突然現れた“身元不明の人間”たち! 記憶も過去も持たずに社会へ迷い込んだ、歴史上最も不可解な5つの事件

自分の名前も、過去も、どうやって今ここにいるのかも分からない。見知らぬ街で突然目を覚ます――。
まるでSF映画やミステリー小説の導入のようだが、これはフィクションではない。記憶喪失や解離性遁走(とんそう)といった医学的症状から、タイムトラベルやパラレルワールドを疑いたくなるような不可解なケースまで、歴史上には「突如として現れた身元不明の人々」の記録が数多く残されている。
今回は、世界のオカルト史に名を刻む「どこからともなく現れた人々」の中でも、特に不気味で謎に満ちた5つの事件を詳細に紹介しよう。彼らの奇妙な物語を、あなたはどこまで信じられるだろうか?
パラレルワールドの旅人か、希代の詐欺師か「タウレッドから来た男」(1954年・日本)
ネット上の都市伝説として世界中で語り継がれている「パラレルワールドから来た男」の話をご存知だろうか。
1954年の夏、東京の羽田空港に身なりの良いヨーロッパ系の白人男性が現れた。彼は複数の言語を流暢に操り、「日本には何度もビジネスで来ている」と語った。しかし、彼のパスポートに記載された発行国は、地球上のどこにも存在しない「タウレッド(Taured)」という国だったのだ。
入国管理官が世界地図を見せて説明を求めると、男はフランスとスペインの国境(実際にはアンドラ公国がある場所)を指差し、「ここだ。タウレッドは1000年前から存在する!」と激怒したという。不審に思った当局は彼を監視付きのホテルの高層階の部屋に軟禁したが、翌朝、彼はパスポートごと密室からこつ然と姿を消してしまった……。
これがいわゆる「タウレッド伝説」の全貌だが、実はこの話には元ネタとなった現実の事件がある。1960年、日本でジョン・アレン・K・ジーグラスという男が「トゥアレド(Tuared)」という架空の国の偽造パスポートを使用して逮捕されているのだ。彼は自らを情報員だと名乗り、未知の言語で書かれた書類を持っていた。
現実のジーグラスは密室から消えることなく有罪判決を受けたが、彼がなぜ存在しない国の精巧なパスポートを持ち、それを堂々と使おうとしたのか、その真の目的は今も分かっていない。事実と虚構が入り交じり、今なおネット空間で増殖し続ける現代の神話である。
アメリカ政府が「存在しない」と認めた男「ベンジャミン・カイル」(2004年・アメリカ)

2004年の夏、ジョージア州のバーガーキングの裏手にあるゴミ捨て場付近で、日焼けし、全身をヒアリに噛まれた状態で意識不明の男が発見された。
奇跡的に一命を取り留めた彼は、身体的には健康だったものの、自分が誰で、どこから来たのかを完全に忘れていた。彼が唯一覚えていたのは「8月29日生まれ(1948年)」ということと、「過去17年間、森の中で暮らしていた気がする」という曖昧な記憶だけだった。
彼は便宜上「ベンジャミン・カイル」と名乗ったが、ここからが本当の恐怖の始まりだった。
FBI、USマーシャル(連邦保安局)、さらにはインターポール(国際刑事警察機構)までが指紋や顔認証データベースを照合したが、彼に該当するデータは地球上のどこにも存在しなかったのだ。彼はアメリカで唯一、「行方不明者として登録されているが、本人は目の前にいる」という法的にあり得ない状態に置かれてしまった。社会保障番号すら取得できず、ホームレスシェルターなどで暮らす日々が10年以上続いた。
最終的に、遺伝子系図学を駆使したDNA鑑定により、彼がインディアナ州出身のウィリアム・バージェス・パウエルという人物であることが判明した。しかし、なぜ彼がすべての社会的な繋がりを絶ち、記憶を失い、ジョージア州のゴミ捨て場に倒れていたのかは、未だに「空白の17年間」として深い謎に包まれている。
海を越えた最古のテレポーテーション伝説「ジル・ペレス」(1593年・メキシコ)

