「マリオカート」をプレイすると交通事故が減る? ― ゲームが運転技術を向上させる科学的根拠

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ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」―。そんな言葉は、もはや過去のものになるのかもしれない!? アクションゲームやレースゲームに熱中することが、現実世界での致命的な自動車事故のリスクを大幅に減少させる可能性があると、複数の科学的研究が示している。

 中でも、任天堂の「マリオカート」のようなレースゲームを週に10時間以上プレイする若者は、そうでない人に比べて路上での安全性が高いという驚くべきデータが報告されているのだ。

ゲーマーは車線維持能力が高い?

『Journal of Clinical and Translational Science』誌に掲載された新たな分析によれば、週に10時間以上ゲームをプレイする若者(ゲーマー群)と、それ以下の人々を比較する実験が行われた。両グループにプロ仕様のドライビングシミュレーターを使用させたところ、ゲーマー群は車線をはみ出して走行した時間が4%も少なかったのである。

 これは、特定のビデオゲームが、安全運転に不可欠なスキルを研ぎ澄ます可能性を示唆している。もちろん、ゲームが自動車教習所のレッスンや交通法規の代わりになるわけではない。しかし、車線維持能力や速度制御、そして瞬時の意思決定といった、安全運転の根幹をなすスキルを向上させる効果が期待できるという。

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複数の研究が裏付ける「ゲームと運転技術」の相関関係

 この傾向は、他の研究でも裏付けられている。2023年に発表されたある研究では、アクションゲームの経験がある人々は、ドライビングシミュレーターにおいて車線をより安定して維持し、一貫した速度を保つ能力が高いことが判明した。さらに、注意を散漫にさせる要素が加えられた状況でさえ、彼らはより多くの認知的な余裕を示したという。

 専門家は、これは「定期的にゲームをプレイする人々は、予期せぬ事態に対処するための“脳の余力”が大きい」ことを意味すると結論付けている。

 また、2024年の別の研究では、アクションゲームで培われたスキルが、現実の運転技術にも良い影響を与えることが示された。ゲーマーは速度制御や車線維持に優れているだけでなく、不測の事態に対応する能力が高いことが確認されたのである。

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なぜゲームが運転を上達させるのか?

 なぜビデオゲームが運転技術の向上につながるのか。その理由は、ゲームがプレイヤーのに特定の訓練を課すことにある。

 アクションゲームやレースゲームでは、高速で視覚情報を処理し、それを正確なモーターコントロール(手や指の操作)に結びつけることが常に要求される。この「見る」と「動かす」を高速で繰り返すプロセスが、脳を鍛え上げるのだ。

 ある心理学の研究によれば、わずか5〜10時間のアクションゲーム「トレーニング」でさえ、横風が吹く状況下での車線維持能力を向上させることができたという。

 専門家によれば、運転技術向上のためのゲームプレイの最適な方法は、短時間のセッションを定期的に行うことだという。推奨されるゲームとしては、「マリオカート8 デラックス」のほか、「グランツーリスモ7」や「F1 24/25」などが挙げられている。

 ただし、現実の道路でバナナの皮や甲羅を投げるのは厳禁である。

参考:Daily Star、ほか

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文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

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