金正恩の“粛清”を予知するため、北朝鮮幹部が「国家禁制の占い」に依存…? 深夜に繰り広げられる命がけの出張鑑定

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「科学的社会主義」を掲げ、宗教迷信を徹底的に排除しているはずの北朝鮮。しかし、その厚いベールの裏側では、金正恩総書記に忠誠を誓うはずの幹部たちが、自身の生き残りをかけて「禁断の力」にすがっているという。

 そう、独裁政権の足元で今、空前の「占いブーム」が起きているのだという。

 金一族を「神」のように崇めることを強要される国で、本物の占い師に将来を託そうとする姿は皮肉としか言いようがない。しかし、いつ粛清の刃が自分に向けられるか分からない極限状態では、イデオロギーよりも「運勢」の方がよほど頼りになるということなのだろう。

「明日の首筋」を案じる幹部たちの絶望

 北朝鮮専門メディア「デイリーNK」などの報告によれば、最近、平壌を中心とした政府高官たちの間で、お抱えの占い師や霊能者にコソコソと接触する動きが急増している。

 背景にあるのは、2026年に向けて噂されている政府の大規模な再編、つまり「粛清」への恐怖だ。金正恩政権下では、昨日までの寵児が今日には処刑場に送られることも珍しくない。彼らにとって占いは単なる娯楽ではなく、生死を分かつ「軍事情報」に近い扱いなのだ。

 ある幹部は、麻薬犯を賄賂で釈放した罪を隠蔽するために占い師を訪ね、「シャーマニズムの儀式を行い、さらに上層部に賄賂を贈れば逃げ切れる」との神託を受けたという。また、別の党幹部の妻は、家族の将来を知るために貴重なコメ10キロを占い師に差し出したとも伝えられている。

 日本では「今年の運勢はどうかな?」と気軽に雑誌をめくる感覚だが、北朝鮮の幹部たちにとっては「明日の朝、保衛部(秘密警察)が来ないかどうか」をガチで占っているわけだ。その切実さは、我々の想像を絶するものがある。

密告社会をすり抜ける「出張鑑定」のテクニック

 当然ながら、北朝鮮において占いは法律で禁止されている。当局のプロパガンダ以外の「未来」を語る者は、国家への反逆とみなされるからだ。

 そのため、幹部たちは細心の注意を払っている。占い師の自宅を訪ねるのが危険な場合は、自分の家に占い師を呼び寄せ、深夜にひっそりと鑑定を行う。近隣監視団体である「人民班」の班長にバレれば即座に密告されるため、彼らの目を盗むスパイ活動さながらの「出張鑑定」が横行しているのだ。

 しかし、占い師を取り締まるべき立場にある治安当局の役人たち自身も、実はこのブームの一枚噛んでいるという。

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取り締まる側も「共犯者」という腐敗のループ

 報道によれば、保安員(警察官)たちは占い師の自宅周辺をパトロールしているが、それは逮捕するためだけではない。誰が訪ねてきているかを確認し、ゆすりのネタにするため、あるいは占い師から「見逃し料」としての賄賂を受け取るためだ。

 占い師の方も心得たもので、予測で稼いだ金を使って役人を抱き込み、商売を継続している。結局のところ、取り締まる側も、占われる側も、そして占い師自身も、誰もが「金正恩の機嫌」という予測不能なリスクから身を守るために、同じ泥舟に乗っているのである。

 考えてみると、これは単なる迷信への回帰ではない。国家が国民に確かな未来を提示できなくなった時、人間は目に見えない超越的な力に答えを求めてしまうという、普遍的な心理の現れではないだろうか。

 核ミサイルの開発に狂奔し、西側諸国への敵意を煽り続ける金正恩政権。その内側では、指導者の顔色をうかがうことに疲れ果てた幹部たちが、今日も暗い部屋で「2026年の運勢」に一喜一憂している。独裁者の絶対的な権力も、人々の心の奥底に芽生えた「未知への不安」まではコントロールできていないようだ。

参考:Daily Star、ほか

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