ノストラダムスの予言を“都合よく”解釈して年末ジャンボ宝くじを買ってみる【後編】
【宝くじ企画】ノストラダムスの予言を“都合よく”解釈して年末ジャンボ宝くじを買ってみる【後編】

前編では、ノストラダムスの予言集を片手に「2025年」という都合のいいフィルターをかけ、宝くじと結びつきそうなヒントを必死に探した。
そして数ある四行詩の中から、我々はついに「Century I-25」という一節に行き着くことになる。ここから先は、予言の読み解きという名の解釈合戦だ。
パスツールとは誰なのか。月の周期とは何を指すのか。
そして、その象徴が導き出した“場所”と“時間”とは――。
ノストラダムスを真面目に読み、9割くらいこじつけながら、我々はついに宝くじを買う決断を下すことになる。
「Century I-25」に行き着く
もちろん、最初から「Century I-25」だけを見ていたわけではない。各巻にはそれぞれ25番の四行詩が存在するため、Century I-25以外の「25」も一通り目を通している。
ただ、多くの25番は戦争や争乱、王や権力者の没落といった物騒な内容が中心で、年末ジャンボ宝くじに結びつけるには少々扱いづらかった。その点、Century I-25は明らかに毛色が違っていた。
実際にCentury I-25を読んでみると、そこには次のような四行詩が記されている。
“The lost thing is discovered, hidden for many centuries.
Pasteur will be celebrated almost as a God-like figure.
This is when the moon completes her great cycle,
but by other rumours he shall be dishonoured.”
――長い年月を経て失われたものが発見され、パスツールは神のように称えられる。
大きな月の周期が完了する時、しかし同時に、別の噂によって彼は不名誉に陥る、という内容だ。
正直、「不名誉に陥る」という一文は、年末ジャンボ宝くじと結びつけるにはかなり邪魔だった。称えられるだけならまだしも、なぜ最後にわざわざケチをつけるのか。
ただ、この“不名誉”をよく見ると、静かな失敗というより「話題になるほどの出来事」を示しているようにも読める。称賛と疑念が同時に生まれる状況――つまり、注目が一気に集まるタイミングだ。
年末ジャンボ宝くじも、まさにそういうイベントである。
そう考えると、この四行詩は「何も起こらない年末」ではなく、「何かが大きく動く時期」を指しているように思えた。
「パスツール」という謎
そして、この25番、急に「パスツール(Pasteur)」という固有名詞が出てくる。16世紀の予言詩に、19世紀の科学者ルイ・パスツールを連想させる名前が飛び込んでくるのは、どう考えても唐突だ。ノストラダムスが彼を知っていたはずはない。だが、後世の人々が「これってパスツールの予言じゃね?」と盛り上がってきたのも事実である。

ここで一応、冷静な話もしておく。フランス語のpasteurには「牧師」「導き手」といった意味もあり、必ずしも人物名とは限らない。象徴表現だった可能性もあるし、正解は誰にもわからない。だが、こうした“引っかかり”こそが、Century I-25を特別に見せている。
そこで我々は、「パスツール=人物」ではなく「パスツール=概念」として読むことにした。医学、研究、科学、そして人類を救う知――それらを一語で象徴する存在だ。
疫病と闘い、目に見えない脅威を“見えるもの”に変えた人物としてのパスツールを思えば、「神のように称えられる」という一節も不思議ではない。ならばこの詩が指しているのは、未来の天才ではなく、知と研究が集まり“何かが発見される場所”そのものとも考えられる。
都合のいい読み方ではある。だが、ノストラダムスは曖昧に書き、我々は勝手に解釈し、そして宝くじを買う。それでいいのだ。
浮かび上がったのが、御茶ノ水だった
では、この「パスツール」という象徴を、場所として解釈するとどうなるのか。
医学、研究、科学、知の集積――そうした要素をすべて満たす場所を、東京で探すことにした。未来の科学者ではなく、「知が集まり、何かが発見される空間」を指しているのだとすれば、考えるべきは人物ではなく街である。
そうして真っ先に浮かんだのが、御茶ノ水だった。
御茶ノ水といえば、大学、病院、研究機関が密集する文教地区である。順天堂大学、日本大学、東京医科歯科大学をはじめ、医療と研究に関わる施設が集中し、街そのものが“学問と医学の集積地”として機能している。パスツールが象徴する「医学」「研究」「人類を救う知」という要素を、これほど分かりやすく満たす場所も珍しい。
さらに都合のいいことに、御茶ノ水という地名には「水」が含まれている。Century I-25 には月の周期が明示されており、月と水の結びつきは古来から語られてきた象徴だ。科学と医学の街でありながら、川が流れ、水に囲まれた土地。これもまた、後付けとしては申し分ない。

もちろん、ここまで来ると解釈はかなり強引だ。だが、ノストラダムスの予言をここまで読み進めてきて、今さら「偶然だ」と切り捨てるほうが不自然に思えてしまった。少なくとも、Century I-25 に書かれた条件を、これほどまとめて満たしている場所が東京に存在するのは事実である。
こうして我々は、「パスツールが指す場所=御茶ノ水」という結論に行き着いた。宝くじを買う理由としては十分すぎるほどだ。
月が切り替わる日を選ぶ
では、宝くじを買う日はいつにするべきか。
手がかりは Century I-25 にある「月の周期」だ。12月の月齢を確認すると、5日が満月、20日が新月。周期が完了する瞬間といえば、新月しかない。
実際、2025年12月20日(土)の新月は、日本時間で午前10時43分。月齢が0.0になり、前のサイクルが完全に終わる、これ以上なく分かりやすい節目である。
……と言いたいところだが、ここで話がこじれた。ダウジングでは、購入時刻として「2025年12月20日、中野・午前10時36分」が示されていたのだ。
新月は10時43分、ダウジングは10時36分。しかも中野と御茶ノ水。さらに言えば、10時36分の時点では中野の売り場はまだ開いていなかった。結局、開店の11時を待って購入することになったが、「10時36分を内包している」ということで良しとした。
こうして我々は、中野での動きを起点に、その流れのまま御茶ノ水へ向かい、辿り着いたタイミングで宝くじを購入することにした。


宝くじ購入
こうして、ああだこうだと理由を並べた末、我々は御茶ノ水で年末ジャンボ宝くじを購入した。
ノストラダムスだの、新月だの、パスツールだのと散々こじつけてきたが、最後にやったことはごく普通だ。売り場に並び、宝くじを買った。それだけである。
買った瞬間に何かを感じたわけではない。空が光ることもなく、月の気配がどうこうということもなかった。御茶ノ水も、宝くじ売り場も、いつも通りだった。

ただ一つ違ったのは、「なぜここで、なぜこのタイミングで買ったのか」を、自分なりに説明できていたことだ。ここまで考えて宝くじを買ったのは、たぶん人生で初めてである。
当たるかどうかは分からない。普通に考えれば、当たらない可能性のほうが高い。ノストラダムスも私と同じ誕生日とはいえ、そこまで面倒は見てくれないだろう。
それでも、もし当たったらやることは決めている。UFO自動観測ロボ「SID-1」を日本各地に設置するのだ。宝くじとは、そういうことを一瞬だけ本気で考えさせてくれる装置でもある。
あとは結果を待つだけだ。結果については、新年にあらためて報告することにする。
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