1,800年前のエジプト人が書いた手紙がついに解読! 名も無き男は、その時何を考えていたのか?

■発見者や分析の方法は?

 ポリオンの手紙は、今から1世紀ほど前にイギリス人の考古学探検隊(バーナード・グレンフェルとアーサー・ハント)によって発見された。探検隊は、ナイル川に程近いファイユーム地方南端のテプテュニス村にて、おびただしい数のパピルス(エジプトで使われていた紙)を見つけたが、ポリオンの手紙はその中に含まれていた。探検隊は当時それら全てを飜訳することができなかったが、今回、米国ライス大学のグラント・アダムソン氏が赤外線画像の技術を用いてテキストの解析に取り組み、その結果を学術誌「Bulletin of the American Society of Papyrologists」上で発表したことにより、ついに再び日の目を見たというわけだ。

1,800年前のエジプト人が書いた手紙がついに解読! 名も無き男は、その時何を考えていたのか?の画像2画像は「LiveScience」より

 アダムソン氏は、ポリオンの手紙がエジプトで発見されたことから、おそらく家族の手元にしっかりと届けられていただろうとした上で、「このような境遇は現代の兵士とも共通したものだ」と指摘する。また、「確かにポリオンは自ら兵士に志願したかもしれないが、まさかこれほど遠くに送り出されるとは想像もしていなかったかもしれない」としている。もしも彼が手紙の通りに休暇を取得して帰省の旅に出たとすると、東欧からエジプトまで、ひと月以上は要したと考えられるという。ちなみに、ポリオンが最終的に家族からの返信を受け取ることができたのか、また家族と合うために休暇を取得できたのか、今回の解析では判明していないようだ。


 たしかに現代人は、テクノロジーの恩恵によって離れた家族とも簡単にコミュニケーションできるし、まとまった休暇を得ることもできる。しかし、家族への愛やホームシックといった「心の動き」は、1,800年前に生きた人間も何一つとして変わらなかったのだ。
(モンペ・アザブジュバーン)

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