トランプは“9.11”を警告していた? ―「私はビン・ラディンを危険視していた」と主張する真意

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Hamid Mir – http://www.canadafreepress.com/, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 トランプ大統領はかつてアメリカ同時多発テロ事件の主犯、ウサマ・ビン・ラディンの危険性を事前に警告していた――。警告が真剣に受け止められていたら、同時多発テロ事件は起こらなかったと彼は断言している。

■トランプは“911”を予言していた!?

 10月5日、大統領はバージニア州のノーフォーク海軍基地で行われた海軍創立250周年記念式典で演説し、2001年9月11日の同時多発テロ事件以前からウサマ・ビン・ラディンの危険性について警告していたという主張を改めて力説した。

 トランプ氏はその時の自身の警告は残念ながら無視されたが、もし真剣に受け止められていたら同時多発テロ事件は起こらなかっただろうと断言したのである。

 トランプ氏は論説の中で、アメリカは「小さな危機、火種、そして火種が次々と発生し、途方に暮れる」状況にあると述べ、国家安全保障への脅威としてビン・ラディン氏の名前を挙げた。

「覚えておいてほしいのは、ウサマ・ビン・ラディンが世界貿易センターを爆破するちょうど1年前に、私は彼について書いたということだ。そして私は『ウサマ・ビン・ラディンから目を離してはならない!』と言った」(トランプ氏)

 トランプ氏が2000年1月にデイブ・シフレット氏と共著で出版した著書『The America We Deserve』の中で、ウサマ・ビン・ラディンについて言及している。出版はテロ事件の18カ月前のことになる。

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画像は「Amazon」より

「私が書いた本にはウサマ・ビン・ラディンという人物を見て、それが気に入らなかったという記述がある。そして私は『この件に対処しなければならない』と書いた。しかし彼らは対処せず、1年後、ビン・ラディンは世界貿易センタービルを爆破したのだ」(トランプ氏)

 79歳の大統領は、テロリストを脅威と認識したことについて「私の功績を少しは認めるべきだ」とも述べた。なぜならほかの誰もそうしないだろうからだ。

「もしほかが私の功績を認めないなら、自分で認めればいい」(トランプ氏)

 この話題を取り上げたブラジルメディア「Misterios do Mundo」の記事によると。トランプ氏の発言にもかかわらず、記録は彼が9月11日の攻撃を具体的には予測していたわけではないという。同著の中でトランプ氏がビン・ラディンについての言及したのは次のセンテンスだ。

「ある日、住所不定のオサマ・ビン・ラディンという謎の人物が公共の敵ナンバーワンだと報じられ、米軍の戦闘機がアフガニスタンの彼の拠点を壊滅させた。彼は岩陰に逃げ込み、数サイクル後には新たな敵と新たな危機が待ち受けている」(同著より)

 この抜粋は、トランプ氏がビンラディンを潜在的な脅威として認識していたことを示しているものの、具体的な攻撃を予測したり、“911”のような規模の出来事が起こることを示唆したりはしていない。

 それでもトランプ氏は、当時の自身の警告が真剣に受け止められていなかったこと、そしてもし真剣に受け止められていたら歴史は違った方向へ進んでいたかもしれないという主張を裏付けるために、このエピソードを度々演説で言及している。

 どうやらこの話は演説での“レパートリー”の1つのようであり、自らの優れた“先見性”を主張するためのエピソードでもあるようだ。多忙な日々を過ごしている大統領だが、はたして今は何を“予見”しているのだろうか。

参考:「Misterios do Mundo」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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