天才“ラマヌジャン”が100年前に予見していた?「円周率の公式」がブラックホール解明の鍵となる衝撃

3.1415……と無限に続いていく円周率だが、1世紀前のインドの天才数学者が考案した円周率の公式が驚くことにブラックホールの計算に活用できることが示唆されている。
■1世紀前の数学でブラックホール解明へ
無限級数(むげんきゅうすう)とは、無限に続く数列の項をすべて足し合わせたものであるが、まだコンピューターのない1914年、インドの天才数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは、円周率を計算するための17の無限級数を考案した。これは円周率を200兆桁まで計算する今日使用されているアルゴリズムの基礎となっている。
伝えられるところによると、ラマヌジャンは、「方程式は神の考えの一つを表現する場合にのみ価値を持つ」と話していたという。そして彼の若すぎる死から1世紀が過ぎた今、その話は少なくとも宇宙に及ぶことが明らかになったようだ。
インドの研究チームが2025年12月に「Physical Review Letters」で発表した新たな研究は、この天才数学者が生み出した数学が、乱流、浸透(多孔質材料で流体が移動する様相など)、ブラックホールなどの研究を含む物理学のさまざまな分野にどのように適用できるのかを検証している。

「ラマヌジャンの公式の出発点が、何らかの物理学に自然に当てはまるかどうかを調べたかったのです」と、インド科学研究所の研究共著者であるアニンダ・シンハ氏はプレス声明で述べた。
「言い換えれば、ラマヌジャンの数学がそれ自体で現れる物理世界が存在するのかどうかです」(シンハ氏)
シンハ氏と共著者のファイザン・バット氏は、研究の過程で対数共形場理論(LCFT)の概念に辿り着いた。これはスケール不変性を持つ系を記述する理論であり、その名の通り、LCFTはどのスケールで見ても同一に見える系である。例えば物理学では、スケールに関わらず水に液体と蒸気の区別がつかなくなる臨界点が存在している。
これらのLCFTをさらに研究することで、これらの理論の特定のバージョンを用いて、浸透やブラックホールといったほかの物理現象を記述することが可能になる。ブラックホールに関するラマヌジャンの洞察は、カール・シュヴァルツシルトが示唆したブラックホールに通じていたのだ。
「どんな美しい数学にも、その数学を反映する物理体系が必ずと言っていいほど存在します」とバット氏はプレス声明で述べた。
「ラマヌジャンの動機は非常に数学的なものだったかもしれませんが、彼は知らず知らずのうちに、ブラックホール、乱流、浸透など、あらゆるものを研究していました」(バット氏)

1988年、ウクライナ系アメリカ人の数学者、デイビッド・チュドノフスキーとグレゴリー・チュドノフスキーは、スーパーコンピュータの恩恵を受け、200兆桁までの円周率を計算する現代的な高速アルゴリズム(チュドノフスキー法)を開発した。実はこのアルゴリズムは半世紀以上前にラマヌジャンが初めて開発した無限級数に基づいていた。
ラマヌジャンはさまざまな意味で時代を先取りしていたようだ。彼の数学への貢献はよく知られているが、現在専門家たちは現代物理学への彼の洞察を評価しはじめている。
「20世紀初頭のインドで、現代物理学とはほとんど関わりのない天才が、今では宇宙の理解の中心となる構造を予見していたことに、私たちはただ魅了されたのです」(シンハ氏)
アルバート・アインシュタインやアイザック・ニュートンのような著名な科学的人物ではないものの、1920年に32歳という若さで悲劇的な死を遂げたインドの数学者、シュリニヴァーサ・ラマヌジャンは数学界における偉大な頭脳の一人であった。ラマヌジャンの明晰な頭脳は今もあの世で回りに回っているようだ。
参考:「Popular Mechanics」ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊天才“ラマヌジャン”が100年前に予見していた?「円周率の公式」がブラックホール解明の鍵となる衝撃のページです。インド、数学、円周率、ブラックホールなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

