4万年の眠りから覚めた太古の微生物 ― 永久凍土が解き放つ「未知のパンデミック」は起こるのか

極北の氷の下、数万年の眠りについていた古代の生命体が、現代に蘇る――。しかし、これはフィクションではない。科学者たちが、地球温暖化がもたらす恐るべき未来を警告するために、あえてその「パンドラの箱」を開けたのだ。4万年前の永久凍土から蘇った微生物は、人類にとって未知のパンデミックを引き起こす引き金となるのだろうか。
氷の墓場からの「目覚め」―科学者が蘇生させた4万年前の微生物
米コロラド大学ボールダー校の研究チームは、アラスカの「永久凍土研究トンネル」の壁から、数万年前に凍結した土壌サンプルを採取した。永久凍土とは、数年から数万年にわたって凍結したままの土や岩、氷の層であり、北半球の陸地の約4分の1を覆う「自然の巨大な冷凍庫」だ。
研究チームは、このサンプルに水を加え、温暖化した未来の北極の夏を想定した温度(3℃と12℃)で培養するという実験を行った。すると、驚くべきことが起きた。
凍土が解けても、微生物たちはすぐには目覚めなかった。しかし、数ヶ月の時を経て、まるで長い昼寝から覚めるかのように、彼らはゆっくりと活動を再開し、やがて活発なコロニー(集団)を形成し始めたのだ。研究を主導したトリスタン・カロ博士は警告する。「これらは決して死んだサンプルなどではないのです」と。
2つの脅威―未知のパンデミックと加速する地球温暖化
4万年の眠りから覚めた微生物がもたらす脅威は、2つある。
第一の脅威は、言わずもがな「未知のパンデミック」だ。もしこれらの古代微生物の中に、人類が免疫を持たない危険な病原体が含まれていたらどうなるか。2022年には、シベリアの永久凍土から4万8500年前の「パンドラウイルス」が蘇生され、世界に衝撃を与えた。このウイルスは人間に害はないとされたが、専門家は、永久凍土の融解によって炭疽菌や天然痘ウイルスのような既知の病原体や、全く新しい未知のウイルスが出現する可能性を指摘している。

そして第二の脅威は、地球温暖化のさらなる加速だ。目覚めた微生物は、活動を開始すると同時に、永久凍土に閉じ込められていた膨大な量の有機物を分解し、二酸化炭素(CO2)や、さらに強力な温室効果ガスであるメタンを大気中に放出する。これがさらなる気温上昇を招き、永久凍土の融解を加速させるという、まさに悪夢のような悪循環を生み出すのだ。
「パンドラの箱」はもう開いているのか?
今回の実験で明らかになったのは、微生物の「目覚め」には数ヶ月のタイムラグがあるということだ。これは、たった一日暑い日があったからといって、すぐに危険な状態になるわけではないことを意味する。しかし、問題はそこではない。地球温暖化によって北極の「夏」そのものが長くなっていることだ。暖かい季節が春や秋にまでずれ込むことで、凍土の奥深くまで熱が届き、微生物が活動を再開するのに十分な時間が与えられてしまう。
幸いなことに、永久凍土は人里離れた極地に存在するため、復活した病原体がすぐに人間に感染するリスクは低い。しかし、専門家は「たった一度の不運な感染」―例えば、野生動物を介して人間にジャンプするようなシナリオ―が起きれば、瞬く間に世界的なパンデミックに発展する可能性があると警告する。
地球温暖化が溶かしているのは、ただの氷ではない。それは、人類の歴史をはるかに超える時を生きてきた、未知の生命体が眠る「パンドラの箱」なのだ。そして、その箱はもう、ゆっくりと開き始めているのかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊4万年の眠りから覚めた太古の微生物 ― 永久凍土が解き放つ「未知のパンデミック」は起こるのかのページです。ウイルス、パンデミック、永久凍土などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで