生後3か月の記憶を持つ16歳少年が記憶の中を「タイムトラベル」する驚異の能力

先週の夕飯すら思い出せない——そんな私たちをよそに、自分がこれまでに経験したことのほぼすべてを記憶しているという16歳の少年がいる。
匿名性を守るため「KCL」とだけ呼ばれるこの少年は、過去のほとんどどの日にも、まるで時間を遡るように意識を飛ばせるという。研究者によれば、自分自身の過去を思い出す力は人口の99%を上回る水準だ。
生後3か月の記憶と「100人に満たない」特性
KCLの最初の記憶は、生後わずか3か月の頃にさかのぼる。さらに3歳の誕生日を迎える頃には、途切れることなく続く「自分の人生の体験」を意識的に感じ取れるようになっていたという。
こうした特性は「HSAM(非常に優れた自伝的記憶)」と呼ばれ、該当する人は世界でも100人に満たないと考えられている。存在自体は以前から知られていたが、本物の事例がめったに見つからないため、研究は極めて難しかった。
転機は2025年1月に訪れた。グルノーブル・アルプ大学のクリスティアン・バジコフスキ(Krystian Barzykowski)博士のもとに、自分の記憶力は科学的に調べる価値があるのではないかと尋ねる少年からのメールが届いたのだ。面会した博士はすぐに、その能力が本物の例外であると確信し、本格的な検証に乗り出した。
一般の大人を大きく引き離した「日付テスト」
検証では、KCLと無作為に選ばれた大人たちに同じ課題が課された。15件の社会的な出来事(パリ五輪スピードクライミングでのアレクサンドラ・ミロスワフの金メダル獲得など)を正確な日付と曜日に結びつける課題、そして15のランダムな日付から、その日に起きた大きな出来事を答える課題だ。
さらに10の日付について、曜日、当時のニュース、そしてその日の個人的な思い出まで答えさせるテストも行われた。
結果は歴然だった。社会的な出来事の正答率は、比較グループの平均20%に対しKCLは51%。個人的な記憶ではさらに差が開き、平均28.75%に対してKCLは83%の精度で当日の出来事を言い当てた。
驚くべきことに、KCLにはこれ以外に目立った特徴がない。特別な暗記術は使っておらず、両親によれば心身の発達にも異常はなかった。注意力やワーキングメモリーなども、ほぼ平均的な水準だったという。
「スーパーヒーロー」ではなく、記憶が勝手にあふれ出す
学術誌『Cortex』に掲載された論文で、研究チームはHSAMの人々を認知面の「超人」とみなすべきではないとの見方を示している。日常的な情報の学習や数字の暗記では、一般の人とほとんど変わらないというのだ。
違いは記憶の「量」ではなく「引き出され方」にあるらしい。KCLによれば、匂いや音楽の断片、ある一文といったほんの小さなきっかけで記憶がよみがえり、一日に何時間も過去の思い出に浸っていることがあるという。研究者は、こうした想起の多くが本人の意思とは無関係に起きていると見ている。
画面上の模様を監視する単純な作業中に、ふと浮かんだ考えを随時報告させる実験では、KCLは意図しない自伝的記憶の想起が際立って多く、心理学で「メンタル・タイムトラベル」と呼ばれる過去への意識の移動も頻繁に起きていた。2006年には、止めようのない記憶の奔流に絶えずさらされる女性の事例も報告されており、HSAMの人々に共通する傾向とみられている。
博士は、KCLが感覚刺激に対して極端に敏感で、記憶を呼び起こす微細な手がかりを増幅する「アンプ」のように働いているのではないかと説明する。
少年の「タイムトラベル」は、あくまで脳が過去を再生する仕組みの話であり、超常的な力ではない。それでも、匂いひとつで何年も前の一日へ飛んでいけるとしたら——それは物理学より先に、人間の脳がすでに実現してしまったタイムマシンなのかもしれない。
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2024.10.02 20:00心霊生後3か月の記憶を持つ16歳少年が記憶の中を「タイムトラベル」する驚異の能力のページです。記憶力、記憶、HSAMなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