1593年10月24日、メキシコシティの広場(マヨール広場)を警備していた兵士たちの前に、見慣れない軍服を着た男がふらふらと現れた。
不審に思った衛兵が尋問すると、彼は「ジル・ペレス」と名乗り、こう答えた。「私はフィリピンの総督官邸の警備兵です。ついさっき、総督が暗殺されました。私は壁にもたれて目を閉じ、目を開けたらなぜかこの見知らぬ場所にいたのです」
メキシコからフィリピンのマニラまでは、太平洋を挟んで1万キロ以上も離れている。当時のガレオン船(帆船)を使っても数ヶ月はかかる距離だ。「たった1日で移動した」という狂人のような主張と、総督暗殺という不吉な言葉に、メキシコの異端審問所は彼を「悪魔と結託した魔術師」としてただちに投獄した。
ところが数ヶ月後、フィリピンからメキシコへ到着した船がもたらしたニュースは、人々を震撼させた。ペレスが語った通り、フィリピン総督ゴメス・ペレス・ダスマリニャスが暗殺されていたのだ。しかも、ペレスがメキシコに現れる直前の出来事だった。さらに船の乗組員の中には、暗殺当日にマニラでペレスを見たという証人まで現れた。
この奇妙な符合により、彼は無罪放免となってフィリピンへ送還されたという。歴史家はこれを単なるフォークロア(民間伝承)と見なしているが、歴史上最も有名な「瞬間移動(テレポーテーション)」の記録として、今もオカルト研究家たちを惹きつけてやまない。
4. 言葉を失った天才音楽家? メディアが作り上げた「ピアノ・マン」(2005年・イギリス)
2005年4月、イギリス・ケント州の海岸沿いの街で、ずぶ濡れの黒いスーツとネクタイ姿の青年が、言葉を一切発しない状態で保護された。
病院のスタッフがコミュニケーションの糸口を探ろうと彼にペンと紙を渡すと、彼は精巧な「グランドピアノ」の絵を描いた。そこで彼をピアノの前に座らせたところ、彼は何時間にもわたって、クラシックからポピュラー音楽まで、見事な演奏を披露し続けたのだ。
「記憶を失った天才ピアニストか!?」――このミステリアスなストーリーに世界のメディアは熱狂した。「The Piano Man」と名付けられた彼の顔写真はヨーロッパ中のオーケストラや行方不明者サイトに拡散され、「彼はプラハの有名音楽家だ」「いや、フランスのストリートパフォーマーだ」と様々な憶測が飛び交った。
しかし、4ヶ月後に明かされた真実は、拍子抜けするものだった。
彼はドイツのバイエルン州出身の20歳の青年、アンドレアス・グラスル。彼は深刻な精神的危機(うつ状態)に陥り、言葉を発せなくなっていただけだった。そして肝心のピアノの腕前も、「天才というよりは、そこそこ上手なアマチュアレベル」だったという。
世界中が「映画のようなミステリー」を勝手に期待し、彼を悲劇の主人公に仕立て上げてしまったのだ。人がどこからともなく現れた時、最も恐ろしいのは当人ではなく、周囲の人間が作り上げる「妄想」なのかもしれない。
地下室で育った“野生児”の謎の死「カスパー・ハウザー」(1828年・ドイツ)

最後は、歴史上最も有名で、最も謎に満ちた「突然現れた少年」の物語だ。
1828年5月26日、ドイツのニュルンベルクの広場に、ボロボロの服を着た16歳くらいの少年がフラフラと歩いてきた。彼は言葉をほとんど理解せず、歩くことすらおぼつかなかった。彼が持っていた手紙には、「この子の名前はカスパー・ハウザー。私は彼を密かに育ててきたが、もうこれ以上面倒を見ることはできない」と書かれていた。
保護されたカスパーは、徐々に言葉を覚え、衝撃的な過去を語り始めた。
「自分は物心ついた時から、光の入らない狭い地下室に一人で閉じ込められていた。水とパンだけを与えられ、おもちゃの木の馬だけが友達だった。ある日、顔の見えない男に外へ連れ出され、ここに置き去りにされた」
この「地下室で育った純真な少年」の話はヨーロッパ中で大反響を呼び、彼は貴族や学者たちの庇護を受けて読み書きを習得し、役所の書記として働き始めた。
しかし1833年、彼は公園で「見知らぬ男に刺された」と致命傷を負って帰宅し、わずか21歳でこの世を去ってしまう。
彼の正体を巡っては、「バーデン大公国の王位継承者(王子)だったが、権力闘争のために幽閉され、最終的に暗殺された」という陰謀論が長年囁かれてきた。現代のDNA鑑定ではこの「王子説」はほぼ否定されているが、彼が本当に地下室に監禁されていたのか、それともすべては稀代の詐欺師による自作自演だったのか、真実は完全に歴史の闇の中へ葬られてしまった。
突如として社会のネットワークからこぼれ落ち、あるいは全く別の場所からポップアップしてくる人々。彼らが抱える「記憶の空白」は、我々が生きているこの現実が、いかに脆く、不確かなものの上に成り立っているかを突きつけてくるようだ。
参考:Listverse、ほか
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