「3I/ATLAS」太陽の裏側で見せた“謎の青い輝き”と“急激な増光”に科学者も困惑

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 オウムアムア、ボリソフに続き、太陽系に飛来した3番目の恒星間天体「3I/ATLAS」。それは太陽系外の惑星系を知るための貴重な「天然のサンプル」なのか、それとも一部の科学者が主張するように、知的な存在が送り込んだ「人工物」なのか。その正体を巡り、世界中の天文学者が固唾を飲んでその動向を注視していた。

 しかし、この宇宙からの使者は、科学者たちの予想をはるかに超える奇妙な振る舞いを見せ始めた。2025年10月29日に太陽へ最接近する(近日点を通過する)過程で、突如として異常なペースで輝きを増し始めたのだ。まるで、太陽の裏側で何らかの“爆発”を起こしたかのように。一体、この謎めいた天体に何が起きているのだろうか。

太陽観測衛星が捉えた「異常な増光」

 彗星が太陽に近づくと、その熱で表面の氷が昇華(固体から直接気体になる現象)し、ガスや塵を放出して明るくなるのはごく自然な現象だ。しかし、3I/ATLASが見せたのは、そんな生やさしいものではなかった。その輝きが増すペースは、太陽系内のオールトの雲からやってくる通常の彗星の約2倍という、異常なものだったのだ。

 この重要な時期、3I/ATLASは地球から見て太陽のほぼ真裏に位置していたため、地上の望遠鏡での観測は不可能だった。しかし、幸運にも、本来は太陽の活動を監視するための宇宙探査機たちが、その劇的な変化を捉えていた。太陽観測衛星「STEREO-A」や「SOHO」などが、この宇宙からの訪問者の異変を克明に記録していたのである。

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ハッブル宇宙望遠鏡による2025年7月21日の3I/ATLASの画像 画像は「ScienceAlert」より

赤から青へ―謎めいた色の変化

 さらに科学者たちを驚かせたのは、その「色」の変化だった。

 以前の観測では、3I/ATLASが放出する塵は「赤っぽい」と分析されていた。しかし、今回観測された輝きは、太陽光よりも明らかに「青い」ことが判明したのだ。これは、彗星の輝きが、単に塵が光を反射しているだけでなく、ガスそのものが発光していることを強く示唆している。

 研究者たちは、この青い輝きの正体が、シアノゲンやアンモニアといった分子ガスによるものではないかと推測している。太陽の熱によって彗星の内部から未知のガスが激しく噴き出し、その姿を劇的に変貌させたのかもしれない。

なぜ光り輝いたのか?科学者を悩ます3つの仮説

 では、なぜ3I/ATLASはこれほど急激に、そして青く輝き始めたのか。その明確な理由はまだ解明されておらず、科学者たちはいくつかの可能性を検討している。

1. 未知の組成や構造: 3I/ATLASが生まれた元の恒星系の化学組成が、我々の太陽系とは全く異なる可能性がある。未知の物質が太陽熱に反応し、爆発的な昇華を引き起こしたのかもしれない。

2. 昇華メカニズムの違い: 当初は二酸化炭素の昇華が主だったが、太陽に近づいたことで、これまで抑制されていた水氷が一気に蒸発し始めたという説。

3. 太陽への接近速度: 太陽系外からやってきたこの彗星の、高速な移動速度そのものが、何らかの特異な現象を引き起こした可能性も考えられる。

 いずれの仮説も、この天体が我々の知らない宇宙の姿を映し出すことを物語っている。

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 謎は深まるばかりだが、幸いなことに、3I/ATLASは11月から12月にかけて太陽の向こう側から再び姿を現し、地上の望遠鏡でも観測可能な位置に戻ってくる。科学者たちは、この絶好の機会を逃すまいと準備を進めている。

 この宇宙からの孤独な旅人が見せた一瞬の輝きは、一体何を物語っているのだろうか。ハーバード大学のローブ教授のように、これを地球外生命体の「宇宙船」ではないかと指摘する声もある。その答えが、単なる天文学の教科書の一ページに収まるのか、それとも人類の歴史を根底から覆すものになるのか。世界中の視線が再び夜空へと注がれる。

参考:ScienceAlertSpace、ほか

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