【新・東京悪所】徳川家が呪い潰すオリンピック?新国立競技場が…

■新国立競技場と徳川家

 国立競技場から道路を挟み、東京体育館のある千駄ヶ谷。実はここ、徳川家のお屋敷があった土地なのです。大政奉還の後、流れ流れた徳川宗家は明治10年に千駄ヶ谷へと移り住みます。江戸時代から紀州徳川家の土地だったという経緯もあるのでしょう。宗家が所有した敷地は十万坪、原宿まで達する広大なものでした。1928年、有名な放火事件によって本館(今の東京体育館がある場所)が全焼しましたが、古地図を見る限り、その後また屋敷は再建されたようです。

 しかし1940年、「紀元二千六百年記念行事」の一環で東京オリンピック開催が計画されます。武道館の建設予定地として、徳川宗家の土地は東京都へと譲渡されることに。神武天皇即位から二千六百年を祝う事業のための土地委譲ですから、これもまた徳川家から天皇家への小さな大政奉還と言えますね。もっとも、当時のオリンピク組織委員会長を務めたのが徳川宗家16代当主・徳川家達なので、その辺りの事情が関係しているかもしれません。

 結局、戦争のために1940年東京オリンピック、ならびに武道館建設は頓挫しました。しかし、土地そのものは都が所有するまま、1954年には東京体育館の建設、現在に至るという訳です。

 そして1964年、ついに東京でのオリンピックが実現します。それに併せて都内のあちこちで突貫工事が行われ、東京の風景は様変わりしていきました。その余波が、ある心霊スポットを生みだしたのです。


■政治介入によって振り回された人々の怨念が…

 それはあの「千駄ヶ谷トンネル」。東京体育館・国立競技場がある千駄ヶ谷は、特に工事を急ぐ必要がありました。そこで本来なら迂回するはずの墓地まで、無理に道路を突っ切らせるという羽目に。こうして仙寿院の墓地がある高台下に千駄ヶ谷トンネルが開通したのですが……。その立地は、多くの怪談を生み出しました。

・千駄ヶ谷トンネルの怪談
走る車のウインドウに手形がつく」「トンネルの天井から女がぶら下がっていた」などの奇怪なウワサが何十年も囁かれ続け、今も千駄ヶ谷トンネルは都内有数の心霊スポットとして知られています。

・ビクタースタジオの怪談
 また、隣接するビクタースタジオも数々の怪現象が起こることで有名。謎のうめき声が聞こえる岩崎宏美「万華鏡」も当スタジオで録音されたものですし、あまりの怪異の多さに「スタジオマンは慣れっこになってるよ」と、関係者から聞いたことがあります。

 これらは、仙寿院の墓地を疎かにした祟りと言われています。そして、その仙寿院を代々の菩提寺としていたのが、まさに紀州徳川家。ここで再び、東京オリンピックが徳川の土地へと影響を及ぼしたのです。

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