トランプ大統領、深夜に“謎のAI動画”を投稿 ― 骸骨バンドと「死神」の登場に米国民が困惑

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画像は「Truth Social」より

 常識外れのSNS投稿で度々世間を騒がせるドナルド・トランプ大統領。しかし、今回ばかりはその奇妙さが群を抜いているようだ。米政府機関が閉鎖に追い込まれるという国家的な混乱のさなか、彼が深夜に自身のSNS「Truth Social」に投稿したのは、自身が骸骨バンドと共演し、側近が「死神」として登場するAI生成動画だった。この不可解な投稿は、アメリカ国民を困惑と賛否両論の渦に巻き込んでいる。

骸骨とカウベル、そして「死神」― AI動画の衝撃的な中身

 深夜に投稿されたのは、何ともシュールな光景だった。動画の中では、トランプ大統領がカウベルを陽気に叩き、J・D・ヴァンス副大統領がドラムを演奏。彼らを取り囲むのは、不気味な骸骨のバンドメンバーだ。

 そして、この動画の主役とも言えるのが、大鎌を携えた「死神(グリム・リーパー)」として登場する側近のラス・ヴォート氏である。彼は、ペロシ元下院議長やシューマー院内総務といった政敵の肖像画が飾られた廊下を悠然と歩く。BGMには、伝説的ロックバンド、ブルー・オイスター・カルトの名曲「(Don’t Fear) The Reaper」の替え歌が流れる。

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画像は「Truth Social」より
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画像は「Truth Social」より

「彼らの時代は終わった/権力は去った」

「ラス・ヴォートこそが死神だ/彼はペンと資金と頭脳を操る」

 この動画は、政府機関の閉鎖を揶揄し、ヴォート氏を「無駄な予算を刈り取る死神」として描くことで、自らの政治姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。

政府閉鎖中に不謹慎?動画に込められた政治的メッセージ

 この動画が投稿されたのは、共和党と民主党の対立によって予算案が可決されず、政府機関の一部が閉鎖に追い込まれるという深刻な事態の最中だった。

 動画で「死神」として描かれたラス・ヴォート氏は、トランプ政権2期目の政策指針とされる「プロジェクト2025」の設計者であり、民主党系の政府機関の大幅な予算削減を主導する人物だ。トランプ自身も、ヴォート氏と「どの機関を、一時的に、あるいは永久に削減するか」を協議したと語っている。つまりこの動画は、政府の無駄を徹底的に排除するという強い意志表示であり、政敵に対する勝利宣言とも受け取れる内容なのだ。

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画像は「Truth Social」より

「狂気の沙汰だ」― 賛否両論渦巻く世間の反応

 しかし、国家の機能が麻痺し、軍人や公務員が給与を受け取れない状況下で、大統領がこのような動画を投稿したことに、批判の声が殺到している。

 政治コメンテーターのハリー・シッソン氏はTikTokで、「信じられないほど奇妙だ。まるでMAGA(トランプ支持者)のおじさん。でも彼が国を動かしているんだ」と呆れ、「政府が機能不全に陥っているのに、大統領はAI動画を投稿している。我々はもう終わりだ」と痛烈に批判した。

 SNS上でも、「こんなことをする大統領がいるか?」「トランプは完全に狂気に陥った。我々にとって良い結末にはならないだろう」といった非難が相次いだ。

 一方で、「問題はトランプが奇妙な投稿をすることではなく、彼の支持者がそれを奇妙だとも不適切だとも思わないことだ」と、アメリカ社会の深刻な分断を指摘する声も上がる。事実、「この動画は最高だ」「笑いが止まらない」と絶賛する支持者も少なくない。

 AIという最新技術を駆使した奇抜な自己演出は、トランプ支持層の結束を固める一方で、反対派の反感をさらに煽る結果となっている。国家の危機を前にしてもなお、エンターテインメントのように政治を動かそうとする彼のスタイルは、良くも悪くも健在のようだ。

参考:Daily Star、ほか

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