飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像1
イメージ画像 Created with AI image generation

「美には犠牲が伴う」とはよく言ったものだが、かつてその代償は「痛み」どころか「命」そのものだった。

 現代ではオーガニックや倫理的な製品がもてはやされているが、歴史を振り返ってみると、人類がいかに「美」という魔力に取り憑かれ、狂気じみた行動をとってきたかがよくわかる。

 ビタミングミやコラーゲンパウダーが流行るずっと前、デパートのシアーズでは「ヒ素入りのウエハース」が美容サプリとして売られていた時代があったのだ。

 今回は、かつて常識としてまかり通っていた、今では考えられない「死と隣り合わせの美容・ファッション法」10選を紹介しよう。正直なところ、読んでいるだけで身体が痒くなってくるかもしれないが、覚悟してほしい。

毒を塗って、飲んで、目に入れる

1. 鉛のメイクアップ(死の美白)

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像2
エリザベス1世も鉛入りの白粉を使用していた/パブリック・ドメイン:Wikimedia Commons

 古今東西、日本の芸者からヨーロッパの貴族まで、「白い肌」はステータスの象徴だった。日焼けは労働者の証とされ、人々は何としてでも肌を白くしようとした。その主成分が「鉛」だ。

 鉛入りの白粉は陶器のような肌を作れたが、代償として皮膚の爛れ、脱毛、そして鉛中毒による神経障害や死を招いた。皮肉なことに、肌が荒れるほど、それを隠すためにさらに厚く鉛を塗るという悪循環に陥っていたのだ。

2. 放射能フェイスクリーム

 20世紀初頭、キュリー夫人がラジウムを発見すると、世界は「放射能ブーム」に沸いた。美容業界も例外ではない。「ウラン入りクリーム」が、肌を輝かせる魔法のアイテムとして広告されていたのだ。確かに肌は発光したかもしれないが、その先にあるのは被曝と発ガンである。

3. ベラドンナの目薬

 ローマ時代の女性にとって、大きく開いた瞳(散瞳)は魅力の証だった。そこで彼女たちは、猛毒植物ベラドンナ(ナイトシェード)のエキスを目薬として使った。

 適量なら瞳が潤んで魅惑的に見えるが、一歩間違えれば失明、あるいは死に至る。震える手で毒を目に垂らすその執念には、恐怖すら覚える。

4. 水銀の帽子(マッドハッター)

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像3
画像はUnsplashPaolo Nicolelloより

『不思議の国のアリス』に登場する「マッドハッター(いかれ帽子屋)」は、単なるキャラクターではない。かつて帽子職人はフェルトの加工に水銀を使用しており、その蒸気を吸い込んで水銀中毒になることが多かったのだ。

 震え、歯が抜ける、そして幻覚や精神錯乱。男性のファッションもまた、命がけだったわけだ。

身体を締め上げ、寄生虫を飼う

5. 殺人コルセット

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像4
パブリック・ドメイン, リンク

 19世紀後半、理想のウエストサイズは驚異の18インチ(約46cm)。この「砂時計ボディ」を作るために、女性たちはコルセットで肋骨を折り、内臓を移動させ、呼吸困難になりながら気絶していた。

 運動も食事制限もなしに細く見せるための、物理的な身体改造である。

6. 纏足(てんそく)

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像5
Albert Friedenthal – Das Weib im leben der Völker; page 427, パブリック・ドメイン, リンクによる

 中国の宋代から続いた「纏足」は、小さな足こそが富と優雅さの象徴だった。幼い少女の足の指を内側に折り曲げ、縛り上げ、骨を変形させて成長を止める。

 感染症や壊疽(えそ)のリスクと引き換えに得られる「美」とは一体何だったのか、現代の感覚では理解し難い。

7. 寄生虫ダイエット

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像6
http://phil.cdc.gov/PHIL_Images/20031208/87d4bff74e41427cb278526bd9cbe76a/5260_lores.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる

「運動したくないけど痩せたい」。そんな人類の欲望は20世紀も変わらなかった。そこで登場したのが「サナダムシ(寄生虫)の卵」を飲むダイエットだ。

 体内で虫を孵化させ、栄養を横取りさせて痩せるという発想は合理的だが、あまりにグロテスクだ。目標体重になったら駆虫薬で出すのだが、脳にシストができたり、てんかん発作を起こしたりと、代償は大きすぎた。まさに「美に食い殺される」ダイエットだ。

ファッションと衛生の落とし穴

8. 燃えるクリノリン・スカート

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選の画像7
Jean-Baptiste André Gautier-Dagoty – 不明, パブリック・ドメイン, リンクによる

 マリー・アントワネットに端を発する巨大なスカートブーム。19世紀のクリノリン(骨組み入りスカート)は、可燃性が極めて高かった。

 暖炉の火が引火し、パーティー会場が火の海になる事故が多発。アイルランド出身の詩人、作家のオスカー・ワイルドの異母姉妹も、ダンスパーティー中に焼死している。

9. 父殺しの襟(スティフ・カラー)

 19世紀の男性用付け襟は、糊でガチガチに固められていた。これが「サイレント・ファーザー・キラー(静かなる父殺し)」と呼ばれた理由をご存じだろうか。

 酔っ払ってうたた寝をした際、硬い襟が気道を圧迫し、そのまま窒息死する事故が相次いだためだ。

10. 尿のうがい薬

 最後はローマ人とギリシャ人の知恵だ。彼らは尿に含まれるアンモニアの漂白・消臭効果を知っていた。だから、尿でうがいをして口臭予防やホワイトニングをしていたのだ。

 化学的には正しいかもしれないが、現代の洗口液があって本当によかったと心から思う。

美への執着は今も変わらない?

 こうして並べてみると、過去の人々は狂っていたように見える。だが、現代の我々はどうだろう?
過度な整形手術、成分不明の海外製サプリ、危険な脂肪吸引……。形こそ変われど、「美しくありたい」という欲望のためにリスクを冒す構造は、数千年前から何も変わっていないのかもしれない。

 もし100年後の人類が今の美容法を見たら、「なんて野蛮なことをしていたんだ」とドン引きするのだろうか。

参考:MENTAL FLOSS、ほか

TOCANA編集部

TOCANA/トカナ|UFO、UMA、心霊、予言など好奇心を刺激するオカルトニュースメディア
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

飲む、塗る、締め上げる ── かつて常識だった“死と隣り合わせの美容とファッション”10選のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング17:35更新