性的快楽のために“自らの両脚を切断”した外科医… 彼を蝕んだ奇病「身体完全性違和」の恐るべき闇

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画像は「Daily Star」より

 五体満足で健康な自分の身体に違和感を感じる人々がいるという。ある者は性的興奮を求めて自分の両脚を切断したのだ――。

■性的満足のために自らの両脚を切断

 英紙「Daily Star」によると、イギリスの外科医、ニール・ホッパーは、性的満足のために自らの両脚を切断した後、保険金詐欺と「過激なポルノ」所持の罪で有罪判決を受けた。

 49歳のホッパーは敗血症で両足を失ったと申告して数十万ドルの保険金を請求していたが、実際はドライアイスを使って自ら切断し、性的な快楽を得ていたというのだ。

 にわかには理解し難い事件だがいったいどういうことなのか。

 ホッパー被告の弁護人であるアンドリュー・ラングドン弁護士は法廷で「彼は身体完全性違和を患っており、自分の足に強い嫌悪感を抱いていました」と述べている。

 身体完全性違和(Body integrity dysphoria、BID)は、自身の身体構造と精神的に認識する身体との間に不一致があり、健常体であることに苦痛を感じたり、障害を負いたいという強い欲求を抱いたりし、健康な手足の切断や麻痺を強く望むこともあるきわめてレアな精神状態であるという。

 専門家にもこの障害の原因を解明できてはいない。しかし研究によると、BIDの患者は非患者とは脳の構造が異なり、特定の領域における神経細胞の結合の程度が低下していることが示唆されている。そこには「空間における身体の健全な認識」を形成する脳領域も含まれている。

 また子ども時代の性的虐待や内面化された自己嫌悪の感情などのトラウマがきっかけになっているという見解もあるようだ。

「クリーブランド・クリニック」によれば、BIDは手足、指、つま先、目、耳、歯に影響を及ぼす可能性があるが、最も一般的に影響を受ける部位は左脚だという。

 さらに患者は切断処置を求めたり、ホッパーのように自ら切断を試みたりする可能性があるが、同院は「これは極めて危険であり、生命を脅かす可能性がある」こと、また「BIDの結果は身体障害である」と警告している。

 ちなみにこれまでに確認されたBIDの症例は約400件しかない。

 BIDは厳密には性的障害ではないが、専門家は「性的興奮の感情や認識を伴うことが多い」と指摘し、切断を想像して興奮するBID患者のサブグループが観察されている。

 ある研究によると、BID患者のうち72%が、自分自身が障害を負うことを考えると性的興奮を覚え、87%が身体に障害のある人物を見ることで性的快感を覚えるとのことだ。

 しかし性的興奮が「身体改造の主な動機であると見られることはほとんどなく」、報告されているのは患者の3分の1未満である。

 だがこのホッパーの事件では、性的要素が明らかに関与していた。警察の捜査で、ホッパーはダークウェブのポルノサイトから、過激な切断をテーマにしたポルノを購入していたことが明らかになっている。

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画像は「Daily Star」より

 ウェブサイトを運営していたマリウス・グスタフソンは、男性が自らの性器を切除する様子を映したビデオ3本をホッパーに販売していたのだ。

 2人は1500件以上の個人的なメッセージも交換しており、その中にはホッパーがグスタフソン氏に足の切断についてのアドバイスを求めたやりとりも含まれている。

 ホッパーがグスタフソンに送ったメッセージの一つは、ドライアイスの浴槽に浸かり足を腐らせている最中に送られたもので、ホッパー医師は興奮気味に「両足切断者になるのは最高だろうね」と書き、勃起した自分のペニスの写真を添えていた。

 切断手術後に送られた別のメッセージでは、彼はグスタフソンに「足がないってセクシー。すごくクールだよ。足がないって!」と感激を綴っている。

 ホッパーは外科医資格を持ち、それまでに数百件の患者の切断手術を執刀していた。ホッパーが勤務していたロイヤル・コーンウォール病院トラストの広報担当者は、今回の有罪判決は同病院におけるホッパーの「職業上の行為」とは無関係であると主張している。

 ホッパーの手術を受けたことがある人々はかなりショックを受けたのではないだろうか。自身で手足を切断してしまうのは止めようがないともいえるが、この謎に包まれたBIDという症状の理解が進むことを望みたいものだ。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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