宇宙飛行士は脳にダメージを受けている!? 宇宙空間が脳に与える影響
■宇宙飛行士が宇宙で病気にかかるリスク
宇宙空間が人間に与える影響を知るため、無重力が人間の筋肉、骨、関節に及ぼす影響が研究されている。宇宙での生活は、人間の免疫システムを弱めることが既に知られている。しかし、人間の細胞が無重力環境に長期置かれることによる長期的な影響ははっきりしていない。現在、国際宇宙ステーションはまさしくその質問の答えを知ろうとしており、それは宇宙飛行士のリスクに関する重要な情報になり得る。
その実験はセルボックス・ミッションとして知られるもので、「SpaceX’s Dragon」カプセルにより、免疫細胞の積荷が国際宇宙ステーションに運ばれた。免疫の弱まることは知られているが、特に有害な異物から人間の身体を守る貪食細胞が正常に動作しなくなると言う。現在、調査チームはそれらの貪食細胞が国際宇宙ステーションにある時の構造と代謝を研究している。
また、ロチェスター大学医療センターの研究によると、宇宙の放射線はアルツハイマー病の発症リスクも高める。また眼球への影響も深刻で、宇宙飛行士が飛行後に白内障にかかる確率は通常より、かなり多いと言う。数年前、宇宙で1ヵ月以上過ごしたNASAの27人の宇宙飛行士達の脳をスキャンしたところ、彼らの眼球と脳組織に損傷が見られた。そして、その脳のダメージは宇宙の微小重力への露出によって引き起こされることがわかった。これは脳と身体機能を支配する主要な器官である腺下垂体が、眼球が平らな状態から膨らむことによって損傷を受けるからである。
人間は何百万年もの間、地球の大気と重力の圧力の中で生活することに適応しており、宇宙が人間の身体のシステムに大混乱を起こすことは驚くべきことではない。ジョン・ホプキンス大学の博士研究員であるキャサリン・デービス氏は、未来の月や火星への任務から放射線に敏感な宇宙飛行士を除外したくないと話す。しかし、彼女はそれらの宇宙飛行士の脳を保護するために、前もって特別な遮蔽物を身に着けたり、飛行士によっては宇宙遊泳をさせない措置などが必要だと考えている。
(文=美加リッター)
参考:「Daily Mail」、「boingboing」ほか
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