂もある。

 オランダのクリンゲンダール研究所の上級研究員であり、クッシュに関する報告書の著者でもあるカース・デ・ブリュイヌ博士によると、ニタゼンは非常に強力で、1ミリグラムを少し超えただけでも人を死に至らしめるという。

 ニタゼンは、強い多幸感とリラックス状態を引き起こす一方で、吐き気、嘔吐、発熱などの症状も引き起こし、頭と関節に激しい圧迫感を伴い、長期間使用すると、足や手が腫れ、傷や腫瘍ができて感染する恐れがある。この薬がなぜこのような効果をもたらすのかは現時点ではよくわかっていない。

 ニタゼンはその効力ゆえに過剰摂取の重大なリスクももたらし、専門家は西アフリカですでにこの薬によって数千人単位の死者が出ていると警告している。

 昨年、ロンドン大学インペリアル・カレッジの毒物学者グループは、イギリスでニタゼンのせいで過剰摂取による死亡が“急増”していると警告を発した。

 価格の安さも蔓延を助長しており、シエラレオネではクッシュのジョイント1本が20ペンス(約200円)であるということだ。このため使用した者が急速に中毒者になり、消費量をどんどん増やしていくという。

 クッシュはどこで作られているのか。クッシュの原材料となる合成カンナビノイドなどの化合物が中国から輸入されて各国内で混合される場合と、既製のクッシュがヨーロッパから輸入されるケースが考えられるという。

 デ・ブリュイヌ博士は、欧州側ではイギリスとオランダが主要輸出国として台頭していると述べている。

 しかし、このクッシュがイギリスで製造されているのか、それとも単に他の場所から国内を経由して運ばれてきただけなのか、詳しい流通ルートはまだ明らかではない。

 デ・ブリュイヌ博士は、タリバンがアフガニスタンを占領し、ヘロイン生産の原料となるアヘンケシの取引網を破壊して以来、生産ラインが急速に変化していると示唆している。

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「ヘロインの世界的供給量は減少しています。法執行機関の推定では、大手麻薬カルテルはヘロイン減少の状況に備え、合成オピオイドから代替品を見つけようとしています」(デ・ブリュイヌ博士)

 国際組織犯罪に対するグローバル・イニシアチブの「西アフリカ・オブザーバトリー」のディレクター、ルシア・バード氏は英紙「Daily Mail」の取材に応じ「重要なのは、『クッシュ』がシエラレオネやその他の地域での“通称”であることに注目することです」と語る。

「したがって、化学検査が行われていない場合、押収された“クッシュ”と呼ばれるものが、化学組成の観点から必ずしも同じ薬物であるかどうかを知ることは困難です」(バード氏)

 バード氏は問題となる薬物は大麻である可能性が高く、クッシュの密輸ルートは西アフリカとは関係がないと示唆している。

 しかしバード氏は、化学検査でニタゼンの存在が確認されれば「以前は合成カンナビノイドの供給チェーンだったものも含め、ニタゼンがさらに世界的に広がっていることを示す証拠」になるだろうと述べている。

 ヘロイン取引の減少がクッシュの世界的蔓延を促しているということなのだろうか。あまりにも危険なドラッグの蔓延を一刻も早く食い止めなければならない。

参考:「Daily Mail」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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