「死とは、完璧で、美しかった」― 11分間“死亡”した救急救命士が語る、衝撃の臨死体験

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「私は私ではなかった。死んでもいなかった。私は…すべてだった」

 2018年、カナダの救急救命士アダム・タップ氏は、自宅での感電事故により、11分間以上にわたって心停止と脳波停止、つまり臨床的な「」を経験した。死の最前線を知るプロフェッショナルが垣間見た“向こう側”の世界。彼の証言は、科学と神秘の境界線を揺るがし、「死の瞬間に、私たちの意識は一体どうなるのか?」という根源的な問いを、改めて私たちに突きつける。

「私は宇宙の織物そのものになった」―11分間の臨死体験

 その日、趣味の焼き絵(パイログラフィー)を楽しんでいたアダム氏を、自作の高電圧装置が突如襲った。強力な電流が彼の体を貫き、心臓は即座に停止。駆けつけた救急隊による蘇生も虚しく、彼の脳波は11分間、完全にフラットな状態が続いた。

 しかし、その間、アダム氏の意識は消えてはいなかった。それどころか、彼はかつてないほど明晰な状態にあったという。

「もはや人間という感覚はなかった。恐怖も、痛みも、思考すらなかった。ただ、完璧な静寂と調和があるだけだった」

 彼は、自分の意識が360度全方位に広がり、すべてを同時に知覚していたと語る。そして、言葉では表現できない光を放つ、フラクタル(自己相似的な図形)状のネットワークに自身が吸収されていくのを感じた。

「まるで、自分が宇宙を構成する織物そのものになったようだった」

 11分後、奇跡的に蘇生した彼を待っていたのは、安らぎとは程遠い現実だった。体の重さ、皮膚の匂い、そして再び物質という“牢獄”に閉じ込められた感覚。彼にとって、生への帰還は「密度への逆戻り」であり、苦痛に満ちたものだったのだ。

科学は「死」の謎を解き明かせるか?

 心停止や深い昏睡状態の際に体験される「臨死体験(NDE)」。体から抜け出す感覚、強烈な光との遭遇、絶対的な平和や一体感といった共通の報告は、文化や時代を超えて数多く存在する。

 科学は、この現象をいくつかの仮説で説明しようと試みてきた。

神経生理学的仮説: 脳の酸素欠乏や、大脳皮質の残存活動、あるいは幻覚作用のある脳内物質(DMTなど)の放出が原因とする説。
心理学的仮説: 死にゆく脳が自らを守るために見せる、保護的な幻覚であるとする説。
超越的仮説: 意識が肉体から独立して存在できる証拠であるとする説。

 しかし、どの理論も臨死体験のすべてを説明するには至っていない。特に、アダム氏のように10分以上も脳の活動が停止していたケースは、現代の神経科学にとって大きな挑戦だ。

 彼の証言が特異なのは、彼自身が救急救命士であるという点だ。人体の生物学的な限界を知り尽くした彼が、神秘主義的な言葉ではなく、冷静かつ自然な口調で語る「死」の体験。「死んでいることは、シンプルで、完璧で、美しかった」。その言葉は、科学的な説明だけでは割り切れない重い説得力を持って響く。

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「死の恐怖が消えた」―生まれ変わった男の人生観

 臨死体験を経て、アダム氏の人生観は一変した。彼はもはや、死を恐れていない。死は終わりではなく、意識が別の状態へと移行する、自然なプロセスだと捉えるようになったのだ。

 彼は、自分の身体を「猿のスーツ(a costume of singe)」と呼び、一時的に借りている乗り物だと考えている。しかし、それは物質世界を否定するのではなく、むしろその儚さを受け入れ、今この瞬間を深く味わうための哲学だという。

「私たちは、ある意識の形態から、別の形態へと移り変わっていくだけなんだ」

 彼の体験は、彼を特定の宗教の信者にしたわけではない。ただ、「意識は生物学を超える」という、揺るぎない確信を与えた。

 アダム・タップ氏は、誰かを説得しようとしているわけではない。ただ、自らが体験したことを静かに語るだけだ。彼の物語は、死と意識に関する我々の理解がいかに限られたものであるかを突きつける。

 そして、そのメッセージは、恐怖ではなく、むしろ希望に満ちている。死は断絶ではない。死とは終わりではなく、私たちが本来いた場所へと還っていく、ただの“通過点”なのかもしれない。

参考:Mysterium Incognita、ほか

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