米で話題の「犬を食べることについての議論」が深く考えさせられる ― なぜ、犬はダメなのか?

■犬を食べる文化とは? 東南アジアの今

 サッター氏のコラムの中にはタイ在住のイギリス人写真家、ルーク・ダグルビィ氏が追ったアジアの犬肉事情も紹介されている。

 東南アジア、特にベトナムと韓国、中国では犬の肉はポピュラーだが、ダグルビィ氏は「犬は鉄製のケージに窒息するのではないかと思うほど詰め込まれ、タイからラオスへ密輸されます。その間、犬達にはワクチンは愚か、餌も水も与えられません。そして犬達がラオスに入ってしまえばそこからは何処に運ばれようと違法ではなくなるのです。逆さに吊られて殴られ、生きたままで皮をはがされる姿は、犬好きの私には見ているのがとても辛かったです」と述べている。この部分はアメリカの愛犬家達にとてもショックだったようである。


■「殺処分or無駄なく食べること」どちらが最善策なのか

 サッター氏がCNNに寄せた文章の中でこんな一文がある。“ニューヨークに拠点を構えるアメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)によると、アメリカでは年間120万匹の犬が殺処分されている。では、その120万匹を食べるのと、殺して捨てるのと一体何が違うのか?”これに関して、ベジタリアンでありアメリカ人作家のジョナサン・サフラン・フォー氏はこの様に述べている。

日々、信じられない程の“肉”が捨てられているのです。これは環境的にも社会的にも大きな問題です。人間が可愛がっている愛犬を奪って食べるのは狂っているとしか言いようがありませんが、野良犬やお世辞にも可愛いとは言えない犬、そして躾をしても懐かず人に危害を加えるような犬ならば、殺して食べてもいいのではないでしょうか。殺処分される犬達も同様です。食べる事によって殺処分する手間が省けるではないですか」(ジョナサン・サフラン・フォー氏)

 これに対して「THE WEEK」では“欧米社会は犬に対して違った意味で投資をしてきた。家族の一員として迎え、家や人を守る守護や助けとして、また友として暮らしを共にしてきた。欧米社会は犬を「友」として見て来たのである。文化の多様性は大いに結構だ。理解もするし、認識もする。しかし、私たちの文化において犬を食べるのは間違っているのだ”。

 例え気性が荒く、人に懐かずに怪我をさせるような犬でも、アメリカではやはり食べるべきではない、との意見が大多数なようである。

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